公開日 2025/04/09

【医師解説】赤ちゃんの睡眠退行とは?突然夜泣きが増える時期や対策について

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武田 賢大 先生

赤ちゃんの睡眠パターンが安定してきたと思ったのに、突然夜泣きが増えたり、寝つきが悪くなったりした経験はありませんか?これは「睡眠退行」と呼ばれる現象で、赤ちゃんの成長過程でよく見られるものです。
パパ・ママにとっては大変な時期ですが、この時期を理解して適切に対応することで、赤ちゃんの成長をしっかりサポートすることができます。この記事では、睡眠退行の定義からその時期、原因、そして対策まで詳しく解説していきます。

睡眠退行とは?赤ちゃんが突然寝なくなる理由とは?

まずは睡眠退行とは何か、その基本的な知識についてご説明します。赤ちゃんの睡眠パターンが急に変化して困っているパパ・ママにとって、この現象を理解することは対応の第一歩となります。

睡眠退行とは?夜泣き・寝ぐずりの増加は成長のサイン

睡眠退行とは、赤ちゃんが一度安定していた睡眠パターンが一時的に崩れ、夜間の目覚めが増えたり、寝つきが悪くなったりする現象です。これまで比較的よく眠れていた赤ちゃんが突然夜泣きをするようになったり、寝かしつけに時間がかかるようになることがあります。主な特徴としては、夜間に何度も目を覚ますようになったり、寝ぐずりが増えたり、昼寝の時間や回数が変わったりすることが挙げられます。
例えば、午前中によく寝ていた赤ちゃんが昼寝をしなくなり、その分夕方に長く寝てしまうこともあります。このような変化は赤ちゃんの成長過程における一時的な現象であり、多くの場合は自然に改善していきます。

「夜泣き」との違いは?睡眠退行で見られる特徴的な変化

「睡眠退行」と「夜泣き」はどう違うのでしょうか。夜泣きは赤ちゃんが夜間に泣いて起きる現象を指しますが、睡眠退行はそれに加えて、それまで安定していた睡眠パターン全体が崩れる状態を意味します。

具体的には、夜泣きだけでなく、寝つきの悪さ、昼寝の変化、就寝時間の乱れなど、睡眠に関するさまざまな変化が一度に起こることが特徴です。また、一時的に良くなったと思ったのに、また元に戻るという波があることも睡眠退行の特徴といえるでしょう。

睡眠退行は悪いことじゃない?赤ちゃんの発達に与える影響

睡眠退行は赤ちゃんの発達にどのような影響を与えるのでしょうか。実は、睡眠退行自体は赤ちゃんの脳や身体が急速に発達している証拠であり、多くの場合は心配するべきものではありません。

赤ちゃんは睡眠中に脳が発達し、日中の経験を整理しています。新しいスキルを習得する時期に睡眠パターンが乱れることは珍しくありません。例えば、寝返りやハイハイなど、運動発達の節目に睡眠退行が起こることが多いのです。睡眠退行は一時的な現象であり、赤ちゃんの正常な発達の一部と考えることができます。

睡眠退行が起こる時期とは?赤ちゃんの成長とともに訪れる変化

続いて、睡眠退行がどの時期に起こりやすいのか、月齢別の特徴について詳しく見ていきましょう。赤ちゃんの成長段階によって睡眠退行の現れ方も異なりますので、お子さまの年齢に合わせた情報を参考にしてください。

新生児〜生後3ヶ月は“まだ”睡眠退行じゃない?睡眠発達の始まり

新生児期から生後3ヶ月頃までの赤ちゃんは、まだ睡眠リズムが不安定で昼夜の区別があまりついていません。この時期の赤ちゃんは3〜4時間おきに授乳のために起きることが一般的で、一日の睡眠時間も14〜17時間と長いのが特徴です。生後2〜3ヶ月になると少しずつ夜間の睡眠時間が長くなり、朝と夜の区別がつき始めます。しかし、この時期はまだ睡眠パターンが確立される前の段階なので、厳密には「睡眠退行」というよりも「睡眠の発達途中」という表現が適切でしょう。

