公開日2024年11月18日

頭のかたち外来とは? 飯野病院 吉川先生・井原先生に聞くヘルメット治療の流れと注意すべきポイント

飯野病院
井原 哲 先生 / 吉川 香代先生
飯野病院で頭のかたち外来を担当する、小児科の吉川先生と都立小児総合医療センターで小児脳神経外科を専門にされている井原先生にお話を伺いました。お二人とも長年の臨床経験を持ち、数多くのお子様の治療に携わってこられました。医師としての経歴から、診療についての考え方、治療の実際まで、じっくりとお話を聞かせていただきました。

先生方のこれまでのご経歴についてお聞かせいただけますか?

井原先生:

1997年に筑波大学を卒業し、すぐに脳外科医局に入局しました。2005年に成育医療センターで勤務し、小児脳神経外科を専門とするようになりました。2013年からは都立小児総合医療センターに勤務し、小児脳神経外科全般の治療を担当しています。2年前から飯野病院での頭のかたち外来を担当しています。

吉川先生:

2001年に日本大学を卒業後、小児科研修を経て、国立甲府病院で新生児を中心とした一般小児科診療に2年間従事しました。その後、都立豊島病院で新生児医療に1年半従事し、日本大学板橋病院の新生児科病棟医長を経て、2019年から飯野病院の小児科を担当しています。

医師を目指されたきっかけと、小児領域を選ばれた理由を教えてください。

井原先生:

もともとは研究者を志望していましたが、高校2年生の時に担任の先生から医学部を勧められたのがきっかけでした。その後、小児脳外科医として歩む中で、この道を選んで良かったと実感しています。小児脳外科の魅力は、お子様の様々な症状に総合的に対応できることです。診る病気の種類も幅広く、15歳以下のお子様の脳神経に関わるあらゆる治療に携わることができます。

また、私に合っていたのは「子どもの病気は必ず治すべきもの」ということに揺るぎがないことです。お子様の治療に関しては迷いなく、全力で取り組めることにやりがいを感じています。

吉川先生:

医師の道に進んだのは、家族から勧められていたことと、中学生の時に祖父が脳梗塞で倒れ、リハビリに付き添った経験がきっかけです。新生児科を選んだ理由は、赤ちゃんの成長に寄り添える喜びがあるからです。内科のように特定の臓器だけでなく、赤ちゃんの体全体を診ることができます。また、早く生まれた赤ちゃんも、ご家族と一緒に育てていくお手伝いができる。その過程で、お子様の成長を一緒に見守れることが何より嬉しいです。

診察時に心がけていらっしゃることを教えてください。

井原先生:

お子さんが脳外科の病気にかかるというのは、ご家族にとって想定外の出来事で、大きなショックだと思います。時には厳しい説明をしなければならないこともありますが、その中でも常に希望を持っていただけるような話し方を心がけています。

特にお子さんに対しては、緊張せずリラックスして診察を受けてもらえるよう配慮しています。また、生まれつきの病気の場合、お母様が自分を責めてしまうことも多いのですが、「これは運が悪かっただけで、お母様の責任ではありません」としっかりお伝えするようにしています。

吉川先生:

まずは相談しやすいかかりつけ医であることを大切にしています。当院は出産からその後の成長まで、継続的にお子様を診させていただくことができます。予防接種はもちろん、頭の形の相談、普段の育児の心配事など、どんな些細なことでもお話しいただければと思っています。

病院の特徴や強みについてお聞かせください。

吉川先生:

当院の強みは、小児科として総合的な診療ができる点です。例えば、ヘルメット治療で1か月ごとに来院される際に、予防接種や6か月健診、9か月健診なども同時に実施できます。また、駅からすぐという立地と、中央道のインターにも近いという交通の利便性も特徴です。

井原先生:

頭蓋骨縫合早期癒合症の鑑別診断は私の専門領域でありますので、この分野での豊富な経験を活かした診断が可能です。患者さんにとっては他の専門病院まで行かなくても済むというメリットがあるのではないかと思います。

頭のかたち外来を開設されたきっかけを教えてください。

吉川先生:

以前は、「頭の形の歪みは寝返りを始めれば自然に治る」という話もありましたが、実際に9か月になっても歪みが改善しなかったというケースもあり、頭の形の歪みには対応する必要があると認識していました。

日本大学板橋病院でも頭蓋変形外来が始まったことと、当院の患者さんでもヘルメット治療を受けているお子様がいらしたこともあり、当院でも導入ができればと考えたことがきっかけです。

頭のかたち外来を開設されてからの患者さんの反響はいかがですか?

