公開日 2025/04/10

【医師解説】赤ちゃんが発熱したときの対処法|病院に行くべきタイミングは?

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武田 賢大 先生

赤ちゃんが初めて熱を出したとき、不安でいっぱいになってしまうパパ・ママも多いと思います。特に生後間もない赤ちゃんの発熱は心配ですよね。「すぐに病院に連れていくべき?」「自宅でどう対処すればいい?」「解熱剤は使った方がいいの?」など、疑問がたくさん浮かぶことでしょう。発熱は、赤ちゃんの年齢や症状によっては注意が必要な場合もあります。今回は小児科医の立場から、0〜6ヶ月の赤ちゃんの発熱について、自宅での対処法や病院に行くべきタイミングをわかりやすく解説します。パパ・ママが冷静に対応できるよう、必要な知識をお伝えしていきますね。

 赤ちゃんの発熱について

まずは赤ちゃんの発熱の基本知識について詳しく見ていきましょう。発熱の定義から原因、そして観察すべきポイントまで、パパ・ママが知っておくべき情報をお伝えします。

赤ちゃんの平熱は何度?発熱は何度以上から?

赤ちゃんの平熱は大人より少し高めで、通常36.5〜37.5度程度です。赤ちゃんの体温は測定する場所や時間帯、活動状況によって変動しやすいという特徴があります。

一般的に、直腸で38度以上、腋下(わきの下)で37.5度以上、耳で38度以上あれば「発熱」とされています。

赤ちゃんの体温測定には、体温計の先端を腋下に5分程度しっかり密着させる方法が一般的です。耳式体温計は簡便ですが、正確に測るためには使い方を医師や看護師から指導してもらうといいでしょう。

発熱は赤ちゃんの体ががんばっているサイン!適切な対応しよう

発熱は体の防衛反応であり、必ずしも悪いことではありません。ウイルスや細菌などの病原体が体内に入ると、免疫細胞がそれらと戦うために、脳の体温調節中枢に働きかけて体温を上げます。

高い体温はウイルスや細菌の増殖を抑え、免疫機能を活性化させる効果があります。つまり、発熱は病原体と闘うための体の大切な働きなのです。

赤ちゃんは大人に比べて体温が上がりやすく下がりやすいという特徴があります。これは、体温調節機能がまだ未熟であることに加え、体の表面積が体積に対して大きいためです。

このように、赤ちゃんの体が頑張っているサインではあるため、発熱=悪ではないですが、高い熱は赤ちゃんの哺乳不良や脱水につながる可能性もあるため、適切に対応することが必要です。

赤ちゃんの発熱の原因は?

赤ちゃんの発熱の原因として最も多いのは、ウイルス感染症です。風邪の原因となる種々のウイルスや、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが代表的です。次いで細菌感染症が挙げられます。ウイルス性感染とは異なり、症状が重篤になることがあります。生後数ヶ月の赤ちゃんは、母親から受け継いだ抗体の働きで比較的感染症にかかりにくいのですが、その抗体は徐々に減少していきます。そのため髄膜炎などの重症な細菌感染症には注意が必要です。

また、予防接種後に一時的に発熱することもあります。これは、ワクチンに対する正常な免疫反応であり、通常は心配ありません。

まれに、過度の着せすぎや暑い環境での熱中症が原因となることもあります。赤ちゃんは体温調節機能が未発達なため、環境温度の影響を受けやすいのです。

発熱に伴う症状

発熱時には、赤ちゃんの様子をよく観察することが大切です。以下のポイントに注目してみてください。

まず、発熱の経過を記録しましょう。いつから熱が出始めたのか、最高体温は何度だったのか、熱の上がり下がりのパターンはどうかを記録しておくと、医師の診察時に役立ちます。

次に、全身状態の観察です。機嫌はどうか、ぐずりはどの程度か、食欲(母乳やミルクの飲み具合)はあるか、おしっこの量は減っていないか、睡眠の状態はどうかなどをチェックします。「なんとなく、ぐったりしているんです」くらい小さなお子さんの変化も非常に大事な情報です。遠慮せずに伝えるようにしましょう。

また、発熱以外の症状(咳、鼻水、発疹、嘔吐、下痢など)があれば、それらも記録しておきましょう。これらの情報は、病気の診断に役立つ重要な手がかりとなります。

発熱の段階によって赤ちゃんの様子も変わります。熱が上がる途中では、手足が冷たく、震えたり寒そうにしたりします。熱が上がりきると、全身がポカポカして、頬や耳が赤くなり、汗をかいて暑がるようになります。この変化を理解しておくと、適切なケアができるようになります。