生後4〜6ヶ月|初めての睡眠退行が始まる時期

多くの赤ちゃんに見られる最初の本格的な睡眠退行は、生後4〜6ヶ月頃に起こることが多いです。この時期は脳の発達が著しく、周囲への認識が高まり、寝返りなどの運動発達も始まる重要な時期です。睡眠リズムも徐々に成人型への移行が始まります。そのためそれまでの新生児の睡眠リズムから変化がみられます。それまで夜間にぐっすり眠れるようになってきた赤ちゃんが、突然また夜中に何度も起きるようになり、パパ・ママを驚かせることがあります。この時期の睡眠退行は主に脳の発達と関連していると考えられており、赤ちゃんが新たな認知能力を獲得していることの表れでもあります。

生後7〜9ヶ月|ハイハイ・つかまり立ちの時期に起きる第二の睡眠退行

生後7〜9ヶ月頃になると、多くの赤ちゃんは第二の睡眠退行を経験します。この時期は、ハイハイや掴まり立ちなど運動能力が急速に発達し、「見知らぬ人への不安」や「母子分離不安」も現れ始める時期です。赤ちゃんは昼間に練習した新しい運動スキルを夜間も無意識に試そうとするため、寝ている間に動き回ったり、突然起き上がったりすることもあります。

身体的な発達から覚醒度、興奮が長く続くために睡眠リズムの変化がみられるのがこの時期です。

1歳前後|昼寝リズムの変化や自己主張が原因になることも

1歳前後になると、歩行や言葉の発達など、再び大きな発達の飛躍がある時期を迎えます。この時期には、昼寝のパターンが2回から1回に減ることも多く、それに伴う睡眠リズムの変化に赤ちゃんが適応する過程で睡眠退行が起こることがあります。また、この頃になると赤ちゃんの自己主張も強くなり、就寝を嫌がるケースも増えてきます。夜に一人で眠ることへの不安や、パパ・ママと離れることへの抵抗感が強くなることもあります。このため、就寝時のぐずりや夜間の目覚めが増えることがあるのです。

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赤ちゃんの睡眠退行の原因は?

ここまでは年齢に伴ってみられる睡眠退行についてみてきました。その他にも睡眠退行にはさまざまな原因や影響要因があります。ここでは、赤ちゃんの睡眠に影響を与える主な要因について詳しく解説します。原因を理解することで、対応策を考える手がかりになるでしょう。

脳の発達&新スキル習得が引き起こす変化

前の章でも触れたように睡眠退行の最も一般的な原因は、赤ちゃんの脳の発達と新しいスキルの習得です。寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、そして歩行など、運動発達の大きな節目に睡眠退行が起こることが多いのです。脳が急速に発達する時期には、その処理のために睡眠パターンに変化が生じると考えられています。昼間に覚えた新しいスキルを脳が整理し定着させるためには、睡眠中に脳が活発に働く必要があります。そのため、一時的に睡眠が浅くなったり、中断されたりしやすくなるのです。

歯が生え始めた赤ちゃんに多い「歯ぐずり」とは?

多くの赤ちゃんは生後6ヶ月頃から乳歯が生え始めます。歯が歯茎を押し上げる際の痛みやかゆみ、違和感は、赤ちゃんにとって大きな不快感となり、睡眠に影響を与えることがあります。

特に夜間は日中のような気晴らしがないため、歯の痛みをより強く感じることもあります。このため、それまで良く眠れていた赤ちゃんが突然夜中に何度も起きて泣くようになることがあるのです。歯の生え始めによる睡眠の乱れは、一般的に「歯ぐずり」とも呼ばれています。

分離不安や引っ越し・保育園など環境の変化も影響大

生後8ヶ月頃になると、多くの赤ちゃんに「分離不安」が現れ始めます。これは、パパやママなど親しい人から離れることへの不安や恐れを感じる発達段階で、この不安が夜間の睡眠に影響することがあります。

この時期になると引っ越しや保育園の開始、家族構成の変化など環境の変化がも、赤ちゃんの睡眠に大きな影響を与えることがあります。赤ちゃんは新しい環境や状況に敏感であり、そのような変化に適応するまでに時間がかかることがあるのです。

