公開日 2025/03/27
【医師解説】赤ちゃんが手足をバタバタするのはなぜ?発達のサインや不安を感じたときのポイント

目次

武田 賢大 先生
生後まもない赤ちゃんが手足を活発にバタバタさせている姿を見て、「これは大丈夫なのかな」と不安になるパパ・ママも少なくありません。まだ言葉で気持ちを伝えられない赤ちゃんにとって、身体を動かすことは大切な意思表示の手段です。実は、この手足のバタバタには赤ちゃんの発達過程や感情表現など、さまざまな意味が込められています。そこで本記事では小児科医の視点から、その理由や対処方法、病院に行く必要があるサインについて詳しく解説します。
赤ちゃんが手足をバタバタさせるのはなぜ?原因と意味を徹底解説
赤ちゃんが手足をバタバタさせるのには、発達段階ごとに理由があります。ほとんどの場合は、その子の発達段階における体の動きや感情表現であることが多いです。一見、単なる無秩序な動きのように見えますが、この元気な動きは、赤ちゃんの成長にとても大切なんです。
発達の証拠?赤ちゃんが手足をバタつかせる理由
赤ちゃんが手足をバタバタさせる大きな理由のひとつは、運動機能の発達が進んでいる証拠だと考えられます。生後すぐから6ヶ月頃までは、まだ中枢神経が十分に成熟しておらず、自分の意思というよりは反射や無意識の動きが多いのが特徴です。しかし、この時期の赤ちゃんが手足をバタバタ動かすことには、成長に欠かせない「練習」が含まれています。赤ちゃんは手足をバタバタさせながら、体をうまく動かす練習をすることで、体の動きも段々とスムーズになっていきます。また、赤ちゃんは体がどう動くのかを知りたくて、バタバタさせていることもあります。寝返りやハイハイなど、これから先に獲得していく運動機能への準備段階と考えると、手足の活発な動きに対して「やめさせなきゃ」と神経質になる必要はありません。「元気に動かしているな」と受け止め、温かく見守ることが大切です。
モロー反射はいつからいつまで?激しいときの対処法3つと動きが似ている疾患を解説
嬉しい?興奮してる?赤ちゃんの感情表現としてのバタバタ
赤ちゃんはまだ言葉を使って感情を表現できないため、身体の動きが感情表現の大部分を占めています。赤ちゃんがうれしい気持ちになると、そのままテンションが上がって手足をバタバタさせることがよくあります。他にも眠たさが頂点に達している、遊びたくて仕方がない、何かに驚いて一時的に興奮しているなど、理由はさまざまです。赤ちゃんの表情や泣き方と合わせて観察すると、その動きが喜びか不快かをある程度見極めることができます。
空腹・不快サイン?バタバタの裏にある赤ちゃんの訴え
赤ちゃんは、おむつが濡れていたり、暑い・寒いときや服がきついときにも、手足をバタバタさせて不快感を伝えることがあります。赤ちゃんはうまく言葉が使えないので、体を動かしたり泣いたりして「気持ち悪い」「いやだよ」と教えてくれます。こういった場合はおむつ交換や室温調整をしてみることで、赤ちゃんのバタバタが落ち着くことがあります。また、手足をバタバタさせながら泣くのは、『お腹がすいたよ』と伝えていることもよくあります。お腹が空いたときにバタバタがエスカレートする子もいるため、最近の授乳からどのくらい時間が経ったかを振り返ってみましょう。授乳のタイミングが近いかどうか、ミルクや母乳が足りているかどうかをチェックすることで、赤ちゃんの要求を満たせるかもしれません。
「こっち見て!」甘えたいときのバタバタサインとは?
まだ首がすわっていない赤ちゃんでも、抱っこをすると安心して泣き止むことがあります。抱っこしたり、優しく話しかけたり、身体をなでてあげたりすると、すぐに落ち着くことも少なくありません。実は、ただ動いているわけではなく、パパやママに一生懸命「こっち見て!」とアピールしていることも多いのです。たとえ激しく動いていても、意外と「抱っこしてほしいだけ」のことも多いので、赤ちゃんの顔を見ながら優しく受け止めてみましょう。
赤ちゃんのバタバタを見たらまずチェック!