 赤ちゃんが発熱したときの自宅での対処法

赤ちゃん 発熱

赤ちゃんの発熱に気づいたとき、すぐに病院に行く必要はない場合も多いです。ここでは、自宅でできる対処法について詳しく見ていきましょう。正しい知識で冷静に対応すれば、赤ちゃんの不快感を和らげることができます。

赤ちゃんが過ごしやすい環境をつくろう

発熱中の赤ちゃんには、過ごしやすい環境を整えてあげることが大切です。赤ちゃんの様子に合わせて、適切な対応をしましょう。

熱が上がり始めの段階では、体は熱いのに手足が冷たく、寒気やふるえがあることがあります。このときは、薄い毛布などで包んであげたり、室温を少し高めにしたりして、赤ちゃんが快適に過ごせるようにしましょう。

一方、熱が上がりきると、全身がポカポカして汗をかきます。この段階では、衣服や掛け物を減らし、室温も25〜26度程度に調整するといいでしょう。ただし、エアコンの風が直接赤ちゃんに当たらないように注意してください。

また、部屋の湿度も大切です。加湿器などを使って50〜60%程度に保つと、のどの乾燥を防ぎ、赤ちゃんの呼吸が楽になります。部屋の換気も忘れずに行いましょう。

冷やしてあげた方がいいの?気をつけたい冷やし方のコツ

熱が上がりきって、赤ちゃんが暑そうにしている場合は、体を冷やしてあげると効果的です。ただし、無理に冷やすと逆効果になることもあるので、赤ちゃんの様子を見ながら行いましょう。

冷やす場所は、首の付け根、わきの下、足の付け根、背中など、大きな血管が皮膚の近くを通っている部分が効果的です。小さな保冷剤をタオルで包んで当てたり、冷たくしぼったタオルで体を拭いたりすると、熱が放散されやすくなります。

市販の冷却シートは、おでこに貼ると気持ちよさそうですが、体温を下げる効果はあまり期待できません。また、特に小さな赤ちゃんでは、寝ている間に冷却シートがずれて鼻や口をふさいでしまう危険性もあります。使用する場合は、首の付け根やわきの下など体の他の部分に貼る方が安全で効果的です。

冷やす際は、赤ちゃんが心地よいと感じる程度にとどめましょう。赤ちゃんが嫌がるようであれば、無理に続ける必要はありません。室温を調整したり、衣服を調節したりするだけでも十分です。

水分補給はとっても大切!母乳・ミルク・麦茶、どうあげる?

発熱時には体から水分が失われるため、脱水症状を防ぐための水分補給が非常に重要です。赤ちゃんは体の大部分が水分でできているため、脱水になりやすい傾向があります。

生後間もない赤ちゃんの場合、母乳やミルクだけで十分な水分を摂取できます。母乳の場合は、いつもより頻繁に短時間の授乳を心がけましょう。ミルクの場合は、いつもより少量ずつこまめにあげるのがコツです。

離乳食が始まっている月齢の赤ちゃんには、麦茶や白湯などもあげましょう。赤ちゃんが飲みやすいよう、常温またはやや冷やしたものを用意するといいでしょう。スプーンやストローマグなど、赤ちゃんが飲みやすい方法で水分を補給させてください。

夏場の発熱は特に脱水に注意が必要です。おしっこの回数が減ったり、色が濃くなったりしたら、脱水のサインかもしれません。また、元気がなくなったり、泣いても涙が出なかったりする場合も脱水を疑いましょう。

赤ちゃんの頭の形測定

解熱剤は使って大丈夫?自宅で使う前に知っておきたいこと

発熱自体は体の防御反応なので、必ずしも熱を下げる必要はありません。しかし、高熱のために赤ちゃんが苦しそうだったり、水分や食事が取れなかったり、眠れなかったりする場合は、解熱剤の使用を検討してもいいでしょう。
ただし、解熱剤の使用は、医師に相談の上で判断してください。特に63ヶ月未満の赤ちゃんへの使用は、原則解熱薬は投与しません。生後6ヶ月までの赤ちゃんはクーリングのみで十分に解熱できます。
一般的に、小児用の解熱剤としてはアセトアミノフェン製剤が使われます。使用の目安は体温38.5度以上で、赤ちゃんが明らかに不快感を示している場合です。使用する際は必ず医師の指示に従い、用法・用量を守りましょう。

