公開日2024年10月7日
頭のかたちが気になるなら早めの相談を—日比先生が教える受診のタイミング
先生のこれまでのご経歴を教えてください。
今は富山大学医学部に名前が変わりましたが、富山薬科医科大学を平成9年に卒業しました。京都府立医科大学の小児外科で2年間研修した後に、国立療養所青野原病院(現 兵庫青野原病院)で重症心身障害児の医療や、結核病棟で結核について学びました。その後、一般市中病院の京都回生病院で、地域医療を通して、整形外科や成人外科医療も学びました。
国立舞鶴病院(現 舞鶴医療センター)の小児外科に出向していた頃、家族の病気の関係で実家のある愛知県の方に戻ってまいりまして、藤田保健衛生大学(現 藤田医科大学)の小児外科で小児の生体肝移植を行っていました。生体肝移植とは、肝臓が機能しないお子さんにお父さん、お母さんから肝臓の一部を移植するというものです。10年くらい経ったころ、ちょうどこの地で開業の話が出まして、地域医療に力を入れたいと思うようになり開業して、今がちょうど10年目です。
医師を目指したきっかけは何ですか。
父親が土地家屋調査士という仕事で図面を書いたり野山に行き測量をしたりしており、その仕事も面白そうだと感じていたのですが、小さい頃から虫を獲ったり魚を釣ったりと生き物と接することに興味があり、将来的には人や生き物と関わる仕事がしたいと考えていました。高校生の頃には、人の体を深く知り、人と深く関わる職業に就きたいと思うようになり、医師を目指すこととなりました。
小児外科医になろうと思ったのはなぜですか?
学生時代に臨床研修を行ったとき、私が初めて担当したのが心臓病を患っているお子さんだったんです。手術を見学してそのまま病院に泊まり込んで、夜通しでその子どもの世話をする先輩医師の姿を見て憧れを感じ、「こういう医師になりたい」と思いました。そこで小児科になろうと考えたのですが、手術にも立ち会ったことから、外科医という立場で子どもを助ける方法もあるということに気づき、小児外科という分野に興味を持つようになりました。京都府立医科大学が唯一、大学病院に併設するこども病院を持っていたこともあり、そこで手術によって病気を治す小児専門の外科医になることを決心しました。
クリニックを開業したきっかけを教えてください。
京都市にある京都府立医大にいたころ、受け持っていた患者さんの治療が運良くうまくいき、元々住んでいた舞鶴市に帰られることになったんです。京都府は縦に長い形をしていて、同じ京都府でも舞鶴市は京都市から2~3時間かかるので、「何かあったらどうすればいいですか」と相談されたことがありました。当時舞鶴の方には小児外科があまりなかったので、京都府立医大に来てくださいと伝えるしかなかったんです。
藤田保健衛生大学で10年経った頃、ここ知多市で合併により市民病院がなくなるという話が出ており、患者さんが遠方にある合併先の病院に転院しなくてはならなくなってしまうので、この辺りで開業してくれる先生を探しているという方に出会い、京都の患者さんのことがフラッシュバックしました。今度は来てもらうのではなくて、自分から困っている患者さんのいる地域に行って、そういう人たちをまず診る医者になろうと思いました。元々開業する予定は全くなかったのですが、これもなにかのご縁と思い、すぐにやりますと返事をさせていただきました。話があってから1週間以内に返事をして、そこから準備を始めて、11ヶ月目には開業していました。
どんなクリニックを目指していますか?
