公開日 2025/03/19
【医師解説】赤ちゃんが舌を出すのはなぜ?発達や健康との関係を解説

目次

武田 賢大 先生
「うちの赤ちゃん、しょっちゅう舌を出しているけど大丈夫かな?」と不安に感じているお父さんやお母さんも多いかもしれません。生後0ヶ月から6ヶ月の赤ちゃんは、赤ちゃんが舌を出すことはよくあります。
この“舌出し”は必ずしも問題ではなく、自然な赤ちゃんの行動で、ほとんどの場合、赤ちゃんの成長過程で自然に起こることお子さんの成長段階によっても理由は様々と言われていますです。ただし、まれに病気や発達のサインが隠れている場合もあります。この記事では、赤ちゃんが舌を出す理由と確認ポイント、日常のケアや対処法などを幅広く解説します。
赤ちゃんが舌を出すのはなぜ?
赤ちゃんが舌をペロッと出す姿に「大丈夫かな?」と心配になるパパ・ママは多いかもしれません。けれども、実は生後間もない時期の赤ちゃんにはよくある行動の一つです。まずは、新生児期ならではの特徴から、その理由を探ってみましょう。
新生児期の赤ちゃんが舌をよく出すのは普通?
生後まもない赤ちゃんは、口まわりの筋肉や舌の動きがまだ十分に発達していません。そのため、舌を使って上手に飲み込むことや、口をしっかり閉じるといった動きが未熟で、しょっちゅう舌が外に出てしまうことがあります。生まれたばかりの赤ちゃんは口が小さくて、舌の占める割合が大きいため、自然と舌が前に出やすくなります。
また、鼻と口の呼吸を上手に切り替える力がまだ弱い段階では、舌が外に出やすいこともあります。このように、新生児期に舌を出すのはごく自然な現象であり、基本的には心配する必要はありません。
授乳中に舌を出すのはどうして?
授乳中、赤ちゃんは舌を使って母乳やミルクを吸い込んだり、哺乳瓶にフィットさせたりします。うまくミルクを飲むための口の形を作ろうとしている過程で、舌がうまく収まらずに外に出てしまうことがあるのです。赤ちゃんには自然と吸う力が備わっていて、これは母乳やミルクを吸うために必要な反射です。この反射が活発な時期には、舌の動きが盛んになり、結果として舌を出しているように見えることがあります。舌の位置が悪くてうまく咥えられずに、吸えていない場合には舌の位置を調整してあげるといいでしょう。
また、お腹が空いているときに舌を出すことは、授乳のサインと言われています。パパ・ママがそのサインに気づいてあげると、タイミングよくミルクや母乳を与えることができます。
舌を出すのは成長のサイン?口の機能発達とのつながり
赤ちゃんは生後数ヶ月の間に、舌の使い方や口の中の使い方を少しずつ覚えていきます。舌を出しては戻す動作を繰り返すことで、口や頬、唇の筋肉を鍛えることができ、成長に必要な練習になります。舌をさまざまな方向に動かし、周囲の感覚を確かめる行為は、赤ちゃんにとって大切な練習です。大人から見ると「ただ舌を出しているだけ」に見えるかもしれませんが、赤ちゃんは新しい感覚を学んで、発達を促しているのです。
また、生後5~6ヶ月頃から始まる離乳食に向けて、舌や口の筋肉の発達が大切になってきます。舌を出す行動は、その準備運動のひとつとして自然なものです。
興味や感情表現としての舌出し行動とは?
赤ちゃんは視界に入ったものへの興味や、嬉しさ、楽しさを感じたときに、舌を出す仕草をすることがあります。例えば、おもちゃを見せたときや、パパ・ママの顔を見て嬉しそうにしているときに舌を出す場合、その気持ちを何らかの形で表現していることが考えられます。
また、まだ言葉をうまく発することができない赤ちゃんは、表情や舌の動きを使って感情を伝えようとするため、舌出しはその一つのサインとも言えるでしょう。
赤ちゃんが舌を出すときにチェックすべきポイント

