公開日 2025/03/14
【医師解説】新生児黄疸はいつ治る?原因・症状・自宅での対処法を解説

目次

武田 賢大 先生
パパやママにとって、生後間もない赤ちゃんが黄色っぽく見える『新生児黄疸』は、気がかりになる方も多いかもしれません。通常は、普段の様子をよく見て適切にケアしていれば、自然に治まるケースが大半です 。「新生児黄疸はいつ治るの?」「どんな症状や原因があるの?」といった疑問を抱えるパパやママも少なくありません。この記事では、新生児黄疸の原因や症状、治療法、自宅でのケア方法などをわかりやすくお伝えします。
新生児黄疸とは?赤ちゃんの肌が黄色くなる理由
新生児黄疸についてもう少し詳しく、特徴や仕組みを見ていきましょう。黄疸の症状や経過、原因となるビリルビンの働きを知ることで、赤ちゃんの状態をより適切に把握できるようになります。
新生児黄疸ってどんな症状?いつ治るの?
新生児黄疸は、赤ちゃんの肌や目が黄色っぽくなることです。これは赤ちゃんの体内で「ビリルビン」という黄色い色素が増加するために起こります。満期で生まれた赤ちゃんのおよそ半数、早産で生まれた赤ちゃんの最大80%に見られる、ごく一般的な現象です。ほとんどの赤ちゃんは、生後2〜3日目あたりから肌や目が黄色くなり、1〜2週間で自然に治っていきます。このように、ある程度の黄疸は生理的なものであり、新生児としては正常範囲内のことが多いと考えられています。
ただし、一定のビリルビン値を超える黄疸が長引くと、核黄疸を引き起こし脳神経に障害を残すこともあります。そうした場合は、医療機関で詳しい検査や必要なケアを受けられるので、「大丈夫かな」と思っても判断が難しい場合は、早めに病院に相談しながら赤ちゃんの状態をこまめに見守るのが大切です。
生後1ヶ月の赤ちゃんの特徴は?ミルクの量、授乳間隔、睡眠時間などお世話のポイントを解説
黄疸の原因「ビリルビン」とは?赤ちゃんの体の仕組み
ビリルビンは、古い赤血球が壊れるときに出る黄色い色素です。赤ちゃんは、お腹の中で多くの赤血球を使って酸素を運んでいます。生まれた後、その赤血球が急に壊れるので、ビリルビンが多くなります。また新生児期の赤ちゃんの肝臓は未熟で、ビリルビンを効率良く体外へ排出する機能がまだ十分に整っていません。そのため、一時的に血中ビリルビンが増加し、黄疸の症状として現れやすいのです。
通常、ビリルビンは肝臓で処理された後、胆汁という消化液の一種として腸へ排泄され、最終的に便や尿とともに体外へ出されます。出生したばかりのころの赤ちゃんは、一度腸に排泄されたビリルビンを再吸収する力が強いため、さらに黄疸になりやすいです。赤ちゃんが成長することで、ビリルビンをうまく体外に出せるようになり、ほとんどの場合自然に治ります。しかし中には病気が原因で、ビリルビンが過剰にたまってしまう場合もあります。その違いを見分けるために、医療機関では血液検査でビリルビン値を測り、「生理的な黄疸」か「病的な黄疸」かを判断します。
新生児黄疸は自然に治る?注意すべきポイント
普通の新生児黄疸は、生後2〜3日目から始まり、1〜2週間程度で徐々に治ります。病院では生まれたばかりの赤ちゃんの観察項目として黄疸があります。病院からお家に帰るタイミング、生後5日目前後に黄疸のチェックのための採血などを行っています。多かれ少なかれ、生理的黄疸は生じるのですが、もし治療基準を超えるようであれば、光線療法という治療が行い、ビリルビンの値を下げてお家に帰るようにします。生後1か月健診あたりでかなり改善していることが多いですが、それ以降もしばらく黄色っぽさが残ることもあるため、念のため定期受診時や母子手帳の健康チェックで確認しましょう。
一方で、生後間も無く高い黄疸が出る場合にはNICUで精密検査を行います。自宅に帰った後も、黄疸が長引いたり、ビリルビンがとても高くなった場合は、病気が原因かもしれないので、病院で診てもらうことが大切です。黄疸の原因によって治療法や対処法が変わってくるので、変だなと思ったら早めに相談するようにしましょう。
赤ちゃんの黄疸が心配なときのチェックポイント
出産後に家に帰った後、赤ちゃんの肌や目が黄色くなったら、まずはかかりつけの医療機関やかかりつけの小児科に相談しましょう。医療機関ではビリルビン値や赤ちゃんの全身状態、そして黄疸の原因となる病気がないかを調べます。特別な問題がないと診断された場合は、母乳やミルクを適切に与えながら、赤ちゃんの元気さや体重を見守りましょう。赤ちゃんがぐったりしている、母乳やミルクがうまく飲めない、熱がある、吐いたりけいれんを起こすなど、いつもと違う様子のときは早めに病院に行きましょう。
新生児黄疸の原因|生理的・病的黄疸の違いとは?