吉川先生:

開設当初から患者さんが多く来てくださり、反響を実感しています。いまでは、おかげさまで地域の小児科の先生方や児童館などでの情報連携が進み、当院周辺では、頭のかたちに気を付けることが一般的になりつつあります。

ヘルメット治療の矯正効果についてはいかがでしょうか?

吉川先生:

当院で使用しているベビーバンドは、予想以上の改善効果が見られています。特に、治療開始直後の2か月間の改善効果が高いのが特徴です。平均して、3~4か月程度の治療期間になっています。

井原先生:

手術での治療と同じくらい、あるいはそれ以上に患者さんやご家族に喜んでいただけることが多く、医師冥利に尽きます。

初診の具体的な流れを教えてください。

吉川先生:

初診は全て電話予約制で受け付けています。3か月を超えているお子様の場合、まず写真撮影を行い、その結果を30分後に確認します。結果が中等症以上の場合は、ヘルメット治療の説明をして、治療を行うかどうかを検討していただきます。

軽症以下の場合は、通常ヘルメット治療は行わず経過観察となります。治療を行う場合は、次回の頭のかたち外来の予約を取っていただき、その間にヘルメットの柄を選んでいただきます。初診全体の所要時間は、撮影から結果説明まで含めて約1時間です。

治療開始の適切な時期についてはどのようにお考えですか?

吉川先生:基本的には3~4か月頃をお勧めしています。2か月以下の場合は首がまだ座っていないことも多いため、主にタミータイムなどの指導が中心となります。

2か月以下の場合は、適切な指導により、ヘルメット治療が必要になるケースが少なくなります。予防接種等に合わせて受診いただくことも可能です。

ヘルメット治療をする上で気をつけるべきことや、ご心配な点について教えてください。

吉川先生:

気をつけるべき点として考えられるのが皮膚トラブルですが、現在は製品の改良により、そういった心配はほとんどなくなりました。皮膚トラブルがあった場合もベビーバンドアプリを通じて共有があり、迅速に対応をさせていただいております。

診療体制について教えてください。

吉川先生:

診療は月・火・水・金の週4日で行っています。

費用体系について教えてください。

吉川先生:

写真撮影は1回1万円です。この費用は、後にヘルメット治療を行う場合は治療費に含まれます。つまり、ヘルメット治療費38万円から初回撮影費用の1万円を差し引いた37万円をお支払いいただくことになります。

最後に、受診を考えている方へメッセージをお願いします。

吉川先生:

まずは気軽にご相談ください。当院に相談に来られる方の中で、実際にヘルメットを作製される方は約半数です。また平日であれば、いつでも計測が可能です。ご心配な点があればお電話で予約をおとりください。

井原先生:

小児脳外科の専門家として、頭蓋骨縫合早期癒合症の鑑別はしっかりとさせていただきます。ヘルメット治療は、形の改善が主な目的となります。必要以上に不安をあおることなく、正確な情報をお伝えさせていただきます。

ヘルメット治療について

治療の流れ

3か月を超えているお子様の場合、まず写真撮影を行い、その結果を30分後に確認します。 結果が中等症以上の場合は、ヘルメット治療の説明をして、治療を行うかどうかを検討していただきます。

費用

38万円(税込)