睡眠退行と思ったら体調不良かも?見極めのポイント

時には、睡眠退行の原因が病気や体調不良にある場合もあります。中耳炎やのどの痛み、鼻づまりなどの症状は、赤ちゃんの睡眠を妨げる可能性があります。特に横になると症状が悪化する病気の場合は、睡眠への影響が大きくなります。また、胃腸の不調やアレルギー反応なども睡眠に影響を与えることがあります。赤ちゃんの睡眠退行が長期間続く場合や、発熱、食欲不振などの症状を伴う場合は、医師に相談することをお勧めします。

睡眠退行への正しい対応法|

最後に、睡眠退行に対するさまざまな対策と乗り越え方について詳しく解説します。赤ちゃんの睡眠を改善するためのアプローチは家庭によって異なりますが、ここでは一般的に効果的とされる方法をご紹介します。

睡眠リズムは崩さない!毎日の生活リズムを一定に保つコツ

睡眠退行に対する最も基本的な対策は、規則正しい生活リズムを確立することです。できるだけ毎日同じ時間に起床し、食事をし、昼寝をして、夜に就寝するようにすると、赤ちゃんの体内時計が整いやすくなります。特に重要なのは、朝の光を浴びることと夜の就寝時間を一定にすることです。朝の光は体内時計をリセットする効果があり、夜の就寝時間を一定にすることで、赤ちゃんの睡眠リズムが整いやすくなります。たとえ睡眠退行の時期でも、基本的な生活リズムを崩さないようにしましょう。

入眠儀式がカギ!赤ちゃんが安心して眠れる寝かしつけルーティン

赤ちゃんが心地よく眠りにつくためには、効果的な寝かしつけルーティンが重要です。例えば、「お風呂→パジャマに着替え→絵本の読み聞かせ→消灯」といった一連の流れを毎晩同じ順序で行うことで、赤ちゃんは「これから眠る時間」だと理解しやすくなります。

寝かしつけルーティンは15〜30分程度にし、静かでリラックスできる活動を含めるとよいでしょう。激しい遊びや明るい光、大きな音は避け、赤ちゃんが心地よく眠りに入れる環境を作りましょう。

赤ちゃんの快眠を助ける“眠りやすい環境”の整え方

赤ちゃんの睡眠環境も睡眠の質に大きく影響します。理想的な睡眠環境は、静かで暗く、適切な室温は20〜22℃程度です。赤ちゃんの寝室は必要以上に刺激的にならないように配慮しましょう。また、赤ちゃんが安心して眠れるよう、おくるみやお気に入りのぬいぐるみなど、「睡眠の合図」となるアイテムを取り入れるのも効果的です。ただし、窒息のリスクを避けるため、1歳未満の赤ちゃんのベッドには柔らかいぬいぐるみや毛布などを置かないよう注意しましょう。

パパ・ママも休んで!乗り越えるためのセルフケアのすすめ

睡眠退行の時期を乗り切るためには、パパ・ママ自身のケアも非常に重要です。赤ちゃんの睡眠が不安定になると、パパ・ママも十分な睡眠が取れなくなり、疲労が蓄積されがちです。

可能であれば、パパとママで夜間の対応を交代したり、家族や友人に協力してもらったりして、少しでも休息の時間を確保しましょう。また、睡眠不足による育児ストレスが強い場合は、無理せず医療機関や保健師に相談することをお勧めします。地域の育児支援サービスの利用も検討してみてください。

 5. よくあるQ&A|赤ちゃんの睡眠退行に関する疑問を解決!

赤ちゃんの睡眠退行は、突然起こるだけに戸惑うことも多いですよね。ここでは、実際に多くのパパ・ママから寄せられる「これって大丈夫?」「どうすればいいの?」という疑問に、わかりやすくお答えします。

Q. 睡眠退行はいつまで続くのでしょうか?

A. 睡眠退行の期間は個人差がありますが、一般的には2週間から6週間程度続くことが多いです。しかし、ある程度落ち着いた後も、成長の節目ごとに何度か繰り返し現れることがあります。大切なのは、これが一時的な現象であることを理解し、根気強く対応していくことです。

