公開日 2024/03/21
【医師解説】生後2ヶ月の赤ちゃんの発達や睡眠時間、授乳について解説
目次
清益 功浩 先生
赤ちゃんがうまれてから2ヶ月が経ち、赤ちゃんの体つきやしぐさに変化を感じているママやパパもいるのではないでしょうか。体全体の筋肉や視力が発達し、手足を大きくバタバタしておもちゃをつかもうとしたり、気になったものを追いかけて見たりする時期です。本記事では、生後2ヶ月の赤ちゃんができるようになることや授乳間隔、睡眠時間などを解説します。生後2ヶ月の赤ちゃんについて知りたい方は、ぜひ読んでみてくださいね。
生後2ヶ月|赤ちゃんの身体的特徴
生後2ヶ月の赤ちゃんは、うまれてからグッと体重が増えてふっくらとした体つきになります。生後1ヶ月を迎えたころから、1ヶ月で多くは750g~900gほど体重が増える時期です。成長の目安となる「乳幼児身体発育曲線」を参考にすると、赤ちゃんがどんなふうに発育しているかを確認できますよ。仮に曲線外にあっても、グラフと同じような曲線を描いて体重が増えていれば、心配しすぎることはないでしょう。
生後1ヶ月の赤ちゃんの特徴は?ミルクの量、授乳間隔、睡眠時間について
生後2ヶ月の赤ちゃんの体重や身長
生後2ヶ月の赤ちゃんの体重や身長の目安を、以下の表にまとめました。
項目 | 男の子 | 女の子 |
---|---|---|
体重 | 4.41kg~7.18kg | 4.19kg~6.67kg |
身長 | 54.5cm~63.2cm | 53.3cm~61.7cm |
おむつのサイズ | Sサイズ | |
服のサイズ | 50~60センチ |
※厚生労働省「乳幼児身体発育調査」より
うまれたときから比べると、約2倍近くも体重が増えていることになります。新生児期よりも抱っこが重くなって、赤ちゃんの成長を感じたママやパパも多くいるでしょう。
排せつの目安
生後2ヶ月の赤ちゃんは少しずつ体が大きくなるにつれ、1回にするおしっこの量も増えてきます。1日にするおしっこの回数は15回~20回です。うんちの回数は母乳かミルクで異なり個人差がありますが、1日に2回~5回という赤ちゃんが多いでしょう。回数が多いとおむつ替えの頻度も高く、大変に感じる方もいるかもしれません。ですが、デリケートな赤ちゃんの肌はおむつかぶれを起こす場合もあります。とくにうんちをしたときは、できるだけ早くおむつを取り換えてあげましょう。
赤ちゃんの便秘が心配!症状と病院の受診タイミング、解消法を解説
生後2ヶ月の赤ちゃんができるようになること
生後2ヶ月の赤ちゃんは、以下の行動ができるようになってきます。
- 動くものを追いかけて見る
- うつ伏せ遊びができる
- クーイングが出てくる
早い赤ちゃんでは、首すわりの兆候が見られることもありますよ。
生後3ヶ月の赤ちゃんの体重やミルクの量は?授乳間隔や睡眠時間についても解説
首すわりってどんな状態?いつ首がすわるのか、確認のポイントや促す運動をご紹介
動くものを追いかけて見る
赤ちゃんは生まれたときには視力が0.01ほどで、生後2ヶ月ごろになるとものがぼんやりと見えてきて、立体的に見えるようになります。また、動いているものを追いかけて見る「追視」が少しずつ始まります。生後3ヶ月ごろまでに、追いかけて見ようとする範囲が180度まで広がり、生後6ヶ月~7ヶ月ごろにかけて上下に追いかけて見ようとします。追視ができるようになると、追いかけて見ようとして首を動かすため、首周りの筋肉の発達にもつながりますよ。
赤ちゃんのなかには自分の手を見つける「ハンドリガード」の様子が見られる子もいるでしょう。
ハンドリガードをする理由や見られる時期、発達との関係について
とはいえ、赤ちゃんの視力の発達には個人差があります。追視やハンドリガードはあくまでも成長の1つの目安と考えておきましょう。
うつ伏せ遊びができる
生後2ヶ月になると、少しずつ首や上半身の筋肉が発達していきます。早い赤ちゃんでは首すわりの兆候が見られることもありますよ。新生児期~生後1ヶ月に比べて首周りの筋肉が成長してきたら「うつ伏せ遊び」の時間を増やしてみるのもおすすめです。赤ちゃんの機嫌や調子がよい日に、きちんと親が見守りながら1日数分からうつ伏せ遊びにトライしてみましょう。最初は床にぺたりとして顔を左右どちらかに向けるだけかもしれませんが、うつ伏せ遊びをするうちに少しずつ赤ちゃんが自分で首を持ち上げ、周りをキョロキョロと見渡す様子が見られます。
タミータイム(うつぶせ遊び)とは?6つの効果と月齢別のやり方、注意点について解説
クーイングが出てくる
生後2ヶ月ごろの赤ちゃんによっては「クーイング」が出てくることもあります。クーイングとは「アー」や「ウー」といった、赤ちゃん特有の単音による発声です。クーイングが聞けたらママやパパもお返事をしてあげるとよいですよ。また、だんだんと見せる表情が増えて、ママやパパがあやすと「ニコッ」と笑うこともあります。今まで見られていた反射的なほほえみ(新生児微笑)とは異なり、赤ちゃんの「嬉しい」や「楽しい」の感情によって笑うようになります。これは「社会的微笑」といい、赤ちゃんの成長の1つです。