診察日時

月・火・水・金曜日

予約

電話にて予約をお取り下さい。 電話受付時間 月・火・水・金・土9時~17時

相談窓口

042-483-8811

アクセス

電車・バスでお越しの方: 電車:京王線調布駅 東口駅前 バス:調布駅バスターミナルより徒歩1分

お車でお越しの方: 中央道調布ICから約8分

公開日2024年11月18日

頭のかたち外来とは? 飯野病院 吉川先生・井原先生に聞くヘルメット治療の流れと注意すべきポイント

飯野病院
井原 哲 先生 / 吉川 香代先生
飯野病院で頭のかたち外来を担当する、小児科の吉川先生と都立小児総合医療センターで小児脳神経外科を専門にされている井原先生にお話を伺いました。お二人とも長年の臨床経験を持ち、数多くのお子様の治療に携わってこられました。医師としての経歴から、診療についての考え方、治療の実際まで、じっくりとお話を聞かせていただきました。

先生方のこれまでのご経歴についてお聞かせいただけますか?

井原先生:

1997年に筑波大学を卒業し、すぐに脳外科医局に入局しました。2005年に成育医療センターで勤務し、小児脳神経外科を専門とするようになりました。2013年からは都立小児総合医療センターに勤務し、小児脳神経外科全般の治療を担当しています。2年前から飯野病院での頭のかたち外来を担当しています。

吉川先生:

2001年に日本大学を卒業後、小児科研修を経て、国立甲府病院で新生児を中心とした一般小児科診療に2年間従事しました。その後、都立豊島病院で新生児医療に1年半従事し、日本大学板橋病院の新生児科病棟医長を経て、2019年から飯野病院の小児科を担当しています。

医師を目指されたきっかけと、小児領域を選ばれた理由を教えてください。

井原先生:

もともとは研究者を志望していましたが、高校2年生の時に担任の先生から医学部を勧められたのがきっかけでした。その後、小児脳外科医として歩む中で、この道を選んで良かったと実感しています。小児脳外科の魅力は、お子様の様々な症状に総合的に対応できることです。診る病気の種類も幅広く、15歳以下のお子様の脳神経に関わるあらゆる治療に携わることができます。

また、私に合っていたのは「子どもの病気は必ず治すべきもの」ということに揺るぎがないことです。お子様の治療に関しては迷いなく、全力で取り組めることにやりがいを感じています。

吉川先生:

医師の道に進んだのは、家族から勧められていたことと、中学生の時に祖父が脳梗塞で倒れ、リハビリに付き添った経験がきっかけです。新生児科を選んだ理由は、赤ちゃんの成長に寄り添える喜びがあるからです。内科のように特定の臓器だけでなく、赤ちゃんの体全体を診ることができます。また、早く生まれた赤ちゃんも、ご家族と一緒に育てていくお手伝いができる。その過程で、お子様の成長を一緒に見守れることが何より嬉しいです。

診察時に心がけていらっしゃることを教えてください。

井原先生:

お子さんが脳外科の病気にかかるというのは、ご家族にとって想定外の出来事で、大きなショックだと思います。時には厳しい説明をしなければならないこともありますが、その中でも常に希望を持っていただけるような話し方を心がけています。

特にお子さんに対しては、緊張せずリラックスして診察を受けてもらえるよう配慮しています。また、生まれつきの病気の場合、お母様が自分を責めてしまうことも多いのですが、「これは運が悪かっただけで、お母様の責任ではありません」としっかりお伝えするようにしています。

吉川先生:

まずは相談しやすいかかりつけ医であることを大切にしています。当院は出産からその後の成長まで、継続的にお子様を診させていただくことができます。予防接種はもちろん、頭の形の相談、普段の育児の心配事など、どんな些細なことでもお話しいただければと思っています。

病院の特徴や強みについてお聞かせください。

吉川先生:

当院の強みは、小児科として総合的な診療ができる点です。例えば、ヘルメット治療で1か月ごとに来院される際に、予防接種や6か月健診、9か月健診なども同時に実施できます。また、駅からすぐという立地と、中央道のインターにも近いという交通の利便性も特徴です。

井原先生:

頭蓋骨縫合早期癒合症の鑑別診断は私の専門領域でありますので、この分野での豊富な経験を活かした診断が可能です。患者さんにとっては他の専門病院まで行かなくても済むというメリットがあるのではないかと思います。

頭のかたち外来を開設されたきっかけを教えてください。

吉川先生:

以前は、「頭の形の歪みは寝返りを始めれば自然に治る」という話もありましたが、実際に9か月になっても歪みが改善しなかったというケースもあり、頭の形の歪みには対応する必要があると認識していました。

日本大学板橋病院でも頭蓋変形外来が始まったことと、当院の患者さんでもヘルメット治療を受けているお子様がいらしたこともあり、当院でも導入ができればと考えたことがきっかけです。

頭のかたち外来を開設されてからの患者さんの反響はいかがですか?

