公開日 2024/12/05
【医師解説】赤ちゃん(新生児)のしゃっくりはなぜ多い?止まらない原因と上手な止め方
目次
武田 賢大 先生
生まれたばかりの赤ちゃんのしゃっくりの多さに、戸惑われているママ・パパも多いのではないでしょうか。新生児期は身体機能が未熟なため、しゃっくりが頻繁に起こります。この記事では、新生児のしゃっくりの原因や特徴、適切な対処法、危険な行為、長く続く場合の対応などについて詳しく解説します。原因や仕組みを理解し、上手に対応することで、育児の不安を和らげることができるでしょう。
新生児のしゃっくりが多い理由とは?正しい知識を持って不安解消
新生児期にしゃっくりが多い理由は、主に未熟な身体機能に関係しています。生まれたばかりの赤ちゃんは、神経系や消化器官などの発達が未完成であり、しゃっくりを引き起こしやすい状態にあるのです。
しゃっくりのメカニズムを知ろう!横隔膜が収縮する仕組みとは
しゃっくりは、横隔膜のけいれんによって起こります。この反射は、延髄にある「しゃっくり中枢」が関与しています。
新生児の場合、精神を落ち着かせる作用のある神経伝達物質であるGABAによる抑制機能が未発達であるため、しゃっくり反射が起こりやすいと考えられています。
授乳や環境が影響?しゃっくりを引き起こす主な要因
新生児のしゃっくりには、物理的要因と環境要因があります。
物理的要因としては、授乳後にお腹が張ってしまうことが挙げられます。授乳をしてお腹がいっぱいになると、横隔膜が圧迫された刺激で、しゃっくりが誘発されやすいです。
環境要因としては、体温変化、室温変化、湿度変化、おむつの濡れなどがあります。急激な体温の変化によって、横隔膜が敏感に収縮するため、これらの要因が、しゃっくりを引き起こします
新生児のしゃっくり対策とは?基本から正しいケア方法
新生児期のしゃっくりは自然な生理現象ですが、あまりに多いと心配されるママ・パパもいるでしょう。ここでは、新生児のしゃっくりに対する対応について解説していきます。
赤ちゃんのしゃっくり、どうする?基本的な対応法
新生児のしゃっくりに対する基本的な対応は、自然経過での改善を待つことです。多くの場合、数分から数十分で自然に収まります。ひとまずは、様子を見ることが大切でしょう。
長引くしゃっくりをやさしく止める!赤ちゃんに安全な方法
しゃっくりがなかなか治らないなと思っても、見守っていれば自然と治ることが多いですが、赤ちゃんが気分を悪そうにしていたりすると止めてあげたいと思いますよね。
どうしても何かしてあげたい場合には以下のような対応を行うことが、効果的な場合があります。
- ゆったりとした抱っこ
- 優しい背中のトントン
- 適切な室温管理
- おむつ交換
- 授乳姿勢の工夫
ゆったりとした抱っこ、優しい背中のトントン、適切な室温管理、おむつ交換、授乳姿勢の工夫が推奨されています。
授乳とおむつ交換でケア!しゃっくりを軽減するポイント
とてもお腹が空いている時に慌てて哺乳をするとしゃっくりが出る場合があります。空腹が強い状態になるのを避けることは、しゃっくりを減らす効果があります。授乳時は、赤ちゃんが適量のミルクを飲めるよう、ゆっくりと授乳することが大切です。また、おむつの濡れは、しゃっくりを引き起こす環境要因の一つです。こまめなおむつ交換を心がけ、赤ちゃんの肌を清潔に保つことを心がけましょう。
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室温や湿度が重要!快適な室内環境の整え方
新生児は体温調節機能が未熟なため、室温や湿度の変化に敏感です。適切に室内環境を維持することが求められます。具体的には、室温を24~26℃、湿度を50~60%に保つことが理想的です。急激な温度変化を避け、赤ちゃんが快適に過ごせる環境を整えましょう。
やってはいけないしゃっくり対策
正しい対処法を心がけると同時に、避けるべき行為についても理解しておきましょう。
驚かせるのはNG!その理由とは
赤ちゃんのしゃっくりには何もせずに見守るだけで問題ありません。新生児のしゃっくりに対して、驚かせる、強い刺激を与える、うつぶせに寝かせるなどの行為は避けましょう。これらの行為は、新生児の未熟な身体機能に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、驚かせることで呼吸や心拍に影響を与えるかもしれません。また、強い刺激は新生児の神経系を過度に興奮させ、安定した状態を保てなくなる恐れがあります。
神経系への影響大!強い刺激が与えるリスク
新生児の神経系は発達途上にあり、外部からの刺激に敏感です。大きな音や突然の動きなどの強い刺激は、ストレスホルモンの分泌を促し、心拍数や呼吸数の上昇、泣き止まない、食欲低下などの症状を引き起こす可能性があります。したがって、しゃっくりを止めるために、大声を出す、体を揺さぶる、冷たいものを当てるなどの強い刺激は絶対にやめましょう 控えましょう。代わりに、ゆったりとした抱っこや優しい背中のトントンなど、穏やかな対応をすることが大切です。
うつぶせ寝は危険!SIDSを防ぐ正しい寝かせ方
しゃっくりを止める方法として、うつぶせに寝かせることは絶対に避けなければなりません。うつぶせ寝は、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクを高める要因の一つとされています。うつぶせの姿勢では、呼吸が妨げられたり、吐いたミルクを吸い込んだりする危険性が高まります。また、首の動きが制限され、酸素不足に陥りやすくなります。安全な睡眠環境を整えるためにも、仰向けに寝かせるようにしましょう。
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赤ちゃんのしゃっくりが止まらない時の対処法。病院受診の目安は?
