公開日2025年1月9日
頭の形に悩む親御さまへ|頭の形外来とヘルメット治療について矢嶋先生が解説
先生のこれまでのご経歴を教えてください。
1982年に岐阜大学を卒業した後、すぐに小児科に入って、2年目には沖縄の県立病院で1年間勤務しました。その後、岐阜に戻り、大垣市民病院で1年勤務し、東京女子医大に行き、2年間の研修を経て、再び岐阜に戻りました。その後は、国立療養所長良病院、岐阜市民病院を経て、高山赤十字病院に勤務し、その後開業しました。
医師を目指したきっかけは何だったのでしょうか?
元々は、特に「これだ!」という明確な動機はなかったんです。もともと工学志望で、工学部を受験していたんですが、工学部は落ちてしまい、その次に受けていたのが地元の岐阜大学の医学部だったんです。医学部を受験したのは、周りからの勧めがあったからでした。最初はそのような動機でしたが、今になってみると、職業としてやりがいは確かにあると感じています。
小児循環器に携わられている理由や、選ばれたきっかけは何だったのでしょうか?
小児科に入ったのは、当時としては学内では珍しく全員に国内留学を2年間認めてくれる医局だったからです。そこで実際に会った患者さんとの関わりの中で、循環器は一定のレベルまでできた方がいいなと感じるようになったので、勉強していこうと決めました。
診察時に特に心がけていることがあればお聞かせください。
やはり、患者さんをしっかり見ることを大切にしています。コロナ以降、検査に依存する診療も増えていますが、私は聴診器を使って心臓の音を聞くなど、直接の診察を大事にしています。また、昔は薬を処方することが普通だったのですが、最近では、薬を出すことも非常に少なくなりました。実際に患者さんを目の前にして症状を見て、必要最低限の処方にするよう心がけています。
開業するにあたり、どのようなクリニックを目指されましたか?
私が開業した当時、病院の外来は縮小していく傾向にありました。病院は入院患者を診るところで、外来診療は開業医が担っていくべきだという考えがありました。そのため、開業医として地域医療を担う形で診療を進めていくことが必要だと思い、開業を決めました。
クリニックの待合室には子どもが遊べるタッチパネルのスクリーンを設置したり、ジオラマを置いたりして、子供たちがゆっくり楽しめるような空間にしています。
頭の形外来を始めようと思ったきっかけは何ですか?
私が頭の形に興味を持ったのは、十数年前のことです。当時、東京女子医大の脳神経外科が頭蓋矯正ヘルメットを扱い始めていましたが、まだ医療界ではそれほど認識されていませんでした。そのため実際にヘルメット治療を提供する病院は少なく、県内に提供している病院ができても待ちが2ヶ月ほどあることや、ヘルメットを作った後は病院から全く手が離れてしまっていることなどの問題があり、受け皿が不足している状況が続いていました。保護者からのニーズもあることを感じていましたので、私自身も受け皿となるべく外来を始めることにしたのです。
頭の形外来を始めて、何かご感想があれば教えてください。
初診では、ご両親が揃っている場合には撮影した3Dデータをその場で見せて説明しますが、その時、「このくらい変形しているんだ」と実感されるご両親が多いです。他のお子さんと比較してどうかというよりは、絶対的な数値として捉えられることが多いですね。特に強い変形があると感じている方は、やはりそうか、と納得されることが多いです。親御さんによっては、変形が強くても特に治療を希望しない方もいれば、逆に軽度の変形でも治療を希望される方もおり、頭の形に対する考え方は様々だと感じます。効果につきましては、満足されている患者さんが多いです。
ヘルメット治療を行う上で、大変なことは何でしょうか。
変形が強い場合は肌が赤くなることがあります。赤みが出た際には柔らかいクッションを入れてヘルメットとの当たりを緩和します。これで改善することが多いですね。
頭の形外来における初診の流れについて簡単に教えていただけますか。
最初に写真撮影を行います。相談を受けた際に、軽度の変形であれば写真撮影までは勧めませんが、多くの場合、ある程度の変形が見られるため、保護者が希望すればその場で写真を撮影します。
変形が強い場合、ご夫婦で来院されていない時には基本的な説明をして「帰ってからよく相談してください」という形を取ることが多いです。写真を見せてデータを確認し、次回にヘルメット治療を行うかどうか決める、という流れですね。一週間以上経ってしまうと写真の再撮影が必要になることもあるので、なるべく一週間以内にお返事をいただくようにしています。ご夫婦でいらっしゃっている場合、その場で治療を決める方が多いです。
再診では1ヶ月に1回くらいのペースで4~6回くらい撮影をします。それ以外のフォローはLINEでも行っています。
予約の取り方や、受診のタイミングについて教えていただけますか。
頭の形外来は一般外来としてWEB予約で受け付けています。電話での予約も可能です。受診のタイミングはだいたい3ヶ月頃が良いですね。遅くても6ヶ月くらいまでには治療を始める方が多いです。11ヶ月から治療を始めたケースもありましたが、その場合、最初の変化率は少し低くなります。
読者の皆様へのメッセージをお願いいたします。
医学的には、頭の形の治療は見た目に関わるものであり、機能的な改善を期待するものではありません。あくまで形の問題として捉えるべきですが、私自身の娘も非常に強い斜頭で、現在は大学生です。もし今の時代に彼女が生まれていたら、治療を行っていたと思います。
形だけの問題と割り切る方もいらっしゃると思いますが、私のように少し後悔することもあるかもしれませんので、今悩まれている親御さんには、しっかりと情報を集めて、後悔のない選択をしていただけたらと思います。
また、医療は常に進歩しており、昨日の常識が今日には通用しなくなることも多いです。ネットで簡単に情報を得られる時代ですが、医療者側も常に知識をアップデートし続けなければなりません。子供の回復力は強いですが、それでも医師の知識が時代遅れになっていては、本当に良い治療ができなくなってしまいます。
学会や医療関係者との交流を通じて最新の情報を得ることを心がけ、患者様にとって最良の治療を提供できるよう努めています。皆様も、様々な情報に触れつつ、時代の変化に合わせて柔軟に対応していくことが大切です。
どうぞ、ご自身やお子さんのために最善の選択をしてください。
ヘルメット治療について
治療の流れ
初診では3Dデータ作成のための撮影を行います。測定結果を説明し、ヘルメット治療希望の場合は作成に進みます。
費用
スタッフまでお尋ねください。
診察日時
月~土曜日午前(8:45~12:30) 月・火・金曜日午後(15:00〜18:15) ※木曜日午後は15:00〜18:00
予約
お電話またはWebにてご予約ください。
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