公開日2024年10月28日
3Dスキャンと視診・触診で赤ちゃんのゆがみを総合評価 - 能登先生の頭の形専門外来
まず初めに、先生のこれまでの経歴を簡単にお聞かせいただけますでしょうか。
聖マリアンナ医科大学を卒業後、日本大学の板橋病院で2年間の研修を行いました。もともと父が小児科医だったこともあり、小児科には興味がありました。日大板橋病院の小児科は臨床も研究も両方ともすごく熱心な先生が多く、日本大学板橋病院の小児科に入局しました。その後、沼津市立病院に3年間勤務しました。ここでは2人の子どもにも恵まれ、私にとって第二の故郷のような場所です。その後、氷川台のと小児科クリニックを経て、サンスカイのと小児科クリニックの開業にいたります。
医師を目指したきっかけを教えていただけますか?
父が医師だったことは、幼いころから医師を目指すきっかけになったと思います。父は、日本大学板橋病院で勤務医として働いていた際、「とにかく困っている人がいれば助ける、病気で苦しんでいる人がいれば全力で助ける」という強い精神のもと、常に病院の患者さんのことを考えていました。そのような家庭環境で育ちましたので、私も自然と同じように困っている人がいれば助けたいと思うようになり、医師を目指すようになったと思います。実際自分の子供が生まれて、医者を目指す考えや、やっていてよかったなと思うような価値観がかなり変わりました。子供が生まれて自分が親になって、親御さんの悩みとかが自分ごとのように分かってから、医者としても深みが出たと感じています。親としての成長が医療に還元されているように思います。自分が親になって、医者になって小児科を選んで、やっぱりよかったなっていうのが今すごくありますね。
どんなクリニックにしようと思っているのでしょうか?
日本の小児科クリニックは海外の小児科クリニックと比較して「病院が楽しい!」と思えるような内装デザインのクリニックが少ないと感じています。そこで私は、「あの病院楽しそうだから行きたい!」と思える遊園地のようなクリニックデザインを考えました。病気や予防接種で痛い思いをしても、クリニックのデザインで気分が変わるような環境づくりを心がけました。また当院は絵本にかなり力を入れています。待合にテレビはありません。現在150冊を超える絵本を用意し、クリニックにて絵本読み聞かせイベントも行っています。絵本の読み聞かせは言語発達によい影響があるだけでなく親子の会話のきっかけになります。
忙しくて普段自宅で読み聞かせをする時間のないご家族へ、診察の待ち時間を利用して読み聞かせをしていただければと思っています。またお子さんが新しい本を発見し、1人読みのきっかけになればと本の選定にもこだわっています。今では診察が終わった後に本を1冊読んで満足されて帰宅されるご家族や、絵本を持って帰りたいというお子さんも多く見かけます。
病気を治すだけでなく、クリニック受診がお子さんの成長発達全体によい影響を与えられるようなクリニックを目指しています。
こだわりの設備はありますか?
デザインや環境だけでなく、当たり前ですが感染対策にもこだわっています。当院は入口が2つあり、発熱と非発熱で入口の動線が別となっています。また発熱外来は個室待合室を5つ完備していますので発熱の患者さん同士が接触することもありません。希望があれば個室待合室を利用することができますので、頭の形外来で受診される方や月齢の低いお子さんで他の患者さんとの接触を避けたい場合も利用することが可能です。
頭の形外来を始めようと思ったきっかけは何でしょうか。
氷川台のと小児科クリニックの時に、大学病院や中規模病院とは異なる一次医療の現場を経験して初めて、頭の形で悩む親御さんがこんなにも多いことを知りました。日大の森岡教授に相談したところ、クリニックとして、乳児の頭の形の自然経過に関する臨床研究に参加させてもらい、ありがたいことに論文まで出させてもらいました。乳児の頭の変形が自然に治らないケースがあるということを小児科として日本で初めて出せました。
今も頭の形についてのご相談は多いですか?
はい、非常に多いです。以前のクリニックでも、東京で3Dスキャンができる研究協力施設としてブログで情報を発信したところ、港区や中野区、埼玉など、様々な地域から患者さんが来院されるようになりました。親御さんは子どもの頭の形の重症度を知りたいという思いが強いのですが、実際にヘルメット治療をするかどうかは迷われる方も多いです。経済的な面や毎日の装着の大変さなど、良い点も悪い点もきちんと説明した上で、本当に必要な方だけがヘルメット治療を選択されるよう心がけています。
ヘルメット治療の効果はいかがでしょうか。
皆さん目に見えてよくなってくるので、効果は実感しています。「この状態だったらヘルメット治療はやらなくていいねと思うくらいに良くなりました」と皆さんおっしゃっていただけていて満足度は高いです。
頭の形外来の初診の流れを教えてください。
3Dスキャンによる測定を行い、変形具合の説明とともに頭の変形についての概要やヘルメット療法や理学療法の説明をします。私はブログを書いていますので、事前にブログの記事を読まれて来院される方も多いですね。また分からないことがあれば、オンラインで予約取ってもらって相談してくださいとお伝えしています。病的変形の疑いがある場合は、大学に紹介しています。
頭の歪みの度合いの計測について教えていただけますか?