ここでは、赤ちゃんのしゃっくりが自然に治まる気配のない時の適切な対処法をご紹介します。
要注意サインを見逃さない!長時間続くしゃっくりの対処
ほとんどの場合、心配ありませんが、中には注意が必要なサインもあります。ここでは、そのようなサインについて説明します。2-3時間以上続く場合は要注意です。長時間のしゃっくりは、授乳困難や睡眠障害を引き起こす可能性があります。赤ちゃんの機嫌が悪くなったり、発熱や嘔吐を伴ったりする場合は、速やかに医療機関に相談しましょう。また、腹部の膨満も注意が必要です。しゃっくりに加えて、お腹が張っている様子が見られる場合は、消化器系の問題が隠れている可能性があります。
病院受診が必要なケースとは?症状別のチェックポイント
しゃっくりに伴う症状によっては、小児科を受診する必要があります。ここでは、受診の目安について解説します。前述の要注意サインに加えて、以下のような症状がある場合は、速やかに小児科を受診しましょう。しゃっくりが1日以上続く、哺乳量が減少する、体重増加が不良である、呼吸困難を伴う、青白い顔色になる、といった症状が見られる場合は、単なるしゃっくり以外の病気である可能性もあります。早期発見・早期治療が重要ですので、すぐに医療機関を受診してください。
育児の悩みを相談できる窓口一覧【医療機関&行政サービス】
しゃっくりに限らず、育児の悩みを相談できる窓口は様々あります。ここでは、代表的な医療機関と行政サービスをご紹介します。医療機関では、かかりつけ小児科が第一の相談先になります。普段から赤ちゃんの健康状態を把握してもらっているので、的確なアドバイスが期待できます。また、夜間や休日には、#8000(子ども医療電話相談)を利用することもできます。行政サービスとしては、保健センターや子育て支援センターが挙げられます。
これらの施設では、育児に関する幅広い相談に応じてもらえます。経験豊富な保健師や先輩ママ・パパとの情報交換は、育児の不安を解消するために非常に有効でしょう。
赤ちゃんのしゃっくりについてよくある質問
赤ちゃんのしゃっくりについて、よく寄せられる質問をまとめました。授乳後にしゃっくりが多い理由や効果的な対処法など、育児中に直面しがちな疑問を分かりやすく解説します。適切な知識を身につけ、不安を和らげる参考にしてください!
Q.授乳の後にしゃっくりが多いのはなぜですか?
A.授乳後は、お腹が張ってしまうことや空気の嚥下が原因でしゃっくりが起こりやすくなります。授乳姿勢を工夫し、ゆっくりと授乳することで、これらは軽減できます。
Q.しゃっくりがよく出ます。抑える方法はありますか?
A.ゆったりとした抱っこや優しい背中のトントン、適切な室温管理、おむつ交換などの対応が有効です。驚かせたり強い刺激を与えたりするのは避けましょう。
過度な心配無用!正しい知識で不安解消
新生児期のしゃっくりは、身体機能の未熟さに起因することが多く、多くの場合は自然に治まります。しゃっくりが多い時の適切な対応としては、ゆったりとした抱っこや優しい背中のトントン、適切な室温管理、おむつ交換、授乳姿勢の工夫などが挙げられます。また、長時間連続するしゃっくりや、授乳困難、睡眠障害、機嫌不良、発熱、嘔吐、腹部膨満などの症状がある場合は、速やかに医療機関に相談しましょう。