解熱剤を使う場合、次の使用までは最低6時間以上間隔を空け、1日3回までにとどめるのが基本です。また、解熱剤は熱の原因自体を治療するものではなく、一時的に症状を和らげるだけであることを理解しておきましょう。

赤ちゃんに解熱剤を使う際は、体重に合わせた正確な量を与えることが重要です。赤ちゃんの場合には坐薬が使用されることが多いので、体重に合わせてカットして使用しましょう。シロップの場合には計量スプーンやスポイトなどを使って、慎重に正しい量を計量してください。また、解熱剤の種類や濃度は製品によって異なるので、使用前に必ず確認しましょう。

こんなときは病院へ!受診した方がいいサインとは?

発熱があっても、必ずしもすぐに病院へ行く必要はありません。しかし、いくつかの状況では早めの受診が必要です。ここでは、病院へ連れて行くべきタイミングについて詳しく解説します。

受診の目安となる症状とは?

発熱があっても、機嫌がよく、水分や食事が摂れていて、尿量も普通なら、まずは自宅で様子を見ても大丈夫です。しかし、以下のような症状がある場合は、医療機関への受診を検討しましょう。

まず、機嫌が著しく悪く、激しくぐずるようなら要注意です。赤ちゃんが普段と違って泣き止まない、あやしても笑わないといった様子があれば、何らかの痛みや不快感があるサインかもしれません。

次に、水分や食事の摂取状況です。母乳やミルクを飲まない、または飲む量が明らかに減っている場合は受診の目安となります。特に、12時間以上水分が摂れていない場合は脱水のリスクが高まるため、早めの受診が必要です。

おしっこの量や回数も重要なチェックポイントです。おむつが6時間以上濡れない、おしっこの色が濃い黄色になるなど、尿量の減少が見られる場合は脱水のサインです。

また、睡眠状態も観察しましょう。熱があっても、一時的に眠ることはできるはずです。しかし、ずっと眠れない、または異常に眠りが深いといった場合は注意が必要です。

生後3カ月未満の赤ちゃんが熱を出したらすぐ病院へ!

生後3カ月未満の赤ちゃんの発熱は特別な注意が必要です。この月齢の赤ちゃんは、ママからもらった抗体のおかげで通常は発熱することが少ないため、38度以上の熱が出た場合は重篤な感染症の可能性も考えられます。

生後3カ月未満の赤ちゃんが38度以上の熱を出した場合は、時間帯を問わず早めに医療機関を受診しましょう。夜間や休日であっても、小児科の救急外来や夜間診療を利用することをお勧めします。

この月齢の赤ちゃんは免疫系がまだ未熟で、症状が急激に悪化することがあります。また、小さな体は脱水になりやすく、体調の変化も大きいため、医師による適切な診断が重要です。

受診の際は、発熱の経過、赤ちゃんの様子、母乳やミルクの飲み具合、おしっこの状況など、できるだけ詳しく医師に伝えるようにしましょう。

すぐ病院へ!こんな症状があったら迷わず受診を

いくつかの症状は、発熱の程度に関わらず緊急受診が必要なサインです。以下のような場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

けいれんが起きた場合は、緊急性が高い疾患が隠れている場合がありますです。

赤ちゃんの全身または一部が硬直したり、激しく震えたりする発作がある場合は、けいれん発作の可能性があります。熱性けいれんであれば心配は入りませんが、繰り返しけいれん発作を起こしたり、けいれん発作が起こっていない時の意識が悪い時に脳炎・脳症など重篤な状態の可能性があります。

けいれんがなくても、意識障害も危険信号です。名前を呼んだり、やさしく頬をたたいたりしても反応が薄い、または全く反応がない場合は緊急受診が必要です。普段より著しく眠気が強い場合も注意が必要です。

呼吸の状態も重要です。呼吸が速い、息苦しそう、胸やおなかが大きく動く、呼吸と一緒に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がするなどの症状があれば、呼吸器の問題を疑いましょう。

また、皮膚に赤い発疹が出て、その上を指で押しても色が消えない場合(紫斑)は、髄膜炎などの重篤な感染症により著しく全身状態が悪化しているサインである可能性があります。

これらの症状が見られる場合は、発熱の程度に関わらず、すぐに小児科の救急外来や救急車を利用して医療機関を受診してください。

熱がなかなか下がらない…再受診のタイミングはいつ?