赤ちゃんが舌を出しているとき、どのようなタイミングや様子が気になるポイントとなるのでしょうか。観察することで分かるサインは意外と多く、日常のケアにも役立ちます。まずはいつ、どんな場面で舌を出しているのかを一緒に確認していきましょう。
いつ・どんなときに舌を出している?
赤ちゃんがいつ、どんなときに舌を出すかを観察してみましょう。空腹時や授乳後にしきりに舌を出すことがあります。これは「もっと飲みたい」「お腹いっぱいで舌を動かしている」など、さまざまなサインである可能性があります。
また、寝ているときに舌が出ている場合、口を閉じる力が弱いか、口呼吸が習慣化していることが考えられます。寝ているときにいびきや苦しそうな呼吸をしている場合、小児科や耳鼻科に相談することを検討してもよいでしょう。
舌を出すのは体調のサイン?
赤ちゃんの健康や成長の様子にも注目してみましょう。まず、しっかり哺乳ができていて、体重も順調に増えている場合、舌を出していること自体は大きな異常ではないと考えられます。また、便の回数や色、睡眠の質など、他の異常が見られないかを確認しましょう。もし他の気になる症状があれば、医師に相談することをお勧めします。
次に、授乳やミルクを飲む際に舌を出すことで、うまく飲めなくなる場合もあります。飲む量が少なかったり、むせやすくなることもあります。舌や口の動きが原因でうまく吸えないことがあるため、授乳時にむせ込みが増えたり、必要量を飲めなかったりすることがあります。
また、哺乳瓶の乳首やおっぱいのくわえ方が赤ちゃんに合わない場合もあります。そういった場合は、助産師や小児科医に相談して、赤ちゃんに合った授乳方法を提案してもらうと良いでしょう。
発達の遅れが気になる?舌出し行動と成長の見極め方
舌出しが長期間にわたり頻繁に見られる場合、少しだけ発達面もチェックしてみましょう。まず、月齢に応じた発達が順調か確認してみましょう。例えば、首がしっかりとすわるか、寝返りやおすわりができるようになっているかなど、月齢に応じた発達段階を順調にクリアしているかを見守ることが大切です。また、舌以外にも気になる症状がないか確認しましょう。例えば、ミルクが上手に飲めない、いつもより機嫌が悪い、表情の乏しさなど、他の行動面で心配があれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。
赤ちゃんの舌出しと病気・発達障害の可能性

多くの赤ちゃんにとって舌を出す行動は自然なことですが、中には注意が必要なケースも存在します。病気や発達障害などのサインが隠れている可能性もあるため、正しい情報を知っておくと安心です。ここからは、舌出しに潜むかもしれない病的要因について見ていきましょう。
まれに見られる病的なサインとは?
赤ちゃんの舌出しの多くは自然な行動ですが、まれに病気が隠れている可能性もゼロではありません。例えば、体の中のホルモンのバランスが原因で、舌が通常より大きくなってしまう状態が見られることがあります。この場合、舌が常に口から出ているように見えることがあります。また、巨舌を特徴とする症候群など、生まれつきの体の特徴の一部でも、舌が大きく見える場合があり、その結果として舌が外に出やすくなることもあります。こういった病的要因が疑われる場合、体重増加不良や顔つきの変化、哺乳不良などの症状が必ず存在し、見られ舌の特徴だけで診断がつくわけではなく、通常は別の理由で異常に気付かれて診断、検査に進むことがほとんどです。もし複数の気になる症状が見られた場合は、小児科医に相談することをお勧めします。
長期間の舌出しが歯並びに影響?「舌突出癖」とは
舌を常に前に押し出すような癖が定着すると、成長後の歯並びやかみ合わせに影響する可能発達障害性があります(舌突出癖)。
例えば、幼少期から舌が常に前に出ていると、前歯を外へ押し続けることになり、前歯が前方に突出しやすくなると言われています。また、舌の位置が正しくない場合、「サ行」や「タ行」など、舌を使う発音が難しくなることもあります。生後0~6ヶ月の時期では、あまり気にしなくて大丈夫ですが、1歳を過ぎても舌を出し続ける頻度が高い場合は、歯科医や小児科に相談するのが良いでしょう。
どんなときに受診すべき?医療機関へ相談する目安
舌を出すこと自体はほとんど問題ないですが、気になる場合は、医療機関を受診することをおすすめします。授乳や離乳食で明らかに支障がある場合、たとえば飲みこみがうまくいかない、またはいつもむせ込むといった症状が続くときは注意が必要です。
また、舌の形状やサイズに異常を感じる場合、たとえば舌が大きすぎる、腫れている、潰瘍があるなど、見た目に変化があった場合は医師に相談することが望ましいです。さらに、全身状態に問題があると感じるとき、たとえば発熱や体重増加不良、機嫌の極端な悪さなど、他にも気になる点が多い場合には、早めに小児科医の診察を受けることが大切です。
発達障害やその他の疾患との関係とは?
舌出しが赤ちゃんの成長や体の様子と関連しているかどうかは、個別のケースによって異なります。舌出しが単なるクセであるかどうかを見分けるには、舌出し以外にもコミュニケーションの遅れや表情の乏しさなどが見られるかどうかをいろいろな面から見ていくことが大切です。もし疑わしい点があれば、定期検診や発達相談を受け、必要に応じて詳しい検査や観察を受けることをおすすめします。専門機関では、発達の状態をより詳細にチェックしてもらえます。生後0~6ヶ月の時期には判断が難しいケースも多いため、不安な点があれば医療者と一緒に見守っていく姿勢が大切です。
舌を出す赤ちゃんへのケア
「舌を出すのは自然なことだ」と理解していても、日常の育児でどのように対応すればよいか悩むこともあるかもしれません。そんなときは、授乳や離乳食をはじめとする身近なケアを見直してみるのも一つの手です。
授乳や離乳食のときに意識したいポイント
授乳や離乳食の際には、正しい抱っこの姿勢が重要です。赤ちゃんの頭と体を安定させることで、舌が外に出にくくなる場合があります。さらに、哺乳瓶の乳首も工夫が必要です。赤ちゃんに合ったサイズや形状の乳首を使うことで、舌の位置が安定しやすくなり、うまく飲むことができるようになります。離乳食が始まる頃には、スプーン選びにも気をつけましょう。浅くて幅が広すぎないスプーンを使うことで、舌をスムーズに使えるようサポートすることができます。
舌の発達を促す遊びやマッサージの方法
口のまわりのマッサージは、舌の動きの発達を促すために有効です。ほっぺたや口の周囲を優しく触れ、刺激を与えることで、舌や口の筋肉を鍛えることができます。また、声かけや表情での誘導も効果的です。舌を出しすぎているときには、お父さんやお母さんが優しく呼びかけて、注意を他のことに向けたり、「口のなかに舌を入れてみようね」と声をかけて、舌の位置を調整してあげるのが良いでしょう。
口呼吸を防ぐには?生活習慣の見直し
口呼吸を防ぐ環境づくりも重要です。室内の乾燥を防ぎ、適度な湿度を保つことで、口呼吸の癖がつきにくくなり、舌が外に出にくくなる場合があります。睡眠時の姿勢も工夫が必要です。仰向けで寝かせたときに舌が出すぎる場合、少し首の角度を調整してあげたり、背中に丸めたタオルを入れて横向きに寝かせるなどの方法で、舌の位置をサポートすることができます。
医療機関への相談タイミングは?
歯科検診の利用も大切です。1歳を過ぎて歯が生え始めたら、定期検診を受けることで、歯並びやかみ合わせについて早めにアドバイスをもらうことができます。また、かかりつけ小児科での定期チェックも安心材料となります。成長や発達、口の状態を確認してもらうことで、何か問題があれば適切な時期に専門機関へ紹介してもらうことができ、早期に対処することが可能です。