Q. 睡眠退行中の授乳について、何か注意点はありますか?

A. 睡眠退行の時期に夜間の授乳回数が増えることがありますが、栄養面での必要性がなければ、徐々に夜間の授乳を減らしていくことも検討できます。ただし、急激な変化は避け、赤ちゃんの様子を見ながら進めることが大切です。また、寝る前にしっかり授乳しておくことで、夜間の目覚めを減らせる場合もあります。

Q. 睡眠退行中は昼寝のルーティンも変えた方がいいですか?

A. 基本的には昼寝のルーティンも一定に保つことをお勧めします。ただし、赤ちゃんの年齢に応じて昼寝の回数や時間は自然と変化していきますので、その変化に合わせて柔軟に対応することも大切です。昼寝が短くなったり、回数が減ったりしても、夜の睡眠に悪影響がなければ心配する必要はありません。

Q. いつ医師に相談すべきですか?

A. 睡眠退行が通常よりも長く続く場合(2ヶ月以上)や、赤ちゃんが極端に不機嫌になる、発熱や食欲不振などの症状を伴う場合は、医師に相談することをお勧めします。また、赤ちゃんの呼吸に異常がある、極端に起こしにくいなどの症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。

睡眠退行は一時的。赤ちゃんの成長とともにまた眠れる日が戻ってきます

睡眠退行は赤ちゃんの成長過程で起こる一時的な現象です。脳の発達や新しいスキルの習得、歯の生え始め、分離不安など、さまざまな要因が関わっています。この時期は確かにパパ・ママにとって大変ですが、赤ちゃんが急速に成長している証でもあります。

規則正しい生活リズムの確立、効果的な寝かしつけルーティン、快適な睡眠環境の整備など、できることから少しずつ取り組んでみましょう。そして何よりも、パパ・ママ自身の心身の健康を保つことが大切です。

この時期はいつか必ず終わります。焦らず赤ちゃんの成長を温かく見守りながら、家族でこの時期を乗り越えていきましょう。赤ちゃんの睡眠パターンは必ず再び安定し、パパ・ママもまた、安心して眠れる日々が戻ってきます。

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公開日 2025/04/09

【医師解説】赤ちゃんの睡眠退行とは?突然夜泣きが増える時期や対策について

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武田 賢大 先生

赤ちゃんの睡眠パターンが安定してきたと思ったのに、突然夜泣きが増えたり、寝つきが悪くなったりした経験はありませんか?これは「睡眠退行」と呼ばれる現象で、赤ちゃんの成長過程でよく見られるものです。
パパ・ママにとっては大変な時期ですが、この時期を理解して適切に対応することで、赤ちゃんの成長をしっかりサポートすることができます。この記事では、睡眠退行の定義からその時期、原因、そして対策まで詳しく解説していきます。

睡眠退行とは?赤ちゃんが突然寝なくなる理由とは?

まずは睡眠退行とは何か、その基本的な知識についてご説明します。赤ちゃんの睡眠パターンが急に変化して困っているパパ・ママにとって、この現象を理解することは対応の第一歩となります。

睡眠退行とは?夜泣き・寝ぐずりの増加は成長のサイン

睡眠退行とは、赤ちゃんが一度安定していた睡眠パターンが一時的に崩れ、夜間の目覚めが増えたり、寝つきが悪くなったりする現象です。これまで比較的よく眠れていた赤ちゃんが突然夜泣きをするようになったり、寝かしつけに時間がかかるようになることがあります。主な特徴としては、夜間に何度も目を覚ますようになったり、寝ぐずりが増えたり、昼寝の時間や回数が変わったりすることが挙げられます。
例えば、午前中によく寝ていた赤ちゃんが昼寝をしなくなり、その分夕方に長く寝てしまうこともあります。このような変化は赤ちゃんの成長過程における一時的な現象であり、多くの場合は自然に改善していきます。

「夜泣き」との違いは?睡眠退行で見られる特徴的な変化

「睡眠退行」と「夜泣き」はどう違うのでしょうか。夜泣きは赤ちゃんが夜間に泣いて起きる現象を指しますが、睡眠退行はそれに加えて、それまで安定していた睡眠パターン全体が崩れる状態を意味します。