一度受診して経過観察となった場合でも、以下のような状況では再受診を検討しましょう。

まず、発熱が3〜4日以上続く場合です。通常の風邪であれば、熱は3日程度で下がり元気も戻ってくることが多いとされています。4日以上熱が続く場合は、中耳炎や肺炎などの合併症が生じている可能性があります。

また、一度熱が下がっても再び上昇する「二峰性の熱」がある場合も再受診の目安です。これは、別の感染症が重なった可能性や、合併症が生じているサインかもしれません。

発熱以外の症状が悪化した場合も再受診が必要です。例えば、咳が激しくなる、呼吸が苦しそうになる、嘔吐や下痢が増える、発疹が広がるなどの場合は、医師に相談しましょう。

最後に、パパ・ママの直感も大切です。「なんとなく様子がおかしい」「いつもと違う」と感じたら、それは赤ちゃんの状態変化に気づいているサインかもしれません。心配な場合は、医師に相談することをためらわないでください。

よくあるQ&A|赤ちゃんの発熱に関する疑問を解決!

ここでは、パパ・ママからよく寄せられる発熱に関する質問にお答えします。日常的な疑問について、医学的な観点から解説します。

Q. 何度以上が「発熱」になりますか?

A.一般的に、直腸で38度以上、腋下(わきの下)で37.5度以上、耳で38度以上あれば「発熱」と考えられます。ただし、赤ちゃんの平熱は個人差があり、また測定方法や時間帯によっても変動します。

赤ちゃんの体温は大人より少し高めで、活動や泣いた後、入浴後などは一時的に上昇することがあります。これらの影響がない状態で測定し、上記の基準を超える場合に「発熱」と判断するのが適切です。

体温計の種類によっても測定値は異なります。デジタル体温計、耳式体温計、おでこで測る非接触型体温計など、それぞれ特性があります。小さな赤ちゃんの場合は、腋下で測るデジタル体温計が比較的正確で安心です。

Q. 発熱したらすぐ病院に行くべきですか?

A.発熱があっても、赤ちゃんの機嫌がよく、水分がしっかり摂れていて、尿量も普通なら、まずは自宅で様子を見ても大丈夫です。特に夜間や休日の場合は、翌朝まで様子を見て、かかりつけ医に相談するのも一つの選択肢です。

ただし、生後3カ月未満の赤ちゃんが38度以上の熱を出した場合は、時間帯を問わず早めに受診することをお勧めします。この月齢の赤ちゃんは重篤な感染症のリスクが高いためです。

また、けいれんや意識障害、呼吸困難、紫斑(押しても色が消えない発疹)などの症状がある場合は、発熱の程度に関わらず緊急受診が必要です。

受診の判断に迷う場合は、小児科の電話相談や、8000(小児救急電話相談)などを利用して専門家に相談するのも良い方法です。

Q. 解熱剤は使ったほうがいいですか?

A.発熱自体は体の防御反応なので、必ずしも解熱剤で熱を下げる必要はありません。高熱のために赤ちゃんが苦しそうにしている場合や、水分摂取や睡眠に支障がある場合に使用を検討しましょう。

一般的な目安は38.5度以上の熱があり、かつ赤ちゃんが明らかに不快感を示している場合です。解熱剤を使用する際は医師の指示に従い、用法・用量を守ることが重要です。生後6ヶ月未満の乳幼児には原則使用しません。

乳幼児の解熱薬としてはアセトアミノフェン製剤が使用されます。赤ちゃんの状態に応じて医師に相談しましょう。

解熱剤は熱を一時的に下げるだけで、病気の原因を治療するものではありません。また、脳に障害が起きることを防ぐ効果もありません。解熱剤に過度に頼らず、水分補給や環境調整といった基本的なケアを大切にしましょう。

赤ちゃんの発熱、まずは落ち着いて対応を

赤ちゃんの発熱は心配になりますが、多くの場合は体を守るための自然な反応です。機嫌がよく水分が摂れていれば、まずは自宅で様子を見守り、快適な環境とこまめな水分補給を心がけましょう。
ただし、生後3ヶ月未満の発熱や、けいれん・意識がもうろうとしている場合、発熱が3〜4日以上続く場合は、早めに受診を。解熱剤は、赤ちゃんがつらそうなときに使うのはOKですが、熱を下げることだけにこだわらず、全体の様子を見てあげることが大切です。
パパ・ママの直感も大切です。「いつもと違う」と感じたら、迷わず医師に相談しましょう。

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公開日 2025/04/10

【医師解説】赤ちゃんが発熱したときの対処法|病院に行くべきタイミングは?

