公開日 2024/12/02
【医師解説】赤ちゃんのずりばいはいつから?始まる時期の目安や練習方法について
目次
武田 賢大 先生
赤ちゃんのずりばいの開始時期には個人差がありますが、おおよそ生後6〜8か月頃から始まります。床に腹ばいの状態で、手や足を使って前後に動く探索行動です。ずりばいは運動機能の発達だけでなく、好奇心を育み、認知能力を高めるのに役立ちます。ずりばいを始めるタイミングや練習方法、事故予防など、気になる点は少なくないでしょう。本記事では、基本的な特徴から始まる時期の目安、練習のポイント、悩みへの対処法まで詳しく解説します。
赤ちゃんのずりばいとは?
ずりばいとは、赤ちゃんが床にお腹をつけた状態で、手の平や足の裏を使って前後方向に這う動作のことを指します。この動作は、赤ちゃんが周囲の環境を探索するための重要な手段であり、身体的・精神的発達において大きな役割があります。
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【ずりばいのメリット】運動機能・認知能力・自立心を育む理由
ずりばいの主な目的は、赤ちゃんが周囲の環境を探索することです。この探索行動を通じて、赤ちゃんは外界に対する興味や好奇心を育み、認知能力を発達させていきます。また、ずりばいの過程で、赤ちゃんは手や足の動作を協調させる能力を身につけ、全身の運動機能を向上させていきます。ずりばいは、赤ちゃんの自立心を育てる上でも重要な意義を持っています。自分の力で移動できるようになることで、赤ちゃんは自信を持って行動できるようになります。さらに、ずりばいを通じて得られる成功体験は、赤ちゃんの情緒的安定性にも良い影響を与えます。
赤ちゃんのずりばいはいつから?開始時期の目安
ずりばいの開始時期には個人差があります。早い子では生後4~5か月から、遅い子では8か月を過ぎてからずりばいを始めることもあります。こうした個人差は、赤ちゃんの身体的条件や環境的な要因によって生じます。したがって、ずりばいの開始時期だけで発達の遅れを判断することは適切ではありません。
赤ちゃんによって違う?開始時期に影響を与える5つの要因
開始時期に個人差が生じる主な要因として、以下の点が挙げられます。
- 身体的条件の違い-体重や筋力の発達度合い-関節の柔軟性や可動域-神経系の成熟度
- 生育環境の影響-活動スペースの広さや安全性-刺激やおもちゃの種類と量-保護者の働きかけや関わり方
これらの要因が絡み合い、開始時期に幅が生じます。一般的に、生後4~5か月からずりばいを始める早期群から、8か月以降に開始する遅延群までが正常な発達の範囲内とされています。
【ずりばい前のサイン】赤ちゃんが動き始める前兆を見逃さないコツ
ずりばいが始まる前には、いくつかの兆候が見られます。以下のような行動や動作が現れたら、開始が近いと考えられます。
- うつぶせの姿勢で手足をバタつかせる
- おもちゃに手を伸ばそうとする
- 床を押すような動作をする
- 前後にバランスを崩す
- 姿勢を再調整しようとする
これらの兆候が見られたら、赤ちゃんがずりばいを始めやすい環境を整えてあげましょう。
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赤ちゃんのずりばいを促す練習方法と安全な環境づくり
赤ちゃんにずりばいを促すには動きやすい環境を整え、練習に付き添ってあげることが大切です。
赤ちゃんが安全にずりばいできる!おすすめ環境整備のポイント
赤ちゃんがずりばいを始めるためには、安全で快適な環境を整えることが大切です。まず、赤ちゃんが自由に動き回れるだけの十分な活動スペースを確保しましょう。リビングやプレイルームなど、家族が集まる場所が適しています。次に、赤ちゃんの周囲にある家具や小物類を片付け、ずりばいの妨げにならないようにします。特に、角のとがった家具やガラス製品には注意が必要です。必要に応じて、柔らかいカバーを設置するようにしてください。
また、床に散らかったおもちゃや雑誌など、赤ちゃんの移動の障害となるものは取り除きましょう。清潔な環境を維持することも重要で、赤ちゃんが触れる個所は定期的な掃除や消毒を心がけてください。赤ちゃんは床を這う際に、手や口で直接触れることが多いため、衛生面への配慮が欠かせません。
うつぶせ練習の始め方 | ずりばいにつながるステップを徹底解説
ずりばいの前段階として、うつぶせ練習を行うことをお勧めします。この練習は、赤ちゃんが寝返りができるようになった時期から開始できます。1日1~2回、赤ちゃんが起きている時間帯に実施するのが理想的です。練習の場所は、保護者の膝の上やベッドなど、柔らかく安全な場所を選びましょう。赤ちゃんをうつぶせに寝かせ、頭を持ち上げる動作を促します。この時、赤ちゃんの顔が床に埋もれないよう注意してください。
赤ちゃんが自力で頭を上げられるようになったら、次は手で上体を支える動作を促しましょう。両手を肩の位置に置き、肘を伸ばして上体を持ち上げる練習です。この動作が安定してきたら、ずりばいへの準備は整ったと言えます。ただし、あくまで赤ちゃんのペースに合わせることが大切です。無理な姿勢を強いたり、長時間の練習を行ったりすることは絶対に避けてください。赤ちゃんの様子を見ながら、短時間の練習を継続的に行うことが効果的です。
赤ちゃんが夢中になる!おもちゃを使った練習法