具体的には、夜泣きだけでなく、寝つきの悪さ、昼寝の変化、就寝時間の乱れなど、睡眠に関するさまざまな変化が一度に起こることが特徴です。また、一時的に良くなったと思ったのに、また元に戻るという波があることも睡眠退行の特徴といえるでしょう。

睡眠退行は悪いことじゃない?赤ちゃんの発達に与える影響

睡眠退行は赤ちゃんの発達にどのような影響を与えるのでしょうか。実は、睡眠退行自体は赤ちゃんの脳や身体が急速に発達している証拠であり、多くの場合は心配するべきものではありません。

赤ちゃんは睡眠中に脳が発達し、日中の経験を整理しています。新しいスキルを習得する時期に睡眠パターンが乱れることは珍しくありません。例えば、寝返りやハイハイなど、運動発達の節目に睡眠退行が起こることが多いのです。睡眠退行は一時的な現象であり、赤ちゃんの正常な発達の一部と考えることができます。

睡眠退行が起こる時期とは?赤ちゃんの成長とともに訪れる変化

続いて、睡眠退行がどの時期に起こりやすいのか、月齢別の特徴について詳しく見ていきましょう。赤ちゃんの成長段階によって睡眠退行の現れ方も異なりますので、お子さまの年齢に合わせた情報を参考にしてください。

新生児〜生後3ヶ月は“まだ”睡眠退行じゃない?睡眠発達の始まり

新生児期から生後3ヶ月頃までの赤ちゃんは、まだ睡眠リズムが不安定で昼夜の区別があまりついていません。この時期の赤ちゃんは3〜4時間おきに授乳のために起きることが一般的で、一日の睡眠時間も14〜17時間と長いのが特徴です。生後2〜3ヶ月になると少しずつ夜間の睡眠時間が長くなり、朝と夜の区別がつき始めます。しかし、この時期はまだ睡眠パターンが確立される前の段階なので、厳密には「睡眠退行」というよりも「睡眠の発達途中」という表現が適切でしょう。

生後4〜6ヶ月|初めての睡眠退行が始まる時期

多くの赤ちゃんに見られる最初の本格的な睡眠退行は、生後4〜6ヶ月頃に起こることが多いです。この時期は脳の発達が著しく、周囲への認識が高まり、寝返りなどの運動発達も始まる重要な時期です。睡眠リズムも徐々に成人型への移行が始まります。そのためそれまでの新生児の睡眠リズムから変化がみられます。それまで夜間にぐっすり眠れるようになってきた赤ちゃんが、突然また夜中に何度も起きるようになり、パパ・ママを驚かせることがあります。この時期の睡眠退行は主に脳の発達と関連していると考えられており、赤ちゃんが新たな認知能力を獲得していることの表れでもあります。

生後7〜9ヶ月|ハイハイ・つかまり立ちの時期に起きる第二の睡眠退行

生後7〜9ヶ月頃になると、多くの赤ちゃんは第二の睡眠退行を経験します。この時期は、ハイハイや掴まり立ちなど運動能力が急速に発達し、「見知らぬ人への不安」や「母子分離不安」も現れ始める時期です。赤ちゃんは昼間に練習した新しい運動スキルを夜間も無意識に試そうとするため、寝ている間に動き回ったり、突然起き上がったりすることもあります。

身体的な発達から覚醒度、興奮が長く続くために睡眠リズムの変化がみられるのがこの時期です。

1歳前後|昼寝リズムの変化や自己主張が原因になることも

1歳前後になると、歩行や言葉の発達など、再び大きな発達の飛躍がある時期を迎えます。この時期には、昼寝のパターンが2回から1回に減ることも多く、それに伴う睡眠リズムの変化に赤ちゃんが適応する過程で睡眠退行が起こることがあります。また、この頃になると赤ちゃんの自己主張も強くなり、就寝を嫌がるケースも増えてきます。夜に一人で眠ることへの不安や、パパ・ママと離れることへの抵抗感が強くなることもあります。このため、就寝時のぐずりや夜間の目覚めが増えることがあるのです。

赤ちゃんの頭の形 測定

赤ちゃんの睡眠退行の原因は?