吉川先生:

開設当初から患者さんが多く来てくださり、反響を実感しています。いまでは、おかげさまで地域の小児科の先生方や児童館などでの情報連携が進み、当院周辺では、頭のかたちに気を付けることが一般的になりつつあります。

ヘルメット治療の矯正効果についてはいかがでしょうか?

吉川先生:

当院で使用しているベビーバンドは、予想以上の改善効果が見られています。特に、治療開始直後の2か月間の改善効果が高いのが特徴です。平均して、3~4か月程度の治療期間になっています。

井原先生:

手術での治療と同じくらい、あるいはそれ以上に患者さんやご家族に喜んでいただけることが多く、医師冥利に尽きます。

初診の具体的な流れを教えてください。

吉川先生:

初診は全て電話予約制で受け付けています。3か月を超えているお子様の場合、まず写真撮影を行い、その結果を30分後に確認します。結果が中等症以上の場合は、ヘルメット治療の説明をして、治療を行うかどうかを検討していただきます。

軽症以下の場合は、通常ヘルメット治療は行わず経過観察となります。治療を行う場合は、次回の頭のかたち外来の予約を取っていただき、その間にヘルメットの柄を選んでいただきます。初診全体の所要時間は、撮影から結果説明まで含めて約1時間です。

治療開始の適切な時期についてはどのようにお考えですか?

吉川先生:基本的には3~4か月頃をお勧めしています。2か月以下の場合は首がまだ座っていないことも多いため、主にタミータイムなどの指導が中心となります。

2か月以下の場合は、適切な指導により、ヘルメット治療が必要になるケースが少なくなります。予防接種等に合わせて受診いただくことも可能です。

ヘルメット治療をする上で気をつけるべきことや、ご心配な点について教えてください。

吉川先生:

気をつけるべき点として考えられるのが皮膚トラブルですが、現在は製品の改良により、そういった心配はほとんどなくなりました。皮膚トラブルがあった場合もベビーバンドアプリを通じて共有があり、迅速に対応をさせていただいております。

診療体制について教えてください。

吉川先生:

診療は月・火・水・金の週4日で行っています。

費用体系について教えてください。

吉川先生:

写真撮影は1回1万円です。この費用は、後にヘルメット治療を行う場合は治療費に含まれます。つまり、ヘルメット治療費38万円から初回撮影費用の1万円を差し引いた37万円をお支払いいただくことになります。

最後に、受診を考えている方へメッセージをお願いします。

吉川先生:

まずは気軽にご相談ください。当院に相談に来られる方の中で、実際にヘルメットを作製される方は約半数です。また平日であれば、いつでも計測が可能です。ご心配な点があればお電話で予約をおとりください。

井原先生:

小児脳外科の専門家として、頭蓋骨縫合早期癒合症の鑑別はしっかりとさせていただきます。ヘルメット治療は、形の改善が主な目的となります。必要以上に不安をあおることなく、正確な情報をお伝えさせていただきます。

ヘルメット治療について

治療の流れ

3か月を超えているお子様の場合、まず写真撮影を行い、その結果を30分後に確認します。 結果が中等症以上の場合は、ヘルメット治療の説明をして、治療を行うかどうかを検討していただきます。

費用

38万円(税込)

診察日時

月・火・水・金曜日

予約

電話にて予約をお取り下さい。 電話受付時間 月・火・水・金・土9時~17時

相談窓口

042-483-8811

アクセス

電車・バスでお越しの方: 電車:京王線調布駅 東口駅前 バス:調布駅バスターミナルより徒歩1分

お車でお越しの方: 中央道調布ICから約8分