新生児黄疸には様々な原因があり、その種類によって対応方法も変わってきます。赤ちゃんの体の成長過程で自然に現れる「生理的黄疸」と、何らかの病気が原因となる「病的黄疸」を正しく見分けることが、適切なケアの第一歩となります。それでは、それぞれの特徴や違いについて詳しく見ていきましょう。
どこまでが正常?生理的黄疸と病的黄疸を見分けるポイント
新生児黄疸には大きく分けて、生理的黄疸と病的黄疸があります。生理的黄疸は、先ほど述べたように赤ちゃんの体が未熟であるがゆえにビリルビンが増加する自然な現象です。特にその他の病気が関与していない場合は、1〜2週間ほどで落ち着いていきます。通常は病院で生まれた赤ちゃんに行われれる観察で一般的に見られるものであり、ビリルビン値が高くなっている場合には、入院中もしくは一旦帰ってから通院しながら光線療法という治療を行いますが、そこで治療できればその後の成長なども特に心配はいりません。
一方の病的黄疸は、何らかの病気が隠れていることでビリルビンが過剰に増えてしまう状態です。例えば、パパやママと赤ちゃんの血液型が不一致で生じる溶血性黄疸、赤ちゃんの血液に問題がある場合、母乳やミルクの摂取不足によってビリルビン排泄が十分にならないケース、胆道が詰まっている胆道閉鎖症、甲状腺機能低下症などが原因として挙げられます。病的黄疸を疑う際には、ビリルビン値だけでなく、便の色や赤ちゃんの全身状態なども重要な判断材料となります。
血液型の違いが影響?溶血性黄疸とは
病的黄疸の代表例として、母子間の血液型不一致があります。例えば、ママがO型で赤ちゃんがA型やB型の場合や、Rh因子が母子で異なる(ママがRhマイナスで赤ちゃんがRhプラスなど)場合です。このような不一致があると、ママの体内にできた抗体が赤ちゃんの赤血球を壊してしまい、その分解の過程で過剰なビリルビンが生じます。これを「溶血性黄疸」と呼びます。
溶血性黄疸では、生後比較的早い段階から黄疸がはっきりと出ることが多く、通常の生理的黄疸よりビリルビン値が高くなりやすいのが特徴です。重症化すると黄疸による脳への影響や、貧血の進行がも懸念されるため、出産をする病院では早期に発見をして、診断と治療が行われるような体制が整っています。血液型が合わないかもと思ったら、生後すぐに血液検査をして、必要な治療を始めます。
母乳育児で黄疸が長引く?その理由と対策
母乳をあげている赤ちゃんの中には、母乳の成分が原因で黄疸が長引くことがあります。これは母乳自体に含まれる成分がビリルビンの排泄を妨げると考えられていますが、通常は赤ちゃんの成長とともに自然に改善することが多いです。なので、母乳性黄疸を気にして授乳を控える必要はないので、しっかり母乳で育児ができているのであればそのまま継続しましょう。
逆に、母乳がうまく飲めていない(授乳姿勢や回数が足りないなど)と、脱水傾向となり体重が増えにくくなり、便からのビリルビンを排泄しづらくなることがあります。その結果、黄疸が強くなる場合もあるので注意しましょう。授乳がうまくいかないと感じるときや、赤ちゃんが乳首をうまく吸えない場合は、かかりつけの医療機関や助産師に相談して授乳方法を見直しましょう。
黄疸が進行するとどうなる?「核黄疸」のリスク
ビリルビン値が非常に高い状態が続き、ビリルビンが赤ちゃんの脳へ蓄積してしまうと「核黄疸」という重篤な合併症を引き起こします。初期には赤ちゃんがぐったりして授乳がうまくできない、筋力が低下しているなどの症状としてあらわれ、進行すると意識障害やけいれん、泣き方が普段と違って甲高くなったり、首や背中を強く反らせたりする症状が出るのが特徴です。
核黄疸は回復しても神経学的な後遺症が残る場合があるため、早期の介入がとても重要となります。赤ちゃんがとても静かだったり、飲むのが悪かったり、けいれんや発熱がある場合は、すぐに病院を受診しましょう。できるだけ早く光線療法や交換輸血などを行うことで、脳への影響を防げることが多いとされています。
新生児黄疸の検査と治療|どんなときに受診すべき?