ここまでは年齢に伴ってみられる睡眠退行についてみてきました。その他にも睡眠退行にはさまざまな原因や影響要因があります。ここでは、赤ちゃんの睡眠に影響を与える主な要因について詳しく解説します。原因を理解することで、対応策を考える手がかりになるでしょう。

脳の発達&新スキル習得が引き起こす変化

前の章でも触れたように睡眠退行の最も一般的な原因は、赤ちゃんの脳の発達と新しいスキルの習得です。寝返り、お座り、ハイハイ、つかまり立ち、そして歩行など、運動発達の大きな節目に睡眠退行が起こることが多いのです。脳が急速に発達する時期には、その処理のために睡眠パターンに変化が生じると考えられています。昼間に覚えた新しいスキルを脳が整理し定着させるためには、睡眠中に脳が活発に働く必要があります。そのため、一時的に睡眠が浅くなったり、中断されたりしやすくなるのです。

歯が生え始めた赤ちゃんに多い「歯ぐずり」とは?

多くの赤ちゃんは生後6ヶ月頃から乳歯が生え始めます。歯が歯茎を押し上げる際の痛みやかゆみ、違和感は、赤ちゃんにとって大きな不快感となり、睡眠に影響を与えることがあります。

特に夜間は日中のような気晴らしがないため、歯の痛みをより強く感じることもあります。このため、それまで良く眠れていた赤ちゃんが突然夜中に何度も起きて泣くようになることがあるのです。歯の生え始めによる睡眠の乱れは、一般的に「歯ぐずり」とも呼ばれています。

分離不安や引っ越し・保育園など環境の変化も影響大

生後8ヶ月頃になると、多くの赤ちゃんに「分離不安」が現れ始めます。これは、パパやママなど親しい人から離れることへの不安や恐れを感じる発達段階で、この不安が夜間の睡眠に影響することがあります。

この時期になると引っ越しや保育園の開始、家族構成の変化など環境の変化がも、赤ちゃんの睡眠に大きな影響を与えることがあります。赤ちゃんは新しい環境や状況に敏感であり、そのような変化に適応するまでに時間がかかることがあるのです。

睡眠退行と思ったら体調不良かも?見極めのポイント

時には、睡眠退行の原因が病気や体調不良にある場合もあります。中耳炎やのどの痛み、鼻づまりなどの症状は、赤ちゃんの睡眠を妨げる可能性があります。特に横になると症状が悪化する病気の場合は、睡眠への影響が大きくなります。また、胃腸の不調やアレルギー反応なども睡眠に影響を与えることがあります。赤ちゃんの睡眠退行が長期間続く場合や、発熱、食欲不振などの症状を伴う場合は、医師に相談することをお勧めします。

睡眠退行への正しい対応法|

最後に、睡眠退行に対するさまざまな対策と乗り越え方について詳しく解説します。赤ちゃんの睡眠を改善するためのアプローチは家庭によって異なりますが、ここでは一般的に効果的とされる方法をご紹介します。

睡眠リズムは崩さない!毎日の生活リズムを一定に保つコツ

睡眠退行に対する最も基本的な対策は、規則正しい生活リズムを確立することです。できるだけ毎日同じ時間に起床し、食事をし、昼寝をして、夜に就寝するようにすると、赤ちゃんの体内時計が整いやすくなります。特に重要なのは、朝の光を浴びることと夜の就寝時間を一定にすることです。朝の光は体内時計をリセットする効果があり、夜の就寝時間を一定にすることで、赤ちゃんの睡眠リズムが整いやすくなります。たとえ睡眠退行の時期でも、基本的な生活リズムを崩さないようにしましょう。

入眠儀式がカギ!赤ちゃんが安心して眠れる寝かしつけルーティン

赤ちゃんが心地よく眠りにつくためには、効果的な寝かしつけルーティンが重要です。例えば、「お風呂→パジャマに着替え→絵本の読み聞かせ→消灯」といった一連の流れを毎晩同じ順序で行うことで、赤ちゃんは「これから眠る時間」だと理解しやすくなります。

寝かしつけルーティンは15〜30分程度にし、静かでリラックスできる活動を含めるとよいでしょう。激しい遊びや明るい光、大きな音は避け、赤ちゃんが心地よく眠りに入れる環境を作りましょう。