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武田 賢大 先生

赤ちゃんが初めて熱を出したとき、不安でいっぱいになってしまうパパ・ママも多いと思います。特に生後間もない赤ちゃんの発熱は心配ですよね。「すぐに病院に連れていくべき?」「自宅でどう対処すればいい?」「解熱剤は使った方がいいの?」など、疑問がたくさん浮かぶことでしょう。発熱は、赤ちゃんの年齢や症状によっては注意が必要な場合もあります。今回は小児科医の立場から、0〜6ヶ月の赤ちゃんの発熱について、自宅での対処法や病院に行くべきタイミングをわかりやすく解説します。パパ・ママが冷静に対応できるよう、必要な知識をお伝えしていきますね。

 赤ちゃんの発熱について

まずは赤ちゃんの発熱の基本知識について詳しく見ていきましょう。発熱の定義から原因、そして観察すべきポイントまで、パパ・ママが知っておくべき情報をお伝えします。

赤ちゃんの平熱は何度?発熱は何度以上から?

赤ちゃんの平熱は大人より少し高めで、通常36.5〜37.5度程度です。赤ちゃんの体温は測定する場所や時間帯、活動状況によって変動しやすいという特徴があります。

一般的に、直腸で38度以上、腋下(わきの下)で37.5度以上、耳で38度以上あれば「発熱」とされています。

赤ちゃんの体温測定には、体温計の先端を腋下に5分程度しっかり密着させる方法が一般的です。耳式体温計は簡便ですが、正確に測るためには使い方を医師や看護師から指導してもらうといいでしょう。

発熱は赤ちゃんの体ががんばっているサイン!適切な対応しよう

発熱は体の防衛反応であり、必ずしも悪いことではありません。ウイルスや細菌などの病原体が体内に入ると、免疫細胞がそれらと戦うために、脳の体温調節中枢に働きかけて体温を上げます。

高い体温はウイルスや細菌の増殖を抑え、免疫機能を活性化させる効果があります。つまり、発熱は病原体と闘うための体の大切な働きなのです。

赤ちゃんは大人に比べて体温が上がりやすく下がりやすいという特徴があります。これは、体温調節機能がまだ未熟であることに加え、体の表面積が体積に対して大きいためです。

このように、赤ちゃんの体が頑張っているサインではあるため、発熱=悪ではないですが、高い熱は赤ちゃんの哺乳不良や脱水につながる可能性もあるため、適切に対応することが必要です。

赤ちゃんの発熱の原因は?

赤ちゃんの発熱の原因として最も多いのは、ウイルス感染症です。風邪の原因となる種々のウイルスや、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ロタウイルス、アデノウイルスなどが代表的です。次いで細菌感染症が挙げられます。ウイルス性感染とは異なり、症状が重篤になることがあります。生後数ヶ月の赤ちゃんは、母親から受け継いだ抗体の働きで比較的感染症にかかりにくいのですが、その抗体は徐々に減少していきます。そのため髄膜炎などの重症な細菌感染症には注意が必要です。

また、予防接種後に一時的に発熱することもあります。これは、ワクチンに対する正常な免疫反応であり、通常は心配ありません。

まれに、過度の着せすぎや暑い環境での熱中症が原因となることもあります。赤ちゃんは体温調節機能が未発達なため、環境温度の影響を受けやすいのです。

発熱に伴う症状

発熱時には、赤ちゃんの様子をよく観察することが大切です。以下のポイントに注目してみてください。

まず、発熱の経過を記録しましょう。いつから熱が出始めたのか、最高体温は何度だったのか、熱の上がり下がりのパターンはどうかを記録しておくと、医師の診察時に役立ちます。

次に、全身状態の観察です。機嫌はどうか、ぐずりはどの程度か、食欲(母乳やミルクの飲み具合)はあるか、おしっこの量は減っていないか、睡眠の状態はどうかなどをチェックします。「なんとなく、ぐったりしているんです」くらい小さなお子さんの変化も非常に大事な情報です。遠慮せずに伝えるようにしましょう。

また、発熱以外の症状(咳、鼻水、発疹、嘔吐、下痢など)があれば、それらも記録しておきましょう。これらの情報は、病気の診断に役立つ重要な手がかりとなります。

発熱の段階によって赤ちゃんの様子も変わります。熱が上がる途中では、手足が冷たく、震えたり寒そうにしたりします。熱が上がりきると、全身がポカポカして、頬や耳が赤くなり、汗をかいて暑がるようになります。この変化を理解しておくと、適切なケアができるようになります。