赤ちゃんのずりばいを促すために、おもちゃを活用するのも一つの方法です。赤ちゃんの興味を引くようなカラフルなボールやぬいぐるみを、手の届く位置に置いてみましょう。目の前にある魅力的なおもちゃに手を伸ばそうとする過程で、自然とずりばいの動作が引き出されます。また、音の出るおもちゃを使うのも効果的です。ガラガラやなるおもちゃを赤ちゃんの周囲に配置し、音の方向に向かって移動する動機づけを与えます。転がるボールを使った練習も有効で、ボールを追いかける中で、スピードや方向転換の技術が自然と身についていきます。ただし、小さな部品が取れたり、破損したりする可能性のあるおもちゃは避けましょう。また、おもちゃで遊ぶ際は、必ず保護者が付き添い、安全に配慮することが大切です。
赤ちゃんがずりばいを楽しむための注意点
ずりばいの練習を行う際は、赤ちゃんの安全を最優先に考えなければなりません。まず、練習中は常に保護者が付き添い、目を離さないようにしましょう。赤ちゃんの動きを見守り、危険な状況に素早く対応できるようにしてください。また、速度が上がってくると、予期せぬ場所に移動してしまうこともあります。部屋の隅々まで安全対策を施し、赤ちゃんが怪我をしないよう配慮することが大切です。具体的には、床にゴミや尖ったものがないか確認し、必要に応じて片付けます。電気コードや窓のブラインドのひもなど、赤ちゃんが絡まる可能性のあるものは、高い位置に移動するか、カバーで覆いましょう。
階段や暖房器具の周辺は特に危険が多いので、ベビーゲートを設置するなどして、立ち入りを制限することをお勧めします。さらに、ずりばいが上達してくると、赤ちゃんは思わぬ場所に到達してしまうこともあります。窒息や誤飲のリスクがある物は、赤ちゃんの手の届かない場所に片付けておきましょう。
ずりばいに関する悩みがあるときは
ずりばいや発達の時期について悩みや不安がある時は、かかりつけの小児科医や専門機関の窓口に相談してみましょう。
ずりばいの遅れが気になるときは?
赤ちゃんのずりばいが始まる時期は個人差が大きく、一概に言えませんが、通常は生後6~8か月頃から始まると言われています。しかし、中には生後4~5か月で早期に始める子もいれば、生後8か月を過ぎても始めない子もいます。これらはいずれも正常な発達の範囲内であり、ずりばいの開始時期だけで発達の遅れを判断することはできません。ただし、生後9か月を過ぎてもお座りができない、10か月を過ぎても移動する意欲が見られない、1歳半を過ぎてもひとり歩きができないなどの場合は、発達の遅れが疑われます。
赤ちゃんの発達で悩んだらどこに相談すればいい?
発達に関する相談は、まずはかかりつけの小児科医に相談するのが良いでしょう。小児科医は赤ちゃんの全般的な発達を評価し、必要に応じて専門機関を紹介してくれます。また、お住まいの地域の子ども家庭支援センターや保健センター、児童相談所でも発達に関する相談を受け付けています。これらの機関では、発達の専門家が相談に乗ってくれます。特に発達の遅れが心配な場合は、児童発達支援センターを利用するのも一つの選択肢です。多くの児童発達支援センターでは、発達の専門家が赤ちゃんの発達を詳しく評価し、適切な支援プログラムを提供してくれます。また、家族に対する助言や地域支援なども行っているところもあります。
ずりばいからよつばい・つかまり立ちへ進むポイント
ずりばいは、次の発達段階へのつなぎとしても大切な時期です。ずりばいの次は、よつばいやつかまり立ちへと発展していきます。この移行をスムーズに行うためには、適切な練習を促すことが重要です。ずりばいができるようになったら、よつばいの練習を始めます。お腹を床から離す動作を促し、手のひらと膝での移動を練習します。よつばいができるようになったら、つかまり立ちの練習へと進みます。
ずりばいに関するよくある質問
赤ちゃんのずりばいは成長過程の一部ですが、「開始時期が遅いのでは?」「練習方法は必要?」など、さまざまな疑問や不安を抱える親御さんも多いでしょう。ずりばいに関するよくある質問にをご紹介します。
Q.ずりばいとハイハイの違いはなんですか?
ずりばいは、お腹を床につけたまま手や足を使って前後に動く動きです。一方、ハイハイ(よつばい)は、お腹を床から浮かせて、手のひらと膝を使って移動する動きです。ずりばいができるようになってから、徐々にハイハイも上手くなっていくのが一般的です。
Q.はいはいの練習はした方が良いですか?
赤ちゃんの興味や意欲を大切にしながら、無理のない範囲で練習すると良いでしょう。おすすめの方法をご紹介します。
- お気に入りのおもちゃを少し離れた場所に置いてみる
- 音の出るおもちゃで赤ちゃんの興味を引く
- 安全な場所で、うつぶせ遊びの時間を作る
ただし、赤ちゃんのペースを大切にして、決して無理強いはしないようにしましょう。
Q.ずりばいを始める時期はいつ頃でしょうか?
生後6~8か月頃が一般的ですが、赤ちゃんによって大きく違います。早い赤ちゃんは4~5か月から、遅い赤ちゃんは8か月を過ぎてから始めることもあります。これは赤ちゃんの体重や筋力、普段の生活環境など、様々な要因で変わってきますので、他の赤ちゃんと比べる必要はありません。赤ちゃんのペースに合わせて、温かく見守ってあげましょう。
赤ちゃんの成長を優しく見守りましょう
赤ちゃんのずりばいは重要な発達段階です。手や足を使って前後に動く探索行動を通じて、運動機能や認知能力を高め、自立心を育みます。
発達の次期には個人差はありますが、開始時期や進み具合を見守りながら、安全かつ適度な刺激が得られる環境を整えることが大切ですね。安全に配慮した練習を通じて赤ちゃんの興味や意欲に寄り添い、健やかな成長を支えていきましょう。