何でも相談に乗る患者さんと同じ目線の医者になろうと思ったので、とにかく敷居が高くてはいけないと考えました。そこで、クリニックには本当の意味で敷居をなくしています。また、スリッパをなくすことで患者さん側の手間やちょっとした危険をなるべく減らして、自宅のように気軽に来て過ごしてもらえたらと思っています。床暖房もあるので、お子さんも結構床でハイハイしてくつろいでいますよ。物理的にも心理的にも敷居を無くすことを心がけています。
また、待合室とは別にカーテンで仕切られた畳の小上がりがあって、具合が悪く待合室で待つのがつらい子などはここで横になってもらっています。ベッドだと落ちないように隣についている必要がありますが、ここなら心配ありません。付き添いのご両親の負担や手間を極力減らしたいと考えています。
診察の時に心がけていることを教えてください。
説明も治療の一環だと考えているため、説明は丁寧に行うことはもちろん、画一的な説明にならないよう、患者さんごとに反応を見て話し方を工夫しています。また、診察はどうしても医師が一方的に話すスタイルになりがちで、患者さんが質問しづらい状況になるかもしれません。そこで、診察の最後には必ず「他に気になることはありませんか?」とお尋ねするようにしています。 その場で質問できない患者さんもいるかもしれないので、スタッフには診察室を出た後に不安そうな表情をしている患者さんがいたら、もう一度声をかけて確認してほしいと伝えています。 院長が全てをトップダウンで指示するのではなく、患者さんの不安を解消することを目的に、それぞれの役割でできることをしっかり果たしていくことが大切だと思っています。
頭のかたち外来を始めたきっかけは?
学会などで頭蓋変形の治療のためのヘルメットがあることは知っていましたが、治療が広まってきたためか、頭の形について問い合わせがよく来るようになったんです。これまでは他の相談の時に併せて聞かれるくらいでしたが、頭の形の相談のみに来られる方も増えました。僕の性分上、困っている人がいるんだったらやらなきゃいかん、と思うようになり外来を始めました。
頭のかたち外来の初診の流れを教えてください。
初診ではノギスまたはアプリで重症度の簡易測定をします。その時の重症度を見て、月齢1~2ヶ月くらいのお子さんであれば向き癖への対処やタミータイムをやっていきましょうとお話をしています。月齢が3ヶ月以降のお子さんで重症度が高い方に関しては、ヘルメット治療も視野に入れてお話をさせていただいています。
受診できる曜日は決まっていますか?
患者さんの手間は徹底的に減らすということが当院のコンセプトですので、まず初診は希望日をお伺いしています。再診は木曜日の午後に来ていただくことが多いです。
予約の取り方を教えてください。
当院は全ての患者さんがWeb予約可能です。Web予約時に頭の形相談と書いていただければ希望日でそのまま受け付けています。感染症が増えてくる時期はお待たせしてしまうことや、感染症疑いの患者さんがいらっしゃる時間帯と重なってしまうので、少し時間をご調整いただくことはありますが、基本的には希望日に来ていただいています。LINEでの問い合わせから、受診日を決める場合もあります。
受診をするタイミングはいつ頃が良いですか?
できれば早く来ていただくことをおすすめしています。月齢1~3か月くらいですね。月齢が早い段階であれば、向き癖やタミータイムなどの体の動きについての指導ができますし、それでも改善しない場合にはヘルメット治療という方法も選ぶことができますので。早めに来ていただけるといくつか選択肢ができるので良いと思います。
読者の方へのメッセージをお願いします。
頭の形について気になっているものの、長い間悩んで治療が難しくなる年齢になってから受診される方がいらっしゃいます。悩みを一人で抱えているお母さんも多いですが、お一人やご夫婦だけで抱え込まずに、すぐに受診するか、LINEなどでも構いませんので、ぜひご相談いただければと思います。当院では、かかりつけの患者さんからのLINEは24時間対応しています。また、かかりつけでない方も、診療時間内であればLINEでご相談いただけます。どんな悩みでも構いませんので、まずは気軽にご相談ください。
ヘルメット治療について
治療の流れ
初診では重症度の簡易測定をします。測定結果や月齢を考慮し、治療方針についてお話します。
費用
スタッフまでお尋ねください。
診察日時
月・水・木・金曜日(9:00~12:00 , 16:00~18:00) 火・土曜日(9:00〜12:00)
予約
お電話またはWebにてご予約ください。 クリニックLINEにてご相談も受け付けております。
相談窓口
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アクセス
電車・バスでお越しの方: 名鉄常滑線 新舞子駅から徒歩 3分
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