 赤ちゃんが発熱したときの自宅での対処法

赤ちゃん 発熱

赤ちゃんの発熱に気づいたとき、すぐに病院に行く必要はない場合も多いです。ここでは、自宅でできる対処法について詳しく見ていきましょう。正しい知識で冷静に対応すれば、赤ちゃんの不快感を和らげることができます。

赤ちゃんが過ごしやすい環境をつくろう

発熱中の赤ちゃんには、過ごしやすい環境を整えてあげることが大切です。赤ちゃんの様子に合わせて、適切な対応をしましょう。

熱が上がり始めの段階では、体は熱いのに手足が冷たく、寒気やふるえがあることがあります。このときは、薄い毛布などで包んであげたり、室温を少し高めにしたりして、赤ちゃんが快適に過ごせるようにしましょう。

一方、熱が上がりきると、全身がポカポカして汗をかきます。この段階では、衣服や掛け物を減らし、室温も25〜26度程度に調整するといいでしょう。ただし、エアコンの風が直接赤ちゃんに当たらないように注意してください。

また、部屋の湿度も大切です。加湿器などを使って50〜60%程度に保つと、のどの乾燥を防ぎ、赤ちゃんの呼吸が楽になります。部屋の換気も忘れずに行いましょう。

冷やしてあげた方がいいの?気をつけたい冷やし方のコツ

熱が上がりきって、赤ちゃんが暑そうにしている場合は、体を冷やしてあげると効果的です。ただし、無理に冷やすと逆効果になることもあるので、赤ちゃんの様子を見ながら行いましょう。

冷やす場所は、首の付け根、わきの下、足の付け根、背中など、大きな血管が皮膚の近くを通っている部分が効果的です。小さな保冷剤をタオルで包んで当てたり、冷たくしぼったタオルで体を拭いたりすると、熱が放散されやすくなります。

市販の冷却シートは、おでこに貼ると気持ちよさそうですが、体温を下げる効果はあまり期待できません。また、特に小さな赤ちゃんでは、寝ている間に冷却シートがずれて鼻や口をふさいでしまう危険性もあります。使用する場合は、首の付け根やわきの下など体の他の部分に貼る方が安全で効果的です。

冷やす際は、赤ちゃんが心地よいと感じる程度にとどめましょう。赤ちゃんが嫌がるようであれば、無理に続ける必要はありません。室温を調整したり、衣服を調節したりするだけでも十分です。

水分補給はとっても大切!母乳・ミルク・麦茶、どうあげる?

発熱時には体から水分が失われるため、脱水症状を防ぐための水分補給が非常に重要です。赤ちゃんは体の大部分が水分でできているため、脱水になりやすい傾向があります。

生後間もない赤ちゃんの場合、母乳やミルクだけで十分な水分を摂取できます。母乳の場合は、いつもより頻繁に短時間の授乳を心がけましょう。ミルクの場合は、いつもより少量ずつこまめにあげるのがコツです。

離乳食が始まっている月齢の赤ちゃんには、麦茶や白湯などもあげましょう。赤ちゃんが飲みやすいよう、常温またはやや冷やしたものを用意するといいでしょう。スプーンやストローマグなど、赤ちゃんが飲みやすい方法で水分を補給させてください。

夏場の発熱は特に脱水に注意が必要です。おしっこの回数が減ったり、色が濃くなったりしたら、脱水のサインかもしれません。また、元気がなくなったり、泣いても涙が出なかったりする場合も脱水を疑いましょう。

赤ちゃんの頭の形測定

解熱剤は使って大丈夫?自宅で使う前に知っておきたいこと

発熱自体は体の防御反応なので、必ずしも熱を下げる必要はありません。しかし、高熱のために赤ちゃんが苦しそうだったり、水分や食事が取れなかったり、眠れなかったりする場合は、解熱剤の使用を検討してもいいでしょう。
ただし、解熱剤の使用は、医師に相談の上で判断してください。特に63ヶ月未満の赤ちゃんへの使用は、原則解熱薬は投与しません。生後6ヶ月までの赤ちゃんはクーリングのみで十分に解熱できます。
一般的に、小児用の解熱剤としてはアセトアミノフェン製剤が使われます。使用の目安は体温38.5度以上で、赤ちゃんが明らかに不快感を示している場合です。使用する際は必ず医師の指示に従い、用法・用量を守りましょう。

