公開日2024年11月12日
森岡先生が解説する頭蓋変形に対するヘルメット治療の効果、診療の流れ、開始時期のポイント
森岡先生の経歴について教えてください。
日本大学医学部卒業後、神戸大学や広島県呉市の病院で研修を積み、神戸大学大学院医学系研究科小児科学に進学しました。大学院修了後は、スタンフォード大学で新生児黄疸の研究に携わりました。帰国後は主に神戸大学で新生児医療に従事し、2018年に日本大学に移りました。
小児科、特に新生児医療を選んだ理由は何ですか?
小児科教授の原田研介先生の小児先天性心疾患についての講義を聴いて、「これは、すごい」と衝撃を受けて小児医療に興味をもったんです。当時、内科や小児科でも臓器別の専門化が進んでいた中で、新生児医療は出来始めたばかりの分野でした。取り扱う領域が赤ちゃんに関することは全てという部分も、大きな可能性を秘めた未知の領域だと感じまして新生児医療に進もうと決意しました。
医師を目指したきっかけは何だったのでしょうか?
高校時代の入院経験がきっかけでした。15歳の時に健康診断で若年性高血圧と診断され高校1年生の時はずっと検査入院を繰り返していました。結局、明確な原因はわからずじまいで、病気の原因が分からないことの苦しさを身をもって知ったことと、自分自身で解決することができないかなと思うようになったことが、医師を目指すことになったきっかけです。
頭の形外来を始めたきっかけを教えてください。
元々、早産児医療をしていると、保育器に長く入ることで頭の形が伸びてしまう赤ちゃんがいるんです。それをなんとかしたいとずっと思っていました。そんな中、ヘルメット治療の可能性を知り、大学で頭の形の研究と外来を始めることにしました。最初は手探りでしたが、多くの方々の協力を得て、徐々に広がってきたと感じています。
板橋中央総合病院附属 板橋セントラルクリニックの特徴について教えてください。
板橋中央総合病院附属 板橋セントラルクリニックでは、私は週1回の3時間、頭の形外来を担当しています。当院の頭部CT検査は、板橋中央総合病院と連携して最先端のフォトンカウンティングCTを使用しており、お子さまがほとんど被曝することなく病的変形の有無の診断が可能です(自然放射線による1日被曝線量と同等です)。
診療時に心がけていることは何ですか?
「優しく、丁寧に、親切に」接することを心がけています。当たり前ですが、初診の患者さんは、皆さん初対面なので、最初から本音は言い出しづらいと思います。懇切丁寧に患者さんと接すると自然と患者さんから本当のニーズを話してくれるので、そのニーズに対応して、ここに来て良かったと思ってもらえるよう心がけています。
ヘルメット治療の効果はどうですか?
とてもよく改善していきますね。通常4か月の治療期間と説明しますが、それより短く終わるケースもあります。
患者さんの満足度はいかがですか?
外来を開始してから多くの患者さんをみてきましたが、皆さん満足度は高いですね。
初診の流れを教えてください。
ご来院されたまず、視診にて「ここが気になるなんですね」と簡易に重症度の評価を行った上で、3️Dカメラでの撮影を実施します。3Dカメラによる結果は、当日中にお示しします。
具体的な数値をもとにした重症評価をもとに、受診された時点での月齢なども考慮して方向性を決めていきます。
先生の外来を受診するにはどうしたらよいですか?
予約制になりますので、病院に電話してご都合のいい日時でご予約ください。
治療を始めるタイミングはいつが良いでしょうか?
理想は4か月頃ですね。3、4か月健診で頭の形を指摘されることもあり、そういった場合は、私の外来に来ていただくと、一旦様子をみるなどのヘルメット治療以外の選択肢も検討できます。私たちの研究データから見ても、3、4か月くらいが頭の変形のピークになります。それ以降は自然と良くなるケースもあったりするので、1か月様子をみて変化がなければ5か月で開始というパターンもいいと思います。ヘルメット治療をしなくても改善する人には、ヘルメット治療は不要なので、変形のピークを見極めるのが大事なんです。治療するかどうか非常に悩まれる人もいますが、迷うケースは存分に迷っていただきたいなと思っています。決断を急ぐ必要はないです。
治療開始の上限はありますか?
頭の成長の著しい6か月までに開始するのが望ましいですが、7か月以降でも治療の効果が全くないわけではないので、患者さんと相談をして治療するか判断しています。
治療期間と頻度について教えてください。
ヘルメット治療を行うと決定してから、2週間後に装着します。そこから月1回ずつ、だいたい4か月ですね。つまり、発注から装着、そしてその後4回のフォローアップが標準です。ただし、個人差があります。3回で終わる人もいれば、5回必要な人もいます。
最後に読者の方へのメッセージをお願いします。
頭の形に関しては、まだまだ科学的な検証が足りないんです。これからもしっかりとエビデンスに基づいた治療ができるよう、環境づくりを進めていきたいと思います。低月齢時での頭の変形の予防方法やヘルメットによる治療や効果など、今後も私たちでわかったことは、世の中に積極的に還元し、頭の形にお悩みの患者さんを減らしていければと思っています。
ヘルメット治療について
治療の流れ
視診にて簡易に重症度の評価を行った上で、3Dカメラでの撮影を実施します。結果は、当日中にお示しします。 具体的な数値をもとにした重症評価から、受診された時点での月齢なども考慮して方向性を決めていきます。
費用
スタッフまでお尋ねください。
診察日時
火曜日 午後 受付 12:40~15:30 診療 14:00~16:00
予約
お電話にてご予約ください。
相談窓口
03-3967-9915
アクセス
電車・バスでお越しの方: 都営三田線 志村坂上駅より徒歩1分。
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