赤ちゃんが手足をバタバタさせているとき、原因はおむつや温度など、ちょっとした不快感が多いです。赤ちゃんが心地よく過ごせるように、まずは周りの状況をチェックしてみてください。ここからは、赤ちゃんがバタバタしたときにチェックしたいことを紹介していきます。
おむつ?衣類?環境?赤ちゃんが快適に過ごせる工夫
赤ちゃんが手足をバタバタさせ始めたとき、まずはおむつが濡れていないか、室内の温度や湿度が不快ではないかを確認しましょう。生後間もない赤ちゃんは体温調節がうまくできず、暑さや寒さによるストレスを受けやすいです。とくに夏場はこまめに汗を拭いてあげたり、冬場は手足が冷えていないか気にかけてあげるなど、小さな調整が赤ちゃんのご機嫌を保つ重要なポイントになります。
服がきついと、赤ちゃんには意外と負担になることがあります。動きづらい服を着ていると、バタバタによって自分の体勢を変えようとしている可能性もあるでしょう。なるべくゆったりとした肌着やベビー服を選ぶとともに、毎日のお着替えや洗濯では、肌にやさしい素材を選んであげると安心です。
げっぷが足りてないかも?授乳後のバタバタ対策
赤ちゃんが授乳後にげっぷを十分に出せないまま寝かされると、お腹にガスがたまり不快感を覚えることがあります。げっぷが足りないと苦しそうにバタバタしてしまうことも。授乳後は抱っこして背中をさすったりして、げっぷを出しやすい姿勢をとってあげてください。それでもげっぷが出ず、赤ちゃんが落ち着かない様子を見せるなら、一旦抱き上げて背中を丸めるようにサポートしてみるとよいでしょう。時間をかけても出ない場合は、そのまま横向きに寝かせるなど姿勢を工夫することも選択肢の一つです。もし赤ちゃんが苦しそうなら、げっぷが足りなかったりお腹が張っているかもしれません。まずは抱っこで様子を見たり、背中をさすったりしてみてください。
スキンシップで安心感を!抱っこが有効な理由とは
手足のバタバタが激しくなってきたら、「ただ構ってほしいだけ」という場合があります。子育てをする方の多くは、赤ちゃんが泣きながら手足を動かしているときに抱っこをしてあげると、すぐに落ち着いたという経験をもっています。赤ちゃんはパパやママのぬくもりや鼓動を感じると、赤ちゃんはホッとして落ち着きやすくなります。抱っこして少し落ち着いたら、赤ちゃんの顔や体を優しくなでながら話しかけると、もっと表情がやわらかくなります。赤ちゃんにとって、パパ・ママの存在は最大の安心材料ですから、まずは抱っことスキンシップによって満たしてあげることが基本の対処法となります。
こんなバタバタは要注意!受診を検討すべきサインとは?
ここまでは特に病気ではないバタバタする様子を見てきました。しかし、いつもと様子が違う激しいバタバタには、時として医学的な注意が必要な場合があります。バタバタ意外の様子を観察することで、赤ちゃんの健康状態を判断する重要なサインとなります。

呼吸が荒い・苦しそうなときはすぐチェック!
赤ちゃんが手足をバタバタさせ、同時に呼吸が荒かったり、ヒューヒューと音がするなど普段と違う呼吸状態が見られる場合は注意が必要です。赤ちゃんの呼吸困難は進行が早いこともあるため、「息が苦しそう」「いつもと泣き声が違って声が出にくい」といった変化があれば、無理をせず小児科を受診しましょう。授乳中にむせて呼吸が乱れているようなときも、誤嚥の可能性を疑って早めの相談が安心です。
赤ちゃんの鼻水・鼻づまりで病院を受診する目安は?解消法・吸引のやり方とコツ
けいれん?異常な動き?バタバタとの違いを見極める
赤ちゃんの手足がピクピクと痙攣するように動いていたり、突っ張るように固まっている様子があるときは、通常のバタバタとは異なる可能性があります。脳や神経系に起因する痙攣である場合、緊急の対応が必要になるケースがあります。少しでも「いつもと違う」「異常かもしれない」と感じる場合は、迷わず小児科や救急外来に相談してください。
赤ちゃん(新生児)のしゃっくりはなぜ多い?止まらない原因と上手な止め方
嘔吐やぐったりは危険信号!見逃せない症状
赤ちゃんが手足をバタバタさせながら、吐き気をもよおして嘔吐してしまったり、ぐったりして反応が鈍いといった場合は、体調不良によって何らかの不快感を訴えているかもしれません。とくに緑色や赤色、黒色が混じった嘔吐が見られるときは、消化管からの出血や他の重篤な病気の可能性も否定できません。また、高熱が続いているときは、赤ちゃんの体力が奪われることで動きが普段とは異なる形で出ることがあります。高熱とバタバタが同時に見られたときは、脱水や感染症のリスクも踏まえて、早めの受診を検討してください。
赤ちゃんの吐き戻しはいつまで続く?原因や対処法対処法について
夜間・休日に困ったら?子ども医療相談#8000の活用法
どうしても夜間や休日に赤ちゃんの様子が気になるときは、無理せず「#8000」などの子ども医療電話相談を活用してください。そこでは看護師や医師が待機していて、「まずはこうすると安心」「病院に行ったほうがいいかも」などをアドバイスしてくれます。赤ちゃんの症状を電話で説明するだけでも、「もう少し様子を見て大丈夫」「すぐに病院へ行ってください」などのアドバイスが得られ、心強い存在になるでしょう。
赤ちゃんの成長を見守るためにパパ・ママが意識したいこと