解熱剤を使う場合、次の使用までは最低6時間以上間隔を空け、1日3回までにとどめるのが基本です。また、解熱剤は熱の原因自体を治療するものではなく、一時的に症状を和らげるだけであることを理解しておきましょう。

赤ちゃんに解熱剤を使う際は、体重に合わせた正確な量を与えることが重要です。赤ちゃんの場合には坐薬が使用されることが多いので、体重に合わせてカットして使用しましょう。シロップの場合には計量スプーンやスポイトなどを使って、慎重に正しい量を計量してください。また、解熱剤の種類や濃度は製品によって異なるので、使用前に必ず確認しましょう。

こんなときは病院へ!受診した方がいいサインとは?

発熱があっても、必ずしもすぐに病院へ行く必要はありません。しかし、いくつかの状況では早めの受診が必要です。ここでは、病院へ連れて行くべきタイミングについて詳しく解説します。

受診の目安となる症状とは?

発熱があっても、機嫌がよく、水分や食事が摂れていて、尿量も普通なら、まずは自宅で様子を見ても大丈夫です。しかし、以下のような症状がある場合は、医療機関への受診を検討しましょう。

まず、機嫌が著しく悪く、激しくぐずるようなら要注意です。赤ちゃんが普段と違って泣き止まない、あやしても笑わないといった様子があれば、何らかの痛みや不快感があるサインかもしれません。

次に、水分や食事の摂取状況です。母乳やミルクを飲まない、または飲む量が明らかに減っている場合は受診の目安となります。特に、12時間以上水分が摂れていない場合は脱水のリスクが高まるため、早めの受診が必要です。

おしっこの量や回数も重要なチェックポイントです。おむつが6時間以上濡れない、おしっこの色が濃い黄色になるなど、尿量の減少が見られる場合は脱水のサインです。

また、睡眠状態も観察しましょう。熱があっても、一時的に眠ることはできるはずです。しかし、ずっと眠れない、または異常に眠りが深いといった場合は注意が必要です。

生後3カ月未満の赤ちゃんが熱を出したらすぐ病院へ!

生後3カ月未満の赤ちゃんの発熱は特別な注意が必要です。この月齢の赤ちゃんは、ママからもらった抗体のおかげで通常は発熱することが少ないため、38度以上の熱が出た場合は重篤な感染症の可能性も考えられます。

生後3カ月未満の赤ちゃんが38度以上の熱を出した場合は、時間帯を問わず早めに医療機関を受診しましょう。夜間や休日であっても、小児科の救急外来や夜間診療を利用することをお勧めします。

この月齢の赤ちゃんは免疫系がまだ未熟で、症状が急激に悪化することがあります。また、小さな体は脱水になりやすく、体調の変化も大きいため、医師による適切な診断が重要です。

受診の際は、発熱の経過、赤ちゃんの様子、母乳やミルクの飲み具合、おしっこの状況など、できるだけ詳しく医師に伝えるようにしましょう。

すぐ病院へ!こんな症状があったら迷わず受診を

いくつかの症状は、発熱の程度に関わらず緊急受診が必要なサインです。以下のような場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。

けいれんが起きた場合は、緊急性が高い疾患が隠れている場合がありますです。

赤ちゃんの全身または一部が硬直したり、激しく震えたりする発作がある場合は、けいれん発作の可能性があります。熱性けいれんであれば心配は入りませんが、繰り返しけいれん発作を起こしたり、けいれん発作が起こっていない時の意識が悪い時に脳炎・脳症など重篤な状態の可能性があります。

けいれんがなくても、意識障害も危険信号です。名前を呼んだり、やさしく頬をたたいたりしても反応が薄い、または全く反応がない場合は緊急受診が必要です。普段より著しく眠気が強い場合も注意が必要です。

呼吸の状態も重要です。呼吸が速い、息苦しそう、胸やおなかが大きく動く、呼吸と一緒に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がするなどの症状があれば、呼吸器の問題を疑いましょう。

また、皮膚に赤い発疹が出て、その上を指で押しても色が消えない場合(紫斑)は、髄膜炎などの重篤な感染症により著しく全身状態が悪化しているサインである可能性があります。

これらの症状が見られる場合は、発熱の程度に関わらず、すぐに小児科の救急外来や救急車を利用して医療機関を受診してください。

熱がなかなか下がらない…再受診のタイミングはいつ?