新生児黄疸の適切な治療のためには、まず正確な診断と検査が不可欠です。医療機関では様々な検査方法を組み合わせることで、黄疸の程度や原因を特定し、最適な治療方針を決定していきます。ここでは、パパやママが知っておくべき代表的な検査や治療方法について解説していきます。
黄疸の診断方法|赤ちゃんの肌や血液をチェック
新生児黄疸を診断する際、まずは赤ちゃんの皮膚や白目の色調を目視で確認します。同時に血液検査によるビリルビン値の測定、溶血の有無をチェックするために必要な検査を行います。黄疸が強い場合や病的黄疸を疑う場合には、母子の血液型やRh因子の調整、赤血球を壊す原因の有無、肝機能や胆道の状態などを詳細に調べる場合もあります。さらに、便の色や赤ちゃんの体重増加具合、哺乳量やおしっこの回数、全身状態なども合わせて確認し、病的か生理的かを判断します。新生児期は変化が激しいため、こまめな観察と複数回のビリルビン値チェックが重視されます。
光線療法とは?ビリルビンを分解する治療法
ビリルビンが高くて、脳に影響が出るかもしれないときは、光線療法を行います。これは、青色に近い特定の波長の光を照射することでビリルビンを分解し、排出を促す治療です。赤ちゃんの目を保護し、なるべく肌を露出した状態で光を浴びてもらう必要があり、治療中は定期的にビリルビン値を測定しながら進めます。光線療法によって、赤ちゃんの体重がやや減少したり、脱水気味になったりすることがあります。授乳や補足ミルクなどで十分に水分と栄養が取れるようにサポートし、赤ちゃんの負担を減らすようにして治療が行われます。通院しながら光線療法を行う場合には、帰宅後にしっかり哺乳させるように心がけましょう。ビリルビン値が安全な範囲に下がれば光線療法を終了し、その後は病院が指示する期間観察を続けます。
重症化したら交換輸血も?医療機関での対応
ビリルビン値が非常に高く、既に脳への影響が懸念される場合には、交換輸血が検討されます。これは赤ちゃんの血液を少しずつ取り出しながら、ビリルビンの低い新しい血液と置き換えていく治療法です。短時間でビリルビン値を下げる効果が大きいため、核黄疸など重篤な合併症の進行を防ぐことを期待して行われます。交換輸血は特別な設備と技術が必要なので、NICUなどの新生児の入院施設で行われます。リスクや、生まれる前後の検査や赤ちゃんの症状を総合的に判断し、本当に必要なときにのみ選択されます。パパやママとしては突然大きな処置で驚くかもしれませんが、赤ちゃんを守るための有効な治療のひとつです。
原因別に治療法は違う!専門医が行う対処法
病的黄疸が疑われる場合、その原因となる病気に応じて対処の仕方が変わってきます。血液型不一致が原因であれば、上記の光線療法や交換輸血をメインに、溶血の度合いを抑えるための治療を行うこともあります。その他、血液型不一致以外の理由としては、G6PD欠損症など赤血球そのものの構造が異常な場合には、溶血を引き起こす原因物質(特定の薬剤や食品など)を避けると同時に、必要に応じて輸血などのサポートをします。また、肝臓や胆道系の病気がある場合は根本の病気に対する専門的な治療が必要です。例えば胆道閉鎖症では、黄疸だけでなく便の色の変化がみられ、早期の外科的処置が求められます。

自宅でできる新生児黄疸のケア|赤ちゃんの健康を守る方法
新生児黄疸において、ご家庭での日々の観察とケアは非常に重要な役割を果たします。医療機関での診察だけでなく、パパやママが赤ちゃんの変化に気づき、適切に対応できることが、安全な育児につながります。ここでは、自宅でできる具体的な観察方法やケアのポイントについて詳しく説明していきます。
黄疸の変化を見逃さない!日々の観察ポイント
黄疸のチェックの仕方を覚えておくと日頃の観察に役立ちます。 照明が明るい部屋で普段から赤ちゃんの肌や白目の色をチェックしたり、指先で軽く押して押したところが黄色いかを確認してみてください。気になる変化があればメモをとるなど、記録しておくと役立ちます。黄疸が強くなっているように感じたり、いつもと肌の色が違うように思えたりした場合は、念のため早めにかかりつけの小児科へ相談してください。
赤ちゃんが抱っこに反応しない、ぐったりしている、哺乳意欲が極端に低下しているなどの症状も要注意です。病気の兆候を早期にキャッチし、必要なときは速やかに受診することが、重症化を防ぐ上でとても重要となります。
