公開日2025年4月1日
脳神経外科医 三浦先生が語る、赤ちゃんの頭のかたちとヘルメット治療

目次
先生のご経歴をお聞かせいただけますか?
高校卒業まで兵庫県で過ごし、その後、長野県の信州大学へ進学しました。6年間信州で大学生活を送り、その後地元である兵庫県へ戻りました。初期研修は淡路島にある兵庫県立淡路医療センターで行いました。当初から外科系を志望していましたが、初期研修中にローテーションで回った脳神経外科に興味を持ち、この分野を選択しました。その後、神戸大学の脳神経外科医局に入局し、兵庫県の複数の関連病院で勤務しました。医局人事を離れ、大阪のいわた脳神経外科クリニックでも非常勤勤務させていただいた後、2024年8月にクリニックを開設しました。
開業を決意されたきっかけをお聞かせください。
手術を行うことは大変やりがいのある仕事でしたが、後遺症が残ってしまう患者さんもいらっしゃり、手術が必要な状態になる前に予防することが重要であると考えるようになりました。患者さんの日常に寄り添うことや、重篤な状態になることを防ぐ診療をおこなうことの方が自分には合っていると考え、開業を決断しました。
医師を志されたきっかけを教えてください。
私の父は年の離れた産婦人科医であり、幼少期から医療を身近に感じる環境で育ちました。一時は反抗期もありましたが、最終的には父の背中を見て、夜中でも連絡が あれば患者さんのもとへ向かう姿がかっこいいなと憧れを感じて、医師の道を志しました。
脳神経外科を選ばれた理由を教えてください。
脳神経外科は専門性が高い分野であり、私が研修を受けていた頃は、「脳の疾患は脳神経外科医に診てもらうべきだ」という認識が強くありました。そのため、脳神経外科医は人の役に立てる機会が多いと感じました。私は幅広く器用にこなすよりも一つの分野を深く追求することが得意な性格なので、脳神経外科の専門性の高さに魅力を感じました。
開業に際して、どのようなクリニックを目指しましたか?
当初は、頭痛外来を中心としたクリニックを考えていました。特に片頭痛に悩む若い患者さんが多いため、そのような方々の助けになれればと考えました。また、MRIを活用することで、迅速に診断を行い、治療を要する患者さん を速やかに大きな病院へ紹介できる体制を整えたいと考 えました。実際、病院勤務時代には、発見が遅れたために重症化する患者さんを多く見てきたことも、この方針を決めた理由の一つです。
クリニックのこだわりをお聞かせください。
クリニック名に「みどり」という言葉を含んでいることから、内装は緑色をベースにしつつ、落ち着いた雰囲気を意識しました。特に、頭痛のある患者さんは強い光を苦手 とする方が多いため、照明を控えめにするなどの工夫を 施し、患者さんがリラックスして過ごせる環境づくりを心 掛けました。
診察の際に心がけていることについてお聞かせください。
自分本位で治療を行うことが無いよう、特に注意を払っています。どのような治療であっても、自費診療、保険診療に関わらず、患者さんの人生や生活をより良いものにすることがゴールだと考えています。ガイドラインに沿った治療が必ずしも正解であるとは限らないので、推奨すべき治療法を提案しつつも、最終的には患者さん自身が主体的に治療を選択できるように配慮しています。医師としての役割はあくまでも治療の手助けをすることだと考えており、患者さんの意思を尊重する姿勢を忘れないように心がけています。
「赤ちゃんのための頭のかたち外来」を始めたきっかけをお聞かせください。
開業にあたって幅広い年齢の患者さんたちの役に立ちたいと思っていましたが、新生児や乳児の診療を担当することはなかなか無いなと考えていました。そんな中、兵庫県立こども病院に勤務していた際に、頭蓋骨縫合早期癒合症などの治療に携わる過程で知った「頭のかたち外来」の存在を思い出しました。プライベートにおいてもヘルメット治療を受けるお子さんが増えていることを実感して、多くの親御さんがお子さんの頭の形に悩んでいることを身近に感じました。頭のかたち外来を行うことで、さらに多くの患者さんの役に立てるのではないかと考えて、診療を導入することを決めました。
頭の形の診療を始められて、どのような印象を持たれましたか?
実際に診療を進めていく中で、治療の効果が目に見えて分かる点が大きな特徴だと感じています。特に、お子さんの変化に気付いた親御さんが喜ばれる姿を見ると、非常にやりがいを感じます。写真撮影の際には赤ちゃんが驚いて泣いてしまうこともありますが、意外なことにヘル メットそのものを嫌がるお子さんは少ないです。かつては 「ヘルメット治療はかわいそう」という意見を耳にすることもありましたが、実際に診療をしてみると、そのような印象を感じることはありませんでした。
ヘルメット治療の効果について、 どのようにお考えですか?
これまでの患者さんの多くに改善が見られており、治療効果を実感しています。また、別の方法で十分な改善が 見られなかった方々が遠方からも当院を訪れていただ き、ヘルメット治療によって効果を実感されるケースもあります。治療が進むにつれて頭の形が改善していくの を実感され、ほとんどの親御さんがポジティブな反応を示されています。適切な治療法が見つからず困っていた方々に貢献できることを嬉しく思っています。
初診の流れについて教えてください。
初診時には視診および触診を行い、頭の形を確認します。その際に頭蓋骨縫合早期癒合症の可能性が高いと 判断した場合はCT検査が必要となるため、専門の医療機関へ紹介いたします。ヘルメット治療を検討する場合、 まだ首が座っていないお子さんについては、保険診療の範囲で診察のみを行い、首がしっかり座った段階で再度受診いただくようご案内しています。一方で、首が座っているお子さんについては、3Dスキャン撮影を行い、その結果を当日にご説明いたします。治療が適応となる場合は、ヘルメット治療についてご説明いたします。
ヘルメット治療において、大変そうだと感じることはありますか?
ヘルメットは目標の頭の形に合わせて作られているため、装着開始時はヘルメットと頭の間に空間があきます。 そのため、特に頭のゆがみが大きいお子さんほど、初め はズレやすいことがありますが、そのような場合はパッドの調整を行うことで、大きなズレは解消されます。また、親御さんにとって最も大変なのは、赤ちゃんを連れて来院することではないかと思います。お子さんに必要な用品で荷物も多いので、移動そのものが負担になることがあるようです。当院では公式LINEなどを利用して、説明のための通院回数を減らす工夫をし、少しでもご家族の負担を減らせるように取り組んでいます。
読者の方へのメッセージをお願いします。
頭のゆがみは脳の成長や精神発達に悪影響を及ぼすものではなく、ヘルメット治療は絶対に必要というわけではありません。一方で今しかできない治療という側面もあり、親御さんが納得された上で治療を選択されることが最も重要だと考えております。頭の形についてお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。
ヘルメット治療について
治療の流れ
頭の形の異常が病的なものでないかチェックし、必要に応じて簡易計測を行います。 ヘルメット治療を希望される方は、赤ちゃんの頭の形外来で3D撮影を行います。
費用
35万円(税込) ※3D撮影料 ヘルメット作成前・他院のフォローアップ時:3,500円(税込) / 当院でのヘルメット作成後:1,000円(税込)
診察日時
月~金曜日
予約
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