クーイングとは?喃語とは?始まる時期や役割、赤ちゃんの言葉の発達について解説
生後2ヶ月の赤ちゃんの授乳量や時間
生後2ヶ月の赤ちゃんの授乳回数は1日に6回〜8回ほどで、母乳および1回の量が140ml〜160mlのミルクで3時間〜4時間ほどの授乳間隔が目安です。ただし、赤ちゃんが欲しがったら与えましょう。生後2ヶ月の赤ちゃんにとって、望ましいとされる体重の増加量は「25g~30g/日」です。ただし、日々の便や尿の出方によって変わるので、ある程度の期間で増えているかどうかをみていくことが大切です。その意味では、体重の増え方が気になる場合、お出かけしながら支援センターに行き、体重を測定するのも1つの手段です。
また、赤ちゃんの授乳リズムは生後6週~8週ごろに整ってくるといわれています。もちろん個人差があるため、生後2ヶ月ごろに授乳間隔が安定していなくても問題はないでしょう。赤ちゃんの様子や体重の増え方を確認しながら、授乳量や回数を調整するのがおすすめです。
生後2ヶ月の赤ちゃんの生活リズム
生後2ヶ月の赤ちゃんは、まだはっきりと昼夜の区別がついていません。1日の睡眠時間は長く、赤ちゃんのペースで「寝て起きて」を繰り返す時期です。朝夜関係ない時期ではあるものの、生後1ヶ月までと比べると少しずつ日中に起きている時間が長くなったり、以前よりも夜に長く寝てくれたりする赤ちゃんも出てくるでしょう。この時期からは、お出かけの時間や授乳のタイミングをある程度調整して、負担のない範囲で生活リズムを作り始めるのもおすすめです。
睡眠時間は「14時間~17時間」
生後2ヶ月ごろの赤ちゃんの睡眠時間は「1日に14時間~17時間」といわれています。生後1ヶ月までの細切れ睡眠を繰り返していた時期と比べると、体力がついて1回に寝る時間が長くなる赤ちゃんもいるでしょう。夜にある程度まとまって寝るようになれば、夜間の授乳回数も減っていきます。生後2ヶ月はお散歩に出たり、赤ちゃん自身も日中に体を動かそうとしたりします。起きている時間にたくさん遊ばせて体を動かし、お昼寝や夜にはぐっすりと眠れるように意識していけるとよいでしょう。
赤ちゃんの夜泣きはいつからいつまで?原因と乗り越えるための対策を解説
黄昏泣き(コリック)はいつからいつまで続く?5つの対処方法と対策グッズを紹介
生後2ヶ月の赤ちゃんのお世話のポイント
生後2ヶ月を迎えると、いよいよ予防接種が始まります。赤ちゃんだけでなく、ママやパパにとってもドキドキで「見ていられない」という方もいるかもしれません。とくに初めての育児では慣れない毎日であっという間に過ぎていくため、余裕のあるときにスケジュールや準備物を確認しておきましょう。また、生後2ヶ月ごろの赤ちゃんはどんどん活発になって体を動かします。それまで以上に赤ちゃんの周囲を整頓し、危ないものを近くに置かないようにしましょう。
予防接種が始まる
生後2ヶ月から受けられる予防接種には、以下の種類があります。
- インフルエンザ菌b型(ヒブ)
- 肺炎球菌(PCV13)
- B型肝炎
- ロタウイルス(1価もしくは5価)
- 4種混合(DPT-IPV)
これらのワクチンを同時に接種することができます。予防接種は小児科で予約をして、自治体から送られてくる接種券を持参することで受けられます。出産した病院でなくても構いません。インフルエンザなどの感染症が流行する時期には小児科も混みやすくなっているため、早めに予約を押さえておくと安心です。うまれる前にママからもらった免疫も徐々に弱まっていくため、推奨されている時期に予防接種へ行くようにしましょう。
スキンケアをする
生後2ヶ月ごろの赤ちゃんは、毎日清潔にして保湿するスキンケアが大切です。うまれてから2ヶ月ごろまでの赤ちゃんは、皮脂分泌が活発で肌がべたつきやすい状態です。なかには頭皮やおでこ、ほほなどに赤みが出たりぷつぷつとした「乳児脂漏性湿疹」が出てきたりする赤ちゃんもいます。ほかにも、おむつやおしりふきでかぶれてしまう赤ちゃんもいるでしょう。お風呂では赤ちゃん用の石けんで洗い、お風呂あがりには乾燥しないよう保湿することが大切です。赤ちゃんの肌はデリケートなので、症状が改善しない場合は皮膚科で診てもらいましょう。
乳児湿疹ができる原因は?アトピー性皮膚炎との違いや対策について
赤ちゃんの頭皮のうろこやフケの原因は?頭皮の乾燥を防ぐ保湿方法を解説
思わぬ事故に気をつける
生後1ヶ月までと比べて、赤ちゃんは少しずつ手足を大きく動かせるようになってきます。また動かすことで、寝ている状態のまま移動していることがあります。基本的にはまだ寝た状態の姿勢ですが、赤ちゃんの成長はいつ何が起こるか予測できないことも多くあるでしょう。周りには危ないものを置かないようにしたり、ベビーベッドで寝かせる際に柵を上げ忘れたりしないようにしましょう。また、この時期の赤ちゃんは手で物をつかめるようになってきます。つかんだものを舐めて確認しようとするため、口に入れると誤飲の危険性があるものは離しておくことが大切です。
生後2ヶ月の赤ちゃんとのコミュニケーションは?