赤ちゃんの快眠を助ける“眠りやすい環境”の整え方

赤ちゃんの睡眠環境も睡眠の質に大きく影響します。理想的な睡眠環境は、静かで暗く、適切な室温は20〜22℃程度です。赤ちゃんの寝室は必要以上に刺激的にならないように配慮しましょう。また、赤ちゃんが安心して眠れるよう、おくるみやお気に入りのぬいぐるみなど、「睡眠の合図」となるアイテムを取り入れるのも効果的です。ただし、窒息のリスクを避けるため、1歳未満の赤ちゃんのベッドには柔らかいぬいぐるみや毛布などを置かないよう注意しましょう。

パパ・ママも休んで!乗り越えるためのセルフケアのすすめ

睡眠退行の時期を乗り切るためには、パパ・ママ自身のケアも非常に重要です。赤ちゃんの睡眠が不安定になると、パパ・ママも十分な睡眠が取れなくなり、疲労が蓄積されがちです。

可能であれば、パパとママで夜間の対応を交代したり、家族や友人に協力してもらったりして、少しでも休息の時間を確保しましょう。また、睡眠不足による育児ストレスが強い場合は、無理せず医療機関や保健師に相談することをお勧めします。地域の育児支援サービスの利用も検討してみてください。

 5. よくあるQ&A|赤ちゃんの睡眠退行に関する疑問を解決!

赤ちゃんの睡眠退行は、突然起こるだけに戸惑うことも多いですよね。ここでは、実際に多くのパパ・ママから寄せられる「これって大丈夫?」「どうすればいいの?」という疑問に、わかりやすくお答えします。

Q. 睡眠退行はいつまで続くのでしょうか?

A. 睡眠退行の期間は個人差がありますが、一般的には2週間から6週間程度続くことが多いです。しかし、ある程度落ち着いた後も、成長の節目ごとに何度か繰り返し現れることがあります。大切なのは、これが一時的な現象であることを理解し、根気強く対応していくことです。

Q. 睡眠退行中の授乳について、何か注意点はありますか?

A. 睡眠退行の時期に夜間の授乳回数が増えることがありますが、栄養面での必要性がなければ、徐々に夜間の授乳を減らしていくことも検討できます。ただし、急激な変化は避け、赤ちゃんの様子を見ながら進めることが大切です。また、寝る前にしっかり授乳しておくことで、夜間の目覚めを減らせる場合もあります。

Q. 睡眠退行中は昼寝のルーティンも変えた方がいいですか?

A. 基本的には昼寝のルーティンも一定に保つことをお勧めします。ただし、赤ちゃんの年齢に応じて昼寝の回数や時間は自然と変化していきますので、その変化に合わせて柔軟に対応することも大切です。昼寝が短くなったり、回数が減ったりしても、夜の睡眠に悪影響がなければ心配する必要はありません。

Q. いつ医師に相談すべきですか?

A. 睡眠退行が通常よりも長く続く場合(2ヶ月以上)や、赤ちゃんが極端に不機嫌になる、発熱や食欲不振などの症状を伴う場合は、医師に相談することをお勧めします。また、赤ちゃんの呼吸に異常がある、極端に起こしにくいなどの症状がある場合は、早めに医師に相談しましょう。

睡眠退行は一時的。赤ちゃんの成長とともにまた眠れる日が戻ってきます

睡眠退行は赤ちゃんの成長過程で起こる一時的な現象です。脳の発達や新しいスキルの習得、歯の生え始め、分離不安など、さまざまな要因が関わっています。この時期は確かにパパ・ママにとって大変ですが、赤ちゃんが急速に成長している証でもあります。

規則正しい生活リズムの確立、効果的な寝かしつけルーティン、快適な睡眠環境の整備など、できることから少しずつ取り組んでみましょう。そして何よりも、パパ・ママ自身の心身の健康を保つことが大切です。

この時期はいつか必ず終わります。焦らず赤ちゃんの成長を温かく見守りながら、家族でこの時期を乗り越えていきましょう。赤ちゃんの睡眠パターンは必ず再び安定し、パパ・ママもまた、安心して眠れる日々が戻ってきます。

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