まず、3Dスキャンを取る前に、視診で見た目のアルジェンタ分類を行います。顔面変形の程度、耳の変形、前頭部とほっぺたの出具合などを確認します。例えば、「お子さんは残念ながら少なくとも中等症以上だと思います」とか、「微妙な変形しかないので、見た目としては軽症で、ヘルメット療法の適用はないかもしれません」といった話をしてから3Dスキャンを行います。3Dによる客観的な指標と見た目の指標を組み合わせて、総合的に評価を行っています。これはブログにも詳しく書いていますが、そのプロセスを実際に患者さんの前で行っていきます。
計測した後のご両親の反応はどんな感じですか?
3Dスキャンの結果を画面に表示すると、多くの方が「おー」と驚かれます。スキャン結果を見ながら、「耳の位置がずれていますね」「ほっぺたが少し出ています」など、先ほどの診察で気づいた点が3Dスキャンでも確認できることを説明します。後頭部から見たときの耳の縦の位置や、前から見たときの位置のずれなどを確認し、顔面変形の有無なども説明します。このように、3D画像を使って視診で行った診察結果を再度説明することで、患者さんの理解が深まります。その後、CVAIなどの頭の変形に関する数値の説明をします。これらの説明を丁寧に行うことで、患者さんも納得して結果を受け入れていただいています。
予約の取り方はどのようにすればいいですか?
クリニックのホームページに「受診予約はこちら」というボタンがあり、そこからデジスマ診療というシステムで予約ができます。その中に「赤ちゃんの頭の形専門外来」という特設ページがあり、そこから予約が可能です。予約は2ヶ月先まで取ることができ、初診の方もこのシステムから予約可能です。
軽度の歪みでも、診察は可能ですか?
受診をした結果軽症で、「軽症なのに来てよかったのかな」と思われる方がいらっしゃいます。それは全然OKです。実は、育児の不安を取るのも目標のひとつなんです。このクリニックは頭の形専門でやっているわけではないので、育児の中での不安の一つに「うちの子は頭の形が変形しているけど治るのだろうか」とか、「どういったことをすれば予防できるのか」とか、健診の質問で多かったものを専門の外来でより手厚くフォローするという意図で専門外来を設けています。「軽症なのになんで来たの」とは思わず、軽症だったからよかったねと話しています。
頭の歪みで悩む親御さんへメッセージをお願いします。
頭の形で悩んで育児のストレスを感じている方々に、まずはそのストレスを少しでも軽減して前に進んでほしいと思います。育児のストレスは本当に辛いものです。特に頭の形の悩みは、友人や家族にも相談しづらく、孤独を感じやすいものです。まずは、お子さんの現在の重症度を知ることが大切です。軽症だと分かるだけでも安心につながりますし、中等症以上だと分かれば適切な対処法を考えるきっかけになります。3Dスキャンなどの技術を利用して、正確な情報を得ることをおすすめします。ただし、ヘルメット療法を始めなければならないというプレッシャーを感じる必要はありません。ヘルメット療法以外の選択肢もあります。大切なのは、お子さんと家族にとって最適な選択をすることです。できれば、3Dスキャンができる施設が全国に増えてほしいと思います。色々な地方から相談の電話をいただくことがありますが、近くに相談できる場所がないというのが現状です。重症度を知り、様々な選択肢を理解した上で、納得のいく決断ができるよう、サポートする体制が広がることを願っています。
ヘルメット治療について
治療の流れ
3Dスキャンによる測定を行い、変形具合の説明とともに頭の変形についての概要やヘルメット療法や理学療法の説明をします。
費用
33万円(税込)
診察日時
月・火・水・木曜日 (14:00~15:00)
予約
ホームページの「受診予約はこちら」というボタンからご予約ください。
相談窓口
03-6909-9225
アクセス
電車・バスでお越しの方: 東京メトロ有楽町線 地下鉄赤塚駅 徒歩2分 東武東上線 下赤塚駅 徒歩6分
お車でお越しの方: クリニック横のタイムズ赤塚新町第5、第2駐車場をご利用の方は1時間分のチケットをお渡ししています。 駐車場をご利用の際は受付にお声掛けください。