一度受診して経過観察となった場合でも、以下のような状況では再受診を検討しましょう。

まず、発熱が3〜4日以上続く場合です。通常の風邪であれば、熱は3日程度で下がり元気も戻ってくることが多いとされています。4日以上熱が続く場合は、中耳炎や肺炎などの合併症が生じている可能性があります。

また、一度熱が下がっても再び上昇する「二峰性の熱」がある場合も再受診の目安です。これは、別の感染症が重なった可能性や、合併症が生じているサインかもしれません。

発熱以外の症状が悪化した場合も再受診が必要です。例えば、咳が激しくなる、呼吸が苦しそうになる、嘔吐や下痢が増える、発疹が広がるなどの場合は、医師に相談しましょう。

最後に、パパ・ママの直感も大切です。「なんとなく様子がおかしい」「いつもと違う」と感じたら、それは赤ちゃんの状態変化に気づいているサインかもしれません。心配な場合は、医師に相談することをためらわないでください。

よくあるQ&A|赤ちゃんの発熱に関する疑問を解決!

ここでは、パパ・ママからよく寄せられる発熱に関する質問にお答えします。日常的な疑問について、医学的な観点から解説します。

Q. 何度以上が「発熱」になりますか?

A.一般的に、直腸で38度以上、腋下(わきの下)で37.5度以上、耳で38度以上あれば「発熱」と考えられます。ただし、赤ちゃんの平熱は個人差があり、また測定方法や時間帯によっても変動します。

赤ちゃんの体温は大人より少し高めで、活動や泣いた後、入浴後などは一時的に上昇することがあります。これらの影響がない状態で測定し、上記の基準を超える場合に「発熱」と判断するのが適切です。

体温計の種類によっても測定値は異なります。デジタル体温計、耳式体温計、おでこで測る非接触型体温計など、それぞれ特性があります。小さな赤ちゃんの場合は、腋下で測るデジタル体温計が比較的正確で安心です。

Q. 発熱したらすぐ病院に行くべきですか?

A.発熱があっても、赤ちゃんの機嫌がよく、水分がしっかり摂れていて、尿量も普通なら、まずは自宅で様子を見ても大丈夫です。特に夜間や休日の場合は、翌朝まで様子を見て、かかりつけ医に相談するのも一つの選択肢です。

ただし、生後3カ月未満の赤ちゃんが38度以上の熱を出した場合は、時間帯を問わず早めに受診することをお勧めします。この月齢の赤ちゃんは重篤な感染症のリスクが高いためです。

また、けいれんや意識障害、呼吸困難、紫斑(押しても色が消えない発疹)などの症状がある場合は、発熱の程度に関わらず緊急受診が必要です。

受診の判断に迷う場合は、小児科の電話相談や、8000(小児救急電話相談)などを利用して専門家に相談するのも良い方法です。

Q. 解熱剤は使ったほうがいいですか?

A.発熱自体は体の防御反応なので、必ずしも解熱剤で熱を下げる必要はありません。高熱のために赤ちゃんが苦しそうにしている場合や、水分摂取や睡眠に支障がある場合に使用を検討しましょう。

一般的な目安は38.5度以上の熱があり、かつ赤ちゃんが明らかに不快感を示している場合です。解熱剤を使用する際は医師の指示に従い、用法・用量を守ることが重要です。生後6ヶ月未満の乳幼児には原則使用しません。

乳幼児の解熱薬としてはアセトアミノフェン製剤が使用されます。赤ちゃんの状態に応じて医師に相談しましょう。

解熱剤は熱を一時的に下げるだけで、病気の原因を治療するものではありません。また、脳に障害が起きることを防ぐ効果もありません。解熱剤に過度に頼らず、水分補給や環境調整といった基本的なケアを大切にしましょう。

赤ちゃんの発熱、まずは落ち着いて対応を

赤ちゃんの発熱は心配になりますが、多くの場合は体を守るための自然な反応です。機嫌がよく水分が摂れていれば、まずは自宅で様子を見守り、快適な環境とこまめな水分補給を心がけましょう。
ただし、生後3ヶ月未満の発熱や、けいれん・意識がもうろうとしている場合、発熱が3〜4日以上続く場合は、早めに受診を。解熱剤は、赤ちゃんがつらそうなときに使うのはOKですが、熱を下げることだけにこだわらず、全体の様子を見てあげることが大切です。
パパ・ママの直感も大切です。「いつもと違う」と感じたら、迷わず医師に相談しましょう。

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