赤ちゃんの成長を見守る過程で、パパ・ママの心構えはとても大切です。特に手足のバタバタに対して、過度に心配したり否定的に捉えたりするのではなく、発達の自然な過程として理解することが重要になります。
赤ちゃんのバタバタは成長の証!ポジティブに見守ろう
赤ちゃんが手足をバタバタさせるのは、成長や気持ちを伝えるために自然なことです。「おかしいかな?」と心配するよりも、「元気に動いているな」とポジティブに考えることで、パパ・ママも気持ちが楽になります。そのゆとりが、赤ちゃんに対して落ち着いた対応をとることにつながり、さらなる安心感を与える結果となります。
不安を感じたら?専門家への相談が安心につながる
もし手足の動きがいつもより激しかったり、なかなか落ち着かなかったりすると、「大丈夫かな?」と心配になることもありますよね。赤ちゃんの動き一つ一つが大丈夫なものかどうかと心配になるのは普通のことです。心配なときは、ひとりで悩まずに小児科の先生や保健師さんに相談すると、もっと安心できるはずです。気になる動きがある場合にはスマートフォンなどでお子さんの様子を動画で取っておくと、相談しやすいですし、小児科医も異常な運動か否かを判断しやすいです。なるべく明るい部屋で全身を写すようにして撮影してみて下さい。
赤ちゃんの成長には個人差があるので、同じように見えても原因や対処がちょっとずつ違うことがあります。専門家に話をすることで「やはり大丈夫なんだ」とわかったり、逆に何らかの早期治療が必要だと発覚したりと、安心できる材料が得られることでしょう。
赤ちゃんのリズムをつかもう!お世話をスムーズにする工夫
最初のうちは、赤ちゃんがバタバタすると「どうしたらいいんだろう?」と慌ててしまうこともありますよね。しかし、数日から数週間単位で赤ちゃんの生活リズムに慣れてくると、「この泣き方はお腹が空いたとき」「あのバタバタは眠たいとき」など、お世話の流れが少しずつ見えてきます。パパ・ママ自身が赤ちゃんの生活パターンに合わせる気持ちで日々を過ごしてみると、バタバタをしたときに考えられる原因や対処方法をすばやく思い浮かべられるようになるでしょう。授乳時間や睡眠の周期を記録するなど、育児日記をつけるのも有効な手段です。
赤ちゃんのバタバタに関するよくある質問
赤ちゃんが手足をバタバタさせる姿を見て、「これは普通なの?」「どのくらい続くの?」と疑問に思うパパ・ママも多いのではないでしょうか。手足のバタバタは成長の証であることがほとんどですが、時には不快感や体調不良のサインであることも。そこで、このセクションでは、赤ちゃんのバタバタに関するよくある質問にお答えします。
Q.手足のバタバタはいつごろまで続きますか?
A.新生児期から生後6ヶ月頃までの間はとくに顕著ですが、赤ちゃんの成長段階によって徐々に動きの質や頻度は変わっていきます。寝返りやハイハイができるようになると、手足のバタバタだけでなく、よりダイナミックな動きが目立つようになるでしょう。そのため、個人差はあるものの「落ち着いたな」と感じるようになるのはおすわりやハイハイが安定してきた頃が目安です。
生後6ヶ月の赤ちゃんの成長とお世話|離乳食・睡眠・発達のポイントを徹底解説
赤ちゃんの寝返りはいつから?しないのはなぜ?4つの練習方法と注意点を解説
Q.手足のバタバタはやめさせたほうがいいのでしょうか?
A.基本的にはやめさせる必要はありません。赤ちゃんが手足をバタバタさせることは、運動発達や感情表現の大切なステップです。ただし、周囲に危険な物がある場合など、赤ちゃんがケガをするリスクがある環境は整えてあげましょう。また、あまりにもバタバタが激しく、呼吸が苦しそうだったり、痙攣のように見える場合は、早めに医療機関へ相談することをおすすめします。
赤ちゃんのバタバタは自然な成長過程!安心して見守ろう
赤ちゃんの手足のバタバタは、成長の証や意思表示といった重要な意味を持っています。空腹や不快感、興奮状態など、様々な要因が考えられますが、まずはおむつや衣類、室温といった環境面のチェックから始めましょう。急な変化や呼吸の乱れ、痙攣のような動きが見られた場合は、早めの受診を検討してください。夜間や休日であれば、子ども医療電話相談(#8000)も活用できます。最初は不安になることも多いですが、バタバタは健やかな発達の表れでもあります。気になることは小児科に相談しながら、快適な環境づくりとスキンシップを心がけましょう。
