公開日2024年10月22日
赤ちゃんの頭の形が気になるなら早めの相談を—片桐先生が教える頭の形外来
先生のご経歴を教えてください。
2004年日本大学医学部卒業後、同大学で臨床研修を行い、日本大学医学部附属板橋病院脳神経外科に入局しました。同大学院では脳血流に関する研究を行い、医学博士を取得しました。その後、埼玉県立小児医療センター脳神経外科、相模原協同病院、東京曳舟病院、板橋中央総合病院脳神経外科で臨床を行い、研鑽を積みました。 病院勤務時代は開頭手術と血管内手術の両方を行うハイブリッド脳外科医として多くの手術を行っていましたが、そのころ眼科医である妻が産後に片頭痛を悪化させていることにとても心を痛めておりました。
そこで頭痛診療に興味を持ち、頭痛の権威である東京女子医科大学脳神経外科の先生に弟子入りをさせていただき、もっと多くの頭痛に困っている方の手助けができればと思いました。板橋中央総合病院で、手術を行う傍ら、頭痛外来を立ち上げました。その後、より患者さんが通いやすいクリニックができればと思い、開業を決意しました。
医師を目指されたきっかけは何だったのでしょうか。
もともと医師家庭に育ったこともあり、幼い頃から医師になるのが自然な流れだと思っていました。患者さんのために休日や夜中に呼び出されても一生懸命働き、患者さんの命を救う父の姿を見て、医師という職業の素晴らしさを感じていました。父も脳神経外科医で、脳外科は大変だと聞かされていたのですが、手術が好きだということもありこの道を選びました。
クリニックを開院したきっかけを教えてください。
板橋中央総合病院で頭痛外来を立ち上げ、多くの患者さんに受診していただく外来に成長しました。ですが、病院であるが故に、紹介状が必要なことや、初診料が高いこと、患者さんは1日がかりの受診になってしまうこと、頭痛の原因となっている他科への紹介や連携が取りづらいこと等々の問題が発生しました。それらの問題を全て解決するために「お茶の水頭痛めまいクリニック」を開院しました。
頭痛の治療には眼科や耳鼻科などとの連携が必要な場合が多いのですが、幸いなことに妻が眼科、義父が耳鼻科の専門医であり、そうした連携がスムーズに行える環境にあります。これにより、頭痛治療を総合的に行うことができるクリニックを実現することができました。 頭痛の治療は非常に奥が深く、しっかりと治療を行うと、患者さんの満足度はとても高く、皆さん喜んでくださることが多いです。特に最近では、新しい治療法が次々と登場して効果が飛躍的に向上しています。患者さんの治療がより充実して、私自身もとてもやりがいを感じています。
クリニックの中で特にこだわっているところはどこですか?
すべての診療科で患者さんの負担を減らすように、受付から検査・診察までをクリニック内で、スムーズに行えるよう、工夫しております。赤ちゃんの頭の形外来についても、クリニック内にエコー検査を完備し、診断までをスムーズに行えるシステムを整えております。
大学病院や総合病院では、時に違う医師が担当することもあり、患者さんが不安に感じることがありますが、クリニックでは私ともう一人の医師が毎回診察を行います。また、患者さんが気軽に相談できるよう、公式LINEなどを使ったコミュニケーションも取り入れています。待合室はカフェ風にし、リラックスできる空間を心がけ、授乳室やおむつ替えスペースもございます。さらに、フリーWi-Fiや充電用コンセント も完備し、患者さんが待ち時間を快適に過ごせるように配慮しています。
診察時に心がけていることは何ですか。
頭痛やめまいの患者さん、また、赤ちゃんの頭の形外来にいらっしゃる患者さんは、他の医療機関で十分に理解されず、辛い思いをされることもあるようです。赤ちゃんのヘルメット治療は費用面で悩まられる方も多いと思います。高額ゆえに躊躇したことで、医師から温かい対応を得られなかったという話を耳にしたこともあります。
当クリニックでは、価格面にも可能な限り配慮致しております。また、外来を行う際には、優しさを持って接することを最も大切にしています。常に気遣いの気持ちを忘れずに、スタッフ全員がその姿勢を徹底するようにしています。
頭の形外来を始めたきっかけについても教えていただけますか。
板橋中央総合病院で頭痛外来を行っていたころ、小児科から頭の形外来をやるので脳外科でも一緒に診療してくれないかという提案がありました。 頭痛のある方で、頭の歪みがある方が相当数いらっしゃる印象があったため元々頭の形には興味があり、是非治療に携わりたい と思ったのがきっかけです。