母乳やミルクの量がカギ!授乳の工夫で黄疸対策
母乳でもミルクでも、赤ちゃんの哺乳量や回数が足りないとビリルビンの排泄がスムーズに進みにくくなり、黄疸が長引く原因になることがあります。母乳育児の場合、特に生後間もない時期は赤ちゃんがうまく吸いつけず、十分な量を飲めないこともあります。痛みがあったり、赤ちゃんの体重が増えにくいなど心配がある場合は、助産師や医師に相談しながら授乳姿勢や頻度を調整しましょう。授乳をしても赤ちゃんの様子がいつもと違う、満足そうに見えない、ぐずりが多いなどの際にも、母乳量やミルク量の不足が原因の可能性があります。赤ちゃんの体重増加が思わしくない場合は、医療機関に行って指導を受けるのがおすすめです。
赤ちゃんの吐き戻しはいつまで続く?原因や対処法対処法について
生活環境の工夫で赤ちゃんの負担を減らす
黄疸そのものを直接治すわけではありませんが、赤ちゃんが快適に過ごせるよう生活環境を整えることも大切です。暑すぎず寒すぎない室温を保ち、こまめな換気と適度な湿度調整を行いましょう。赤ちゃんがストレスの少ない状態で過ごせることで、体力の消耗を最小限に抑え、哺乳量の確保にもつながります。また、極端に日光に当てる必要はありませんが、昼夜の区別がつく程度に部屋の明るさを調節するなど、生活のリズムを作ってあげるのも赤ちゃんの身体機能を整える一助となる場合があります。
受診すべきタイミング|こんな症状が出たら要注意!
赤ちゃんが黄疸に伴って下記のような症状を示す場合は、できるだけ早く小児科へ行きましょう。
例えば、
- 意識レベルが低下している
- 授乳がまったくできない
- 強い嘔吐やけいれんがある
- ぐったりして反応が薄い
- 発熱
などがあるなどは要注意です。こうした症状は黄疸だけでなくほかの病気が隠れている可能性もあります。
新生児黄疸のよくある質問
赤ちゃんの肌が黄色っぽく見えると、「これは普通なの?」「病院に行くべき?」とパパやママは不安になることも多いでしょう。新生児黄疸は多くの赤ちゃんに見られる現象ですが、症状や経過には個人差があり、どの程度なら安心なのか迷うこともあります。ここでは、新生児黄疸に関するよくある疑問にわかりやすくお答えします。黄疸の原因や治るまでの期間、注意すべきポイントを知ることで、赤ちゃんの健康を見守る参考にしてください。
Q. 新生児黄疸とはどんな状態ですか?
A.新生児黄疸は、赤ちゃんの出生後の適応の中でビリルビンという黄色い色素が体に溜まりやすいことで、赤ちゃんの肌や目が黄色くなる状態です。生後2〜3日目ころから見られ、1〜2週間ほどで自然に落ち着くことが多いですが、異常に強い黄疸、生後早期もしくは長引く黄疸一部では病気が原因となる場合もあります。
Q. 新生児に黄疸が出やすい理由は何ですか?
A.赤ちゃんは胎内で赤血球が多く、その赤血球が生後に急速に分解されることでビリルビンが増えやすくなります。また、肝臓がまだ未熟なためビリルビンをうまく排泄できず、腸でのビリルビン吸収も多いため、一時的に血中にたまりやすいのです。
Q. 新生児黄疸の後遺症は?
A.通常の新生児黄疸であれば後遺症は残りませんが、ビリルビンが非常に高い状態で適切な治療が行われず脳に蓄積すると、核黄疸による神経障害が残ることがあります。そのため、黄疸が極端に強い場合や赤ちゃんの状態に異常がある場合は、早急な受診と治療が重要です。
赤ちゃんの黄疸を正しく知って、安心して育児をしよう

新生児黄疸は、生後すぐから6ヶ月ほどの赤ちゃんを育てるパパやママがもっとも心配しやすい症状のひとつです。しかし、多くは生理的な理由によるものであり、赤ちゃんの身体の成長とともに自然に解消していきます。大切なのは「本当に自然な現象か、それとも病的要因があるのか」を見極めることです。もしも黄疸が強い、長引く、赤ちゃんの元気がないと感じた場合には、早めに医療機関で相談してください。血液型不一致や赤血球異常、肝胆道系の異常、母乳育児の不足による影響など、それぞれの原因にあった専門的な治療が行われれば、重症化を防ぐことができるケースが存在します。
この機会に、赤ちゃんの体調変化や授乳の状態をこまめにチェックする習慣をつけてみるのもおすすめです。しっかり観察し、必要に応じて医療機関を受診することで、赤ちゃんが安心して成長できる環境を整えてあげましょう。