生後2ヶ月ごろの赤ちゃんはまだおしゃべりはできませんが、目や耳など五感をフルに使って成長していきます。赤ちゃんが起きている時間にはママやパパからたくさん話しかけて、コミュニケーションをとっていきましょう。赤ちゃんからクーイングが聞かれたときに返事をしてあげると「こたえてくれた!」と喜ぶ赤ちゃんもいるでしょう。
絵本や赤ちゃん体操でスキンシップをとる
うまれたばかりのころに比べ視力が発達し、色の違いも認識できるようになる時期には色彩豊かな絵本を読んであげるのもおすすめです。カラフルな絵本は赤ちゃんの視覚を刺激し、見ているだけで楽しめるでしょう。赤ちゃんは「顔」が好きなので、顔のパーツがはっきりとわかるような絵本も好奇心を掻き立ててくれますよ。赤ちゃんと目を合わせて話しかけてあげると、少しずつママやパパを認識してくれるようになるでしょう。両手や両足をそっと握りながら、やさしく赤ちゃん体操をしてみるのもおすすめです。ふれあいながらスキンシップを図ることで、赤ちゃんの成長・発達にもつながります。目と目を合わせ楽しみながらコミュニケーションをとっていきましょう。
ベビーマッサージとは?6つの効果とやり方、注意点についても解説
お出かけで外の世界を広げる
生後2ヶ月の赤ちゃんは、できるだけ毎日お散歩に出かけて外の世界を広げていきましょう。これまで新生児期の外気浴から始まり、生後1ヶ月ごろには1日数分からのお外デビューと、段階的に外の空気に触れさせてきました。赤ちゃんにとってもお外はたくさんの刺激があり、見るものや聞くものすべてが心と体の成長につながっていきます。赤ちゃんやママの体調が悪いときには無理をせず、天候も考慮しながらできるだけ毎日同じ時間に外に出るのを日課にできるとよいでしょう。
赤ちゃん(新生児)との外出はいつから?外出時間の目安や持ち物リストを紹介
産後2ヶ月のママの様子
産後2ヶ月を迎え、ようやく赤ちゃんとの生活に慣れてきた、というママも多くいるでしょう。少しずつ育児に慣れてきてはいるものの、昼夜を問わない授乳やお世話で寝不足が続き、疲れが溜まっている方もいるかもしれません。また、出産後から産後2ヶ月ごろまでは「乳腺炎」になるママもいます。乳腺炎にかかると高熱が出たり、強い痛みを感じたりすることもあり、赤ちゃんのお世話もままならなくなってしまうでしょう。パパや実家などを頼ることもママがゆっくり休む方法の1つです。8週間の産後休暇を終えて、職場復帰するママもいるかもしれません。復帰後はだれがどのように赤ちゃんのお世話をするか決めておき、準備しておくことも大切です。
成長を感じながら育児を楽しもう
生後2ヶ月の赤ちゃんは、体重が増えて体つきがふっくらとするだけでなく、さまざまな表情が見られるなど情緒の発達も実感できるでしょう。赤ちゃん自身の好奇心も旺盛になり、見えるものを追いかけたり手につかんだものを舐めて確認したりします。赤ちゃんのできることが増えていくにつれ生活のなかで気をつけるべきことも増えたり、予防接種が始まったりと、引き続きママやパパは忙しい毎日です。赤ちゃんのお世話は休めるときに休みつつ、成長を感じながら育児を楽しみましょう。