また、小児の頭蓋変形に関する研究を専門にし、大学病院でも頭の形外来を行っている小児科の長野先生は大学の同級生です。小児科医と脳神経外科医という、お互いにないところを補いあう組み合わせで一緒に赤ちゃんの頭の形外来を行えたらと話が進み、長野先生も月一回お茶の水頭痛めまいクリニックの外来を担当してくださることになりました。
クリニックでの治療の流れについて教えていただけますか。
まず、予約はWebで簡単に取ることができます。初診では、問診でこれまでの成長についてや、患者さんの気になる点をお聞きし、頭部の3D写真撮影を行います。頭蓋骨縫合早期癒合症という骨の病気がないかどうか院内でエコー検査、時に必要な場合にはレントゲン撮影を用いて診断し、その日のうちに結果をお伝えいたします。レントゲン検査を当日に行わない場合には結果が出るまで約20分程度です。
治療が必要な場合は、患者さんと相談の上、治療方針を決定します。また、ヘルメット治療を開始するかどうか、ご家族と相談してから決めたい場合には、後日公式LINEでご連絡をいただくことも可能です。再度来院する必要がない場合が多く、患者さんにとって便利な体制を整えています。 再診は、ヘルメットを装着し始めて1週間後くらいに皮膚のチェックを行い、その後は1カ月~1カ月半に1回くらいです。
ヘルメット治療はいつ頃始めるのがいいですか?
首が座ってすぐくらいに始めるのがベストです。早めに始めていただくと、良くなるのも早いです。月齢2ヶ月、3ヶ月くらいだとヘルメットを行うにはまだ早いので、その時は早期癒合がないかどうかしっかりチェックさせていただいて、生後4ヶ月くらいになったらまたクリニックにいらしていただいています。
治療の効果についてはいかがでしょうか。
頭の形に対する治療の効果は大きいです。ただし、長頭症を伴う斜頭症の患者さんや、治療開始が遅い患者さんについては、通常に比べて改善が緩やかな場合があります。しかし、適切にヘルメットを使用すれば多くの場合、良好な結果が得られます。 治療を受けた患者さんは、ほとんどが満足されています。 特に、治療が終わるときには、取り扱いのしやすいベビーバンドで良かった、また気軽に相談できる当院で治療を行なって良かったと言っていただけることが多いです。
頭の形外来を始めてみて、いかがですか?
おかげさまで、多くの患者さんにご来院いただき、頭の形外来の患者さんも開院1年を待たずに100名を超えました。 公式LINEなどでも赤ちゃんの頭の形についてご相談を頂くことが多いですね。最近は海外からのご相談もあります。日本に帰国してすぐに始めたい、治療途中で海外との行き来をする場合は大丈夫か、などですが、いずれも対応させていただいております。連休中などはお休みの病院が多いですが、私たちも子供がおり、心配なお気持ちがわかりますので、いつでも連絡していただければと思います。これからも患者さんに寄り添った対応をしていきたいと考えています。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
頭の歪みが残ると、大人になってから左右の目や、耳の位置がずれて美容の面だけではなく、メガネがかけにくくなる可能性などもあります。この治療は赤ちゃんの頃にしかできないものです。最初は費用が高く感じるかもしれませんが、それによって将来の悩みが解決できるのであれば、決して高い金額ではないのではないかと考えています。実際に治療を受けた親御さんの中でも、同じようにおっしゃっている方が多くいらっしゃいます。
日本でヘルメット治療が広まってすぐの頃から治療に関わり経験を積んできましたので、安心してご相談に来ていただければと思っています。また、産後に頭痛がひどくなる方が多く、頭の形外来と一緒にお母さんが頭痛で受診されているケースもよくあります。ご家族の健康をトータルでサポートできればと思っています。
ヘルメット治療について
治療の流れ
初診では、患者さんの気になる点をお聞きし、頭部の3Dスキャンを行います。エコー検査、さらに必要な場合はレントゲン検査を用いて頭蓋骨縫合早期癒合症の診断をし、患者さんと相談の上、治療方針を決定します。3Dスキャンとエコー検査については放射線被爆はありません。
費用
38万円(税込)
診察日時
月・水・木曜日(初診は12:50~13:30) 土曜日(初診は9:30〜13:30)
予約
電話またはWebにてご予約ください。 クリニックLINEにてご相談も受け付けております。
相談窓口
03-5577-2291
アクセス
電車・バスでお越しの方: 御茶ノ水駅から徒歩2分
お車でお越しの方: 近隣にコインパーキングあり