赤ちゃんの舌出しに関するよくある質問
「うちの赤ちゃん、舌をよく出しているけど大丈夫?」「舌を出すのは発達のサイン?」「病院に行ったほうがいいの?」など、赤ちゃんの舌出し行動について疑問や不安を感じるパパ・ママは多いものです。
ほとんどの場合、赤ちゃんの舌出しは成長の一環であり、心配する必要はありませんが、中には注意が必要なケースもあります。ここでは、赤ちゃんが舌を出す理由や、発達・健康との関係、受診の目安など、よくある疑問をQ&A形式で分かりやすく解説します。
Q. 舌を出しているとウイルス・細菌に感染しやすくなりますか?
A. 一般的には、赤ちゃんが舌を出しているからといって、極端にウイルスや細菌に感染しやすくなるわけではありません。赤ちゃんは手やおもちゃなど、口に入れてしまうものが多いため、そちらの方が感染経路としては大きいです。ただし、舌を頻繁に触った手をそのまま口や目にこすり付けると感染リスクが高まる可能性はありますので、こまめな手洗いやおもちゃの洗浄・消毒は心がけましょう。
Q. 舌を出す行為は発達障害と関連がありますか?
A. 舌を出すだけで発達障害と診断することはできません。単なるクセや赤ちゃんの自然な行動であることがほとんどです。発達障害が疑われる場合、言葉の遅れやコミュニケーション・社会性の問題、表情の乏しさなど、他の要素を総合的に評価する必要があります。気になる症状が重なっている場合は、小児科や専門機関へ相談してみましょう。
赤ちゃんの舌出し行動を温かく見守ろう
赤ちゃんが舌を出す行為には、口の発達段階や授乳サイン、自己表現など、さまざまな理由があります。多くの場合は生理的な仕草であり、特に異常はありません。しかし、授乳や離乳食に支障が出たり、体重増加が不十分だったり、ほかの気になる症状があるときは、早めにかかりつけの小児科医に相談しましょう。
パパ・ママが日頃から赤ちゃんの様子を観察し、「舌を出すタイミング」「頻度」「ほかの発育面」の3点を把握しておけば、必要なときに適切なケアや医療サポートを受けやすくなります。舌出しが気になっても、まずは赤ちゃんの全身状態や機嫌、発達段階を見ながら、ゆったりとした気持ちで接してあげてください。
