公開日2024年12月13日
赤ちゃんの頭の形、気になったら相談を!脳神経外科医の視点から見る治療法
先生の経歴についてお聞かせください。
1991年に慶應義塾大学医学部を卒業し、大学病院を中心に7年間研修医として働きました。その後、大田原赤十字(現・那須赤十字)病院の脳神経外科で7年間勤務し、その間に博士号も取得しました。その後、新しい幹細胞移植再生の研究のため、アメリカのジョージア州オーガスタに2年間留学する機会を得ました。そこでは様々な細胞を脳に移植して、各種疾患の治療に関する研究を行っていました。日本に帰ってきてからは、慶應義塾大学の生理学教室で4年ほど、引き続き幹細胞移植再生の研究を続けていました。2011年より、済生会横浜市東部病院で再び手術の経験を積み直すことにしました。その後、日野市立病院で脳神経外科を一から立ち上げて、5年間そこで勤務しました。そして現在は、自分のクリニックを開業して診療を行っています。
海外留学を決意された理由を教えていただけますか?
幹細胞移植再生治療というのは、まだ実現化していないのですが、脳梗塞になって半身不随になり、手足が動かない状態を改善するために、脳の再生ができれば非常に良いことです。そういった研究ができないかということは、もちろん日本国内でも行われていますが、やはり海外は非常に進んでいます。当時の教授が「留学に行きたいならいいぞ」と後押ししてくれたことも、決断の要因となりました。
先生が医師を目指されたきっかけを教えていただけますか?
子供の頃に怪我をして頭を切った時に縫ってもらった経験があります。その時に「困った時に助けてあげる立場になりたい」と思ったのが最初のきっかけです。また父からの勧めもありました。小学校の卒業文集にも「医師になりたい」と書いていましたね。笑
その中で脳神経外科を選ばれた理由を教えていただけますか?
もともと神経系に興味がありました。実は、私が卒業した1991年はがんの時代で、がん遺伝子が次々に見つかり、多くの医師ががん研究に注目していましたが、私としては、21世紀になっても最も解明が進んでいない臓器は脳だろうと考えていましたし、脳の研究は飽きることがないだろうと感じていました。当初は精神科にも興味があり、実習も経験しましたが、閉鎖病棟を見学した際に、統合失調症や認知症など、治らない病気が多いことを知りました。一方、脳神経外科では、手術によって治療できる可能性が高い疾患が多くあります。クモ膜下出血や慢性硬膜下血腫など、手術で治せる病気があることが、脳神経外科を選んだ大きな理由です。
クリニックを開業された当初、どんなクリニックにしたいと思われていましたか?
日野市立病院にいた経験から、この地域に脳神経外科系の専門医が不足していることを認識していました。また、脳の病気は患者さんにとって特に不安が大きいものです。脳は最も分かりにくい臓器なので、「もしかしたら何か病気があるのではないか」という不安を感じる方が多いのです。そういった不安を少しでも安心に変えていきたいという思いから、クリニックの理念を「不安を安心に」としました。「脳の不安を安心に」というのが私たちの目指すところです。
クリニックの中で特にこだわりのある場所や機器、工夫などありますか?
まず、病院らしさを前面に出さず、くつろげる空間作りを心がけています。カウンターの設置など、間取りにも気を配りました。特に重要なのはMRIの設置です。個人クリニックでMRIを備えているところは、この地域では、あまりありません。大きな病院では「検査は2週間後、結果説明はそのまた2週間後」というケースが多いのですが、患者さんの不安をできるだけ早く解消したいという思いから、その日のうちにMRI検査ができる体制を整えています。
診察される際に心がけていることを教えていただけますか?
「不安を安心に」という理念に基づき、できるだけ患者さんの不安を聞き出し、それを安心に変えていくことを最も大切にしています。最近はインターネットで情報を調べて来られる方も多いのですが、特に脳の場合は自己判断が難しい領域です。例えば、頭痛だけで脳腫瘍を心配される方もいらっしゃいますが、MRIで適切に診断し、「そうではない」とお伝えするだけでも、患者さんの気持ちは楽になります。このように、きちんとした診断と説明で不安を取り除くことを心がけています。
頭のかたち外来を開設しようと思ったきっかけを教えていただけますか?
私自身も絶壁なのですが、頭のかたちが悪くても機能的に問題がなければよいのではないかと考え、あまり気にしていませんでした。しかし、親戚のお子さんが斜頭症で頭のかたちが歪んでしまい、私のところに相談があったんですよね。最終的にヘルメット治療を受けることになり、頭のかたちがほぼ正常化したのです。ご両親やおじいちゃんおばあちゃんがとても喜ばれている姿を見て、「これほど喜ばれるのであれば、私もやってみたいな」と考えるようになりました。この地域では頭のかたち外来を実施している施設がなかったことも後押しになりました。
初診の診察の流れについて教えていただけますか?
まずは、電話で受診のご予約をお取りください。金曜日と土曜日に専門外来を設けています。初診では、お子さんの頭のかたちを3Dカメラで撮影させていただきます。撮影したデータの測定結果は、金曜日診察の場合は当日中に、土曜日診察の場合は月曜日に出ます。測定結果を基に、お子さんに治療が適しているかどうかを判断させていただき、その後の治療方針についてご説明させていただきます。土曜日の診察を設けているのは、ご両親お二人で来やすいかなと思い開設させていただきました。
いつ頃に受診するのがいいですか?
生後3〜4か月ごろに受診いただくのがよいと思います。経過観察や指導など、対応できる選択肢が多いためです。生後3か月未満ではヘルメット治療は難しいですが、指導等はできますので、お気軽に受診ください。
読者の方へのメッセージをお願いします。
頭のかたちの問題は、必ずしも病気とは言えませんが、中には病的なケースもあります。また、将来頭の歪みで悩むお子さんや大人になってから悩む方も少なくありません。心配になったら、一人で不安を抱え込まずに、ぜひご相談ください。また、頭のかたちに限らず、頭痛でお悩みの方も多いと思います。最近は片頭痛の新しい治療薬も出てきており、片頭痛の回数を大幅に減らすことができるようになってきています。「頭痛ぐらいで」と我慢せずに、ぜひご相談ください。特に頭の症状は専門性が高い分野ですので、早めに専門医に相談していただければと思います。
ヘルメット治療について
治療の流れ
初診では、お子さんの頭のかたちを3Dカメラで撮影させていただきます。 測定結果を基に、お子さんに治療が適しているかどうかを判断し、その後の治療方針についてご説明させていただきます。
費用
33万円(税込) ※クレジットカード払いも可能です。
診察日時
金曜日・土曜日 午前中
予約
ご予約はお電話にてお願いいたします。
相談窓口
アクセス
電車・バスでお越しの方: JR中央本線 豊田駅北口より徒歩2分
お車でお越しの方: 当院に向かって左側の通路を入ってください。マンション裏側にある駐車場、2番、3番が当院の駐車場です。 駐車された場合、受付でその旨をお伝えください。札をお渡しいたしますのでフロントに掲示してください。ご帰宅の際には札をお返しください。