花岡先生が語る、赤ちゃんの頭の形とヘルメット治療の効果・診療の流れ

先生のご経歴を教えてください。

現在は合併により名前が変わり大阪公立大学となっていますが、大阪市立大学を卒業しました。その後は大阪のPL病院で初期研修と小児科研修を含めた6年間を過ごしました。その後、京都大学病院にて6年間勤務し、2022年より足立病院に勤務しています。

医師を目指されたきっかけをお聞かせいただけますか？

子どもたちを助ける仕事がしたいという思いから、小児科医を志し、医師を目指しました。医師を目指そうと考え始めたのは高校生の頃です。さまざまな職業を考える中で、直接人と関わり、その助けになる仕事をしたいと考え、医師を目指すようになりました。

小児科を選ばれた理由は何かございましたか？

子どもは自ら訴えることが難しい場合があり、その分診察所見や保護者の方からの情報をもとに判断するという点にやりがいを感じました。この魅力は医師になった後、さらに強く実感するようになりました。また、子どもが元気になる姿を見るのは大変嬉しく、やりがいを感じます。少々真面目な答えになりますが、これが私の思いです。

足立病院の特徴についてお聞かせいただけますか。

当院は明治時代に開設され100年以上の歴史がある産婦人科病院で、これまで女性の生涯をサポートする取り組みを続けてきました。2002年に小児科が、2022年にNICU（新生児集中治療室）が開設され、現在では産婦人科小児科病院としての役割を担っています。また近隣には、内科・眼科・泌尿器科など様々な関連施設があり、必要に応じて紹介を行うこともあります。

診察の際に先生が心掛けていらっしゃることはありますか？

患者さんの病気を治療することは当然ですが、患者さんやご家族が安心して・満足して過ごせることを大切にしています。そのために、わかりやすい説明を心掛け、ご家族が自宅に戻られた後に不安や疑問が残らないよう、丁寧に話を聞き説明するよう努めています。小児科での診察の多くは、感染症など自然に回復するケースが多いため、治療と同時にご家族が安心して過ごせるようにお声掛けすることを心掛けています。不安を取り除くという面に関しては、あたまの形外来を始めた理由にもつながっているのかなと思います。ヘルメット治療を受けるかどうかに関わらず測定結果を見て安心される方も多いですし、形が整うことで安心感を得られる場合もあります。そうしたニーズに応えることが大切だと考えています。

あたまの形外来を始められたきっかけについて教えていただけますか？

学会でヘルメット治療を知ったことがきっかけです。その後、1～3か月齢の相談が増えていることに気づきました。特に4か月健診で頭の形を気にされる方が多く、受診することで安心感を与えられるのにも意義があると感じています。

あたまの形外来を始めて何か感じられたことがあれば教えていただけますか？

当院は分娩数が多く、その後乳幼児健診に来られる方も多いのですが、ご心配されている方にあたまの形について相談できる場があることを伝えると、受診を希望される方が多い印象を受けました。また最近では、他府県から来られる方もおられ、相談する機会が不足している印象も受けています。

あたまの形外来の診察の流れについて、具体的に教えていただけますか？

基本的には、まずお電話で予約を取っていただきます。ヘルメット治療が可能な時期は、首が座り始める3ヶ月後半から4ヶ月以降です。来院後には身体診察と3D評価を行い、そのデータや頭の形に関する臨床的な観察を踏まえて、治療の適用があるかを判断します。そのうえで、ご家族のご希望があれば治療を開始するという流れになります。

月齢が適応に満たない場合は理学療法についてまず説明し、首が座る時期に再診していただきます。その際に3D評価を行い、治療の可否を相談させていただきます。ヘルメット治療を選択されない場合でも、頭の形が気になる場合には月齢を問わず早めに受診頂ければと思います。

診察で3D評価を行った際、親御様の感想はいかがですか？

3D画像は普段目にする機会が少ないため、正面の顔や頭部の形状を見て「かわいい」と喜ばれる親御様が多いです。特に、キャップを装着して撮影することで髪の毛に隠れていた部分がはっきりと現れ、頭の形状を正確に確認していただけます。そのため、親御様にとっても現状をより具体的に知っていただく有意義な機会となっています。

ヘルメット治療の効果について実感されていることはございますか？

装着開始後2か月くらい経過するころに、大きな改善が見られる方が多い印象です。海外のデータによれば治療成功率が95％とされていますが、当院でも改善が見られています。

治療を受けた方の感想についてはいかがでしょうか？

「思っていたよりヘルメットをすんなり受けいれてくれた」「頭の形が良くなったのでやって良かった」とのお声をいただいています。治療開始から1～2か月くらいで変化を実感される方が多く、ご家族にとって大変満足度の高い治療になっていると感じます。そうしたお声をいただくと、私たち医療従事者としても非常に嬉しく思います。

ヘルメット治療を行う上で、大変な点はありますか？

最初の1か月程度はヘルメットがずれやすいこともあり、「ずれている間に効果が薄れてしまうのではないか」と不安に感じる方もいらっしゃいます。ただ、ずれていても容易に外れてしまう状況でなければ効果はみられること、頭が大きくなってくると徐々にずれは減っていくことをご説明すると、ご安心ご理解いただけることがほとんどです。

それでも、ご家族にとって気になる点の1つであるように思います。

予約の方法について教えてください。

現在、予約はお電話のみで承っており、診療は完全予約制となっています。

最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。

ヘルメット治療を行うかどうかに関わらず、ご安心いただけるよう丁寧に診察・説明をさせていただきます。頭の形が気になる方や、その他なにか少しでも気になることがございましたら